
リスの餌やり 実況中継
(表紙画像はLAのLa Brea Tar Pits Museumの駐車場の木の中でリス発見)
相当前から考えていたのが、今回のタイトルだ。
それなのに・・・「スズメの餌やり」に先を越されてしまった。
餌を自分の手から相手の口元に持って行って食べてもらえるインパクトは、リスに対するときにも大きいが、スズメの方がより大きいと経験から分かる。
このインパクトの差が、「スズメの餌やり」が先行した理由だろう。
カナダもそうだが、アメリカではリスはどこでも見かけるといってよいと思う。
ミシガン大学のリス
私が初めて野生のリスに遭遇したのは、初めて訪れたミシガン大学のキャンパスだ。大学寮から徒歩3分ほどの場所だ。
リスはとにかく逃げ足が速い。
リスはかくれんぼ好きだ。
木の幹で見かけたりして写真を撮ろうとすると、遊ばれてしまう気がする。
自分のいる側に来たと思ってカメラを向けると、さっと身をかわして裏側に移動する。
それを追いかけると、見事に姿を消してまた隠れてしまうのだ。
だから、
私が最初に撮った野生のリスの写真は、かくれんぼの最中と言った構図になっている。( 1 → 2 )


次に留学したISU(インディアナ州立大学)では、野生動物のオンパレードだった。
リスは当たり前。
鳥も当たり前。
ここで「スズメの餌やり」企画が芽生えたのだ。
生まれて初めてスカンクのおならの匂いを嗅いだ貴重な経験の場所だ。
同じ教会に通っていた教授の家に招かれた。
その庭にある池の周りは野生動物の天国だ。
この池は、それを囲んでいる数家族の共同所有のように見える。向かいの家の若い夫婦がボートを浮かべる。
別の一軒は海辺で見かけるビニールのソファ?に寝そべって読書だ。
野生動物が多いのは、餌場をこしらえているからだ。大きなクリスマスツリーがリビングに飾ってあったから、冬だ。
その教授のお宅へ行く車の中に飛び込んできたのが、スカンクの強烈な臭いだ。
しばらくはその匂いが車内から消えなかった。
残念ながら、私はこの日はカメラを持って行かなかったので、リスは勿論何もかも写すことができなかった。その分、記憶に焼き付けることができた…ような気がしている。
冬休みのヒューストン
冬休みに訪れたヒューストン。
医者の家族が住む平屋だ。バスルームが3カ所。
道路から家までの距離が長い。
家の前に白い車などが見えているが、どれも動かない。
ダミーだ。実物だが、パンクしていたりする。
そんな車が4台ほどあった。
コリンズ氏曰く:
「これは我が家の守り神みたいなものさ。強盗などから身を守ってくれるのさ」

この医者の家族がすごい。
1月1日に仕事場に行くと言って出かけた。
「一緒について来るかい」
1日に診察する患者数は6,7人だとのこと。
これはチャンスだ。
病院の姿を見ることができる。
と言っても、私はISUの大学病院で診察してもらった経験がある。
これを話し出すと、また止まらなくなるからやめておく。
彼の広い執務室の壁には
たくさんの人が写った写真が大きな額に飾ってあった。
医者の家族がいることは分かる。
しかし、他には知るはずもないのに、見たことがある男性が目に入った。
「日本人のあなたには、嫌いな人かもしれないわね」
一緒に来ていた奥さんの声だ。
「うちの家族はアイゼンハワー大統領の家族と友達なの」
そう言って、写真の一人一人を紹介してくれたが、覚えていない。
覚えているのは、赤ちゃんを抱く大統領の姿だ。
その赤ちゃんこそ、私が勤めていた学校に英語教師として赴任していた女性だ。
彼女の就職の手続きの世話をしたことから、この医者の家庭に泊めてもらうことができたのだ。
知らなかったとは言え、すごい家に泊めてもらっていたのだ。
期間は、約1週間だ。
その期間に、私は近所を一人歩きした。
(勿論、アストロドームでのアメリカのプロバスケットボールの試合を生で、一番前の席で観戦させてもらえた。日本食レストランでたらふく御馳走になった。アメフトのスーパーボールが実施された大学のアメフト競技場を見学したり・・・。大学名は忘れたが、一番上まで上ると、下の競技場がマッチ箱。10万人収容できるとのこと)
近所と言っても、一番近い隣が徒歩5~10分ほどあった。
歩いていると、そこのおばちゃんが家の中に入れてくれた。
入ると体育館と見紛うような吹き抜け。
おしゃべりの30分は勿論楽しい時間だった。
別な日には建築中のマンションを見に一人歩きだ。
着工してからすでに2年経過したと話してくれた大工さん。
「そうだな、終わるのはあと1年かかるだろうな」
3階建のそのマンションを見せてもらった。
バスルームが8室。階段も各階にそれぞれ2,3箇所。
本格的なそのマンションは、石油会社の社長さんがオーナーだ。
そこから更に少し歩くと、1989年(最初の自費出版をした年)にアメリカ大統領に就任したブッシュ大統領が、副大統領に指名されるまで住んでいた家があった。
当時はレーガン大統領に指名されて、その付近は見物客で大騒ぎだったと聞かされた。見物人が引きも切らず訪れたため、警察が常駐する騒ぎだったらしい。
医者の家の庭には、アリクイ、アルマジロ、ラクーンなどを見ることができると話してくれた。リスは当たり前だ。裏の木々の中を走り回っていた。
ようやく「リス」の話に戻すことができた。怒らないでここまで読み進めていただき「感謝」。
ワシントンDCとリス
私は妻を連れてアメリカへの旧婚旅行をした時、どうしても妻とリスの写真を撮りたかった。

国会議事堂(Capitol)とワシントンモニュメントを挟んだグリーンのモール(距離約2キロ)の芝生でリスと戯れるのは楽しい憩いの時間だ。
ちなみにこのモールは「ナショナルモール」と呼ぶ。国立公園だ。
ここでは歴史の多くの事柄が行われてきた。
中でもマーチン・ルーサー・キング牧師を中心として実施された1963年のワシントン大行進は世界の眼をこの人種差別撤廃運動に向けさせた。
このモールの両側には、数々の美術館や博物館が林立していて観光客を飽きさせない。しかも無料だ。
トロントのクロリス
カナダのトロント。
トロントの州会議事堂。
その近くの歩道脇の植え込み。
黒いものがうごめく。
目をそちらにやってびっくり。
黒いリスなんて、私は日本で見たことがない。
アメリカでも、一度も見たことがない。
折角なので、そのリスの相手をしてみることにした。
手元に餌がないので、木の葉の中から代わりになるものをつかんでみた。
さも、それが餌ででもあるかのように誘い水。
すると、ぴょんぴょんと身軽な動き。
柔らかな動き。
そして、私の手元の中の「餌」を食べたそうな雰囲気。



2015年の一人旅の時だ。
その辺りは人通りも多いのに、リスもあちこちで遊びまわっていた。
その角を回った場所に大きな樹が生えていた。
何気なく見ていると、黒い物体が動き回っていた。
勿論、リスたちだ。
動画で撮るのだが、コマで捕えようとしてもなかなか難しい。
夢中になって、写真で撮ることをいつも忘れてしまうのだ。
(多分)私の人生最後の黒いリスとの合流は
トロントのダンダス広場の隣にあるバスターミナルから
訪れたナイアガラに行った時のことだと思う。
ナイアガラはそれが5度目の訪問だ。
その時はどうしてもアメリカ滝中心に鑑賞したいと思っていた。
アメリカ滝と言うからには、アメリカの領地内にある。
私が通過した中で一番小さな国境での窓口でパスポートを見せる。
そこを通るともうそこはカナダからアメリカへの入国となる。
入るとすぐにアメリカ滝が流れる音が
耳の中に飛び込んでくる。
すごい轟音だ。
まずは土産売り場で孫たちへの土産を購入。
ふと見ると、目の前を素早く走る黒い物体。
リスだ。
軽やかだ。餌をやる間などない。
それどころか、カメラを向ける暇さえなかった。
もう一度だけあってみたい。
それもアメリカ滝のそばの広場だ。
コロナ禍が終わっていくつもりでパスポートを調べてみた。
その時には有効期限が終わったばかりだった。
今更もう一度パスポートを申請するのも面倒な気がした。
折角PCでフライトとホテルを検索して
すんでのところで予約しそうになったのに、
私の人生最後の北米大陸訪問は
中止とすることになってしまった。
それが今年(2024年)の年初の出来事となる。
残念無念!
マンハッタンのセントラルパーク
追伸みたいなものだ。
公開しようと思って、再度読んでいるときに
ふと気が付いた。
リスではない。
セントラルパークに行った時のことだ。
2002年のマンハッタン旅行の時だ。
急に思い立って
セントラルパークのリスを撮りたくなったのだ。
それまで北の方に行くことはほぼなかった。
それで、セントラルパークに北の方から入ってみた。
そこは人が少ない地域だ。
公園を静かに散策するにはもってこいだ。
足元の悪い場所を
歩いていた。
木々が憩いの気分を増してくれていた。
古そうな樹を見上げていると
ちょろちょろっと動く物体。
それこそが リスたちだった。
リスと戯れたくなった。
で、楽しい時間が持てた満足感で
その場を去った。
写真や動画を撮ることをすっかり忘れてしまっていた。
しかし、あの動きを感動をもって
今でもそのまま思い返すことができるほどだ。
別の日程の時、
訪れたセントラルパーク。
「トレビの泉」目指して散策していた時に
思いもよらない動きを目にすることになろうとは・・・。
リスではない。
なんと、ディズニー映画の一コマかと見紛う景色だ。
数匹のしっぽの長いネズミがするすると
私の目の前に現れたのだ。
映画そのままの素早い動きだった。
勿論、英語を話したりはしていない。
しかし、彼らがおしゃべりをしているかのような
錯覚に落ち込んだ。
これもカメラを用意する暇がないほどの動きだ。
でも、心温まる動物との時間だった。
あのネズミが
かわいらしくて、話しかけたくなったのだから・・・。