【番外編③】偶然・即興・一期一会が織りなす魅力
連載:【番外編】正解のない料理のススメ 3つめの記事です。
1つ前の「正解のない料理」って?の記事の続きになります。
前回の記事でもご紹介したように、ありあわせの材料で臨機応変におかずを用意するときって、ちょっと楽しいですよね。
「初めての組み合わせだけど美味しくできた!」
「迷った末に加えた調味料がいい味出してるなあ」 などなど…
この楽しさについて、3つの観点から、もう少し掘り下げてみたいと思います。
1. 「偶然」使った食材やアイデアから生成的に名前がつく
たまたま冷蔵庫にあった材料、あるいはみんなで持ち寄った食材などを組み合わせて料理をつくってみた。これは様々な食材が「偶然」ひとつの料理となってお皿に盛り付けられた状態ともいえます。
この偶然の産物である「正解のない料理」に名前をつけようとすると、自然と、生成的に命名することになります。
オフィスのキッチンでつくった一品。
“ブロッコリーとゴボウの岩塩炒めプレート
〜カットしたキューブパンを添えて〜”
命名するときには、どんな食材がどのように調理されたのかを改めて知ることになります。そこから半ば“勝手に”名前がつくというのは、体験してみるとなかなか楽しいものです。
2. 即興の料理プロセスの中で最終的な内容が決定する
「今ここにある材料で、もっと美味しく仕上げたい!」というときには、臨機応変に食材の組み合わせを考えたり加熱方法を工夫したりする必要があります。
当初の予定通りに進まなくても、大丈夫。初めてチャレンジする味付けや調理法を試してみるのも楽しそうですよね。即興で料理をしながら、最終的にどんな食卓になりそうかな? とワクワクしながら食事の準備を進めましょう。
3. 「一期一会」の料理が生まれる
料理が出来上がったら、お皿に盛られた様子よくを見て、そして味わってみましょう。思ったとおりのものができたり、あるいは予想外の完成形になったりしたかもしれませんが、きっと自分たちでつくった料理は他にはない美味しさのはずです。
ところで、この料理、まったく同じものをもう一度作ることはできそうでしょうか?
-レシピ通りだけが料理じゃない- のお話にも出てきたように、一度つくった料理とそっくり同じものを再現するというのは、実はとっても難しいこと。レシピのない「正解のない料理」ならばなおさらです。
今から食べる「正解のない料理」との一期一会の出会いに感謝して、美味しくいただきましょう。
その魅力に気がつけば、料理はもっと楽しくなる
3つの観点から見てきたように、日ごろ何気なく行っている食事の支度の中にも、料理の魅力を感じられるポイントが実はたくさんあります。
身近に潜んでいる「正解のない料理」を見つけたら、今一度、その調理工程を振り返ってみてください。きっと、新しい料理の楽しさを感じられると思います。
次の記事は…
今回の記事では、そのときに扱っている食材やできあがった料理に注目して「正解のない料理」の魅力に迫りました。
次の記事は「正解のない料理」の効能に関するお話です。
私たちは料理をするという過程それ自体から、色々な気づきを得ることができます。料理がつくられるときの状況や、各工程のことを考えながら、私たちが料理を通じて得られる経験について掘り下げてみたいと思います。
【番外編】正解のない料理のススメ もくじ
イントロダクション:【番外編①】「正解のない料理」のススメ
前編:【番外編②】「正解のない料理」って?
中編:【番外編③】偶然・即興・一期一会が織りなす魅力 ◀この記事です
後編:【番外編④】「正解のない料理」を作ってみよう(comming soon)
原文提供:Taichi Isaku / 伊作太一 https://note.mu/tisaku
編集・執筆:山田晴香