午後三時の恋心 ハゼラン
庭の片隅に咲くハゼラン。その小さな花は、午後三時になると静かにその姿を現す。まるで人知れず胸に秘めた想いをそっと打ち明けるかのように。
ある日、散歩の途中でふと足を止めた。陽射しは柔らかく、風も心地よい。そのとき目に入ったのがハゼランだった。小さな花びらが集まり、可憐な姿を見せている。その控えめな美しさに、なぜか心を奪われた。
ハゼランの花言葉は「とりこになる」「熱い思い」。その意味を知ったとき、自分の中に眠っていた感情が呼び覚まされた気がした。忙しさに追われ、いつしか情熱やときめきを忘れていたのかもしれない。
昔、初恋の人に出会ったときの胸の高鳴りを思い出す。何気ない仕草や言葉に一喜一憂し、ただその存在だけで日々が輝いていた。ハゼランの小さな花は、あの頃の純粋な気持ちを思い出させてくれる。
人生は短い。だからこそ、一瞬一瞬を大切にし、心の赴くままに生きてみたい。ハゼランが午後三時にだけ花を咲かせるように、自分も情熱を持って瞬間を生きていきたいと思う。