【裏タケノコ王】第5話「タケノコ王」はキャラなのか 田舎の農家が全国テレビに出演する理由【後編】
「タケノコ王」はキャラなのか
田舎の農家が全国テレビに出演する理由【後編】
“オレがテレビに出るのは、もはやオレだけのためじゃないから。”
「静岡のタケノコで1億円稼いだタケノコ王」として、全国テレビで30回以上特集された風岡さん。田舎のタケノコ農家が、なぜ全国テレビに出演する必要があるのか。そこには深い理由があった。
聞き手:森山健太
(前編から続く)
◆ テレビに出て世の中は変わったのか
—農家について
特にタケノコの同業者からは賛否両論あったみたい。近年、これだけタケノコが注目されたことはなかったんじゃないかな。
でも、その分リスクも負っている。この街のために何ができるだろうとか、白子タケノコを広めるためにどうしたらいいのだろうと考えた結果、自分に意見を言われることを覚悟して社会に訴えた。それに対してどう感じるかは個人の自由だよね。
みんな、裏年(1年ごとに来る「出ない年」)に困っていたよ。
いなかった。講演では、彼らに「肥料は何をやってる?」と質問して、答える前に当ててやったさ。
「鶏糞と化成のオール14だよね」と。で、案の定当たりさ。
鶏糞は、豚糞や牛糞に対して安い。化成、つまり有機化成肥料のオール14は、肥料値が窒素:リン酸:カリウム=14:14:14と極めて高い。要はコスパがいい。なぜコスパがいのかというと、ホームセンター各社が価格競争する客寄せ商品だからなんだよね。
いい質問だね。農協に出すからさ。味のいいものよりも、とにかくいっぱい出した方がいいから。そうなるとゴールが決まっちゃって、いかにコストを安くして収量を出すか、生産効率にしか目がいかなくなるんだ。
その通り。そして重要なのは、裏年を克服しないとタケノコで生計を立てることはできないということなんだ。
— 西のタケノコ王
講演の会場で、特に印象に残っている一人の若いタケノコ農家がいたさ。
山口県下関市の山本コリュウ君さ。彼は、固く握手を交わした後で、以前からファンでいてくれたこと、ハワイでトップアマチュアのサーファーとして活躍していたこと、オレと同じく竹林をしっかり整備して幻の白子タケノコを出していることを話してくれた。
「でも風岡さん、ここまでやってもタケノコだけで家族を食わすことができないんです」と彼は真剣な表情で語った。
「明るい兆しはあります。サーフボード職人として兼業で食いつなぎ、10年以上タケノコに力を注いできました。その結果、徐々に注目が集まって、去年から山口県のタケノコを普及する講師として選んでもらいました」ということだった。
いずれ、彼のように一生懸命やっている若い農家がタケノコだけで生計を立ていけるようにならないと業界の未来はないよね。
— 業界のシンボルとして
自分の後継者がほしいとか、地元にタケノコ農家が増えてほしいとか、じゃないんだよね。
オレがテレビに出るのは、もはやオレだけのためじゃないから。じゃあ何のために出るかっていうと、自分の役割は「業界のシンボル」だと思ってるんだ。
他の業界でたとえると……ボクシングでは、畑山隆則選手だね。
畑山は、1990年代に活躍し1試合で1億円のファイトマネーを稼ぎながら24歳の若さで引退した伝説のチャンピオンさ。昔ボクシングのプロを目指していた頃、試合を3回観に行ったことがあるよ。華麗なプレーに爽やかなマスク。まさにボクシングのシンボルだったよ。畑山を見てボクシングのファンはすごく増えていたし競技を始める人もいたよね。
タケノコ農家に必要な4つの要素(生産力・収穫力・販売力・獣駆除力)を高い水準で満たしたプレーヤーでありながら、オレはオレ以外のために何ができるか。
タケノコは、このままじゃ高齢化で消えていく「種目」さ。そんな一次産業の課題に対して、加工で国産メンマを作ったり、観光竹林を整備したり、いろいろな「戦略」をとる人たちがいるよね。オレっちは農家。だから、生産でどこまでいけるのかを突き詰めたかったさ。
全国にタケノコの直売所が増えてほしい。山本くんのようにタケノコに情熱をかけている若い生産農家が味に見合った評価を得て報われるようにね。
究極的には、タケノコの技や文化の継承!
だけど、技や文化は「職業」にしないと残らないら?だからタケノコで食っていくモデル第一号になろうと考えた。それで17年かけて「タケノコ専業農家」という職業を確立し、その姿をメディアを通じて全国に発信してるんだ。日本のタケノコ業界の未来を作るシンボリックな存在としてね。(※詳しくは裏タケノコ王6「タケノコだけで食っていく方法」にて特集します)
◆ これからのテレビ出演
ドキュメンタリーに出たい。
これまではバラエティーに出てきた。でも、ほぼ1日中撮影して使われるのはどんなシーンだと思う?
ミスしたところ、噛んだところ、ドジったところだよ(笑)。これを3拍子揃えて計算してやっているのが芸人なんだろうけど、これじゃオレが伝えたいタケノコ農家のカッコよさや凄さがまったくと言っていいほど伝わらない。
あったよ。去年、有名局から1年間の密着取材を受けていた。でも局の内部事情でお蔵入りになってしまった。
だけどドキュメンタリーは絶対出る。スーパー農家へのオファー待ってます!
「男に媚びなど不要だ」
近頃メディアに出るのは、いい子ちゃんばかりでつまらない。問題が起きたら報道陣に囲まれて謝ったりする。もしオレが番組でコケてインタビューきたらさ、「オレを選んだからしょうがねぇよな、まあ、そういうときもあるよ、次見てな!」なんて言っちゃう。
テレビもマスコミも好感度気にしてばっか。不良が更生していい子ちゃんになったみたいでつまんない。逆にこういう憎らしい奴が一人くらいいないと全体として決算が合わないら?
感謝は必要。だが、男に媚びなど不要だ。
※この記事は2018年に作成されたものです。
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