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映画館と叶えたい夢

いやまさか そんなことは あるまいと しばらく待てども 誰も入らず

映画館で、映画をひとりで観たことがある。
とある映画の再上映を観に行った時のことであった。

わたしは、映画は映画館で観たい派で、それもひとりで観たいタイプだ。
理由の一つ目は、本編前の予告編の時点で涙が溢れはじめることも少なくないぐらいなので、本編で涙が止まらなくなり目が真っ赤になってしまうことが珍しくないから。
二つ目は、エンドロールまでじっくり堪能してから、欲を言えば家に帰るまでも帰ってからもしばらくその映画の余韻を自分の中に漂わせておきたいから。自分の中に、せっかく映画が入り込んできてくれたのだから、上手くことばにすることのできないその感情を大切に大切に心の中に灯しておきたい。

わたしはできるだけお客さんが少ない映画館を選んで足を運ぶ。そこがわたしのお気に入りの映画館。(その映画館にとっては、もっとお客さんが入っていた方がもちろんいいのだろうけど、わたしはその映画館がとてもお気に入りである。)

そして、冒頭に戻る。
仕事終わり、上映開始ぎりぎりに入った。スクリーンを背後に客席を見る。
そう、誰もいなかったのである。
いやまさか、そんなことはあるまい。そう思いながら一番後ろの席に腰掛ける。(一番後ろのど真ん中の席がわたしにとっての特等席)
予告が始まっても、本編が始まっても、誰も入ってこない。

夢が叶った。
「映画館で映画をひとりで観る」ということがわたしの叶えたい夢のひとつであった。

夢、叶っちゃったな。

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