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人々の想いを代弁させてもらえる贅沢/編集ライター谷口由佳

合同会社NIPPON TABERU TIMES(ごうどうがいしゃにっぽんたべるたいむず、以下TABETAI)では、一次産業が好きで、各々の手段で一次産業に関わっているTABETAIメンバーを紹介する事で、一次産業に関わりたい人の関わりしろの参考になれば……と思い、メンバー紹介インスタライブを行っています。
 
現在、合同会社NIPPON TABERU TIMES(ごうどうがいしゃにっぽんたべるたいむす、以下「TABETAI」)で記事も書いている、編集ライターの谷口由佳(たにぐち・ゆか、以下「谷口さん」)さん。

谷口さんの経験から見えてきた、ライターという職業の醍醐味や、農業の現場に触れることの意義についてうかがいました。


脚本執筆経験から取材ライター・編集者の道へ

──谷口さんが取材ライター・編集者の仕事を選んだ理由は何ですか?


谷口さん:  大学では演劇の勉強をしていて、友人と立ち上げた創作ユニットでは作・演出を務めていました。寝る間を惜しんでやるほど脚本を書くことが大好きで、卒業後もずっと文字に触れていたいと思いました。

それに加えて、「人の生活に近い仕事がしたい」という想いもあり、取材ライター・編集者という仕事を選びました。正直、「文章を書いて報酬を得る」イメージが一番しやすかった職業だったのかもしれません。

──谷口さんが考える、取材ライターの魅力とは何ですか?

 
谷口さん:この仕事の魅力は、人の心が動く瞬間に立ち会えるところにあると思います。

取材ライターは、相手がうまく表現できない想いや記憶を引き出し、整理して、言語化するお手伝いをしています。対話を重ねる中で、ときどき取材先の方が弱音や愚痴をこぼしてくれたり、ご本人も忘れていたエピソードが蘇って「そう、それが言いたかった!」と喜んでくれたりすることがあるんです。

このように取材現場では、その人ならではの表情や言葉に直接触れることができるわけですね。もちろん、会話が弾まない瞬間もありますが(笑)。
そうして積み重ねた時間の温度や空気感を思い出しながら、私たちライターは文章を綴っていきます。

想いを言葉で紡ぐーーその役割を託してもらえることに、身に余るほどの贅沢を感じています。

「書く」ことの贅沢さとは

──書き言葉で伝えることの贅沢さとは、具体的にどのようなことでしょうか? 


谷口さん: 書き言葉は話し言葉に比べて、ニュアンスがある程度カットされてしまいます。書き手の顔が見えないぶん、適切な言葉選びをして、読み手が共通の認識を持てるように書かないと伝わりません。

話し言葉と比べて、書き言葉って少し気難しいんですよね。
そのような特性を踏まえ、プロとしてお仕事をいただけることは、特別なことだと思っています。

──「取材をして書く」ことの贅沢さについて、もう少し詳しく教えていただけますか? 

谷口さん: 取材先の方にわざわざ時間を作ってもらい、生の情報をいただいて、さらに言語化する猶予をもらえることに贅沢さを感じます。

誰かを引き留めて、話をしながら発信内容を作り上げる機会って貴重だと思いませんか?演劇に夢中になっていた学生時代、脚本を書き上げるまでの孤独感を何度も味わった経験から、余計そのように感じるのかもしれません。

誰かの話を聞き、対話をする機会をもらえること自体に贅沢さを感じます。
 

取材を通して得られる価値と言葉の重み

──谷口さんは、なぜ相手から情報を提供してもらうことに価値を感じるのでしょうか? 


谷口さん: 取材先の方が今まで時間や労力を使って経験したこと、知ったことを話してくれていると感じるからです。

その人からしか出てこない言葉には、経験に裏付けられた重みがあると思うんです。だからこそ、書き手として自分に裁量が与えられた際は、いただいた言葉の真意を汲み取れるようにベストを尽くしたいと思っています。

一次産業との出会いと関わり方

──谷口さんが一次産業に関わろうと思ったきっかけを教えてください。

 
谷口さん: 2024年の5~6月にかけて、和歌山県のみなべ町にある若手梅農家さんのもとへ、収穫のお手伝いに行きました。そこで、旅人やノマドワーカーなど、今まで会ったことのない方々と出会い、一緒に濃密な2週間を過ごしました。

朝早くから農作業をして、新鮮な食材を使った美味しいご飯を食べて、みんなで話をしているうちに眠くなって……。そんなシンプルな生活がすごく気持ち良かったんです。私たちと同じ若者がこの生活の価値に気づき、都会から地方に移住している事実を紹介せざるを得ない!と思いました。

↓若手梅農家さんお手伝いについて編集後記はこちら


──谷口さんは現在、一次産業にどのように関わっていますか? 


谷口さん: 現在は、自分の得意分野である取材ライティングや編集の仕事をしながら、一次産業に携わる方々のお手伝いをしています。

具体的には、東京都の西部立川駅付近にある養鶏場さんで、朝の採卵や卵の洗浄、野菜の収穫などを手伝わせていただいています。

──一次産業の現場に関わる際に、谷口さんが大切にしていることは何ですか? 


谷口さん: 受け入れてくださる方々の気遣いや準備にかかった時間などをきちんと考慮しながら、交流を楽しむことですね。

自分の「関わりたい」「応援したい」という想いだけが先行して、先方のご迷惑にならないよう、情報を「とる」のではなく「いただく」という姿勢で現場に臨むことを心がけています。

特に一緒にお仕事をする際には、お互いにWIN-WINになる状態で関係を築くことが重要だと考えています。

TABETAIとの出会い

──谷口さんとTABETAIはどのようなきっかけで繋がりましたか?

 
谷口さん:私からTABETAI編集部に問い合わせをしたことがきっかけです。「何やら面白いことをやっている同世代がいる!」と思って(笑)。
 
その後、山形県白鷹町のイベントに参加し、体験レポートを書かせていただきました!
↓谷口さんが書いた白鷹の記事はこちら!

実際に山形県白鷹町を訪れて

──谷口さんは、東京で開催された白鷹町のイベントと、実際に現地を訪れたツアーの両方に参加されたそうですが、それぞれの体験はどうでしたか?


谷口さん: どちらの体験も、すごく刺激的でした!東京でのイベントでは、白鷹町の農家さんがコース料理を振る舞ってくださり、白鷹町のイントロダクションを聞くことができました。

白鷹町がどういうところなのか少し予習をしてから行ったとはいえ、実際に現地に行ってみると、たくさんの新たな発見があって本当に楽しかったです。

──現地に行って特に印象に残ったのはどんなことですか?


谷口さん: 現地に着いて一番驚いたのは、やはり景色の美しさでした。荒砥(あらと)駅という山形鉄道フラワー長井線の駅に着くと、目の前に広大なコスモス畑が広がっていて圧巻でした。

そこはもともと耕作放棄地だったそうなのですが、地域のみなさんで話し合って、「町の観光スポットにしよう」とコスモス畑にされたのだそうです。駅から見える山々の景色も素晴らしかったです。

 ──現地での体験イベントはどうでしたか?


谷口さん:思う存分白鷹町の魅力を堪能しました。お米の収穫や、里芋堀りなど農業体験をした後、牛舎や酒蔵なども見学しました。盛りだくさんの内容で、どこから説明したらいいのかわからないくらいです。

白鷹町のいろいろな側面を一気に見せていただき、ただ観光で訪れるだけでは味わえない経験ができたと思います。

──谷口さんから見て、白鷹町の体験イベントの最大の魅力はどんなところにありますか?


谷口さん: やはり町の方と交流できる点が最大の魅力だと感じました。1人で観光客として行くと、なかなか地元の方と話す機会もないですからね。イベントの2日目には、白鷹町の方々と芋煮会を開催しました。

みなさんがとても温かく迎えてくださったのが印象的でした!

白鷹町の人々の温かさ

──今、白鷹町のイベントが気になっている人にどのようなことを伝えたいですか? 


谷口さん:イベントに参加して、 白鷹町の方々から「県外の人とどんどん繋がりたい!」という強い熱意を感じました。訪れる側が何か目的を持っていけば、より深く現地の方と繋がれると思います!
 

今後の一次産業への関わり

──今後、一次産業に関わっていくうえで、どのようなスタンスで臨みたいと考えていますか?

谷口さん: できるだけ現地に行ってお話を聞き、一次産業に携わる方々の発信活動の一助となれればいいなと思っています。

また、個人的には「イイ食のそばにある、イイ暮らし」を実現するため、みなさんからたくさん影響を受けて、自分自身の生活も変えていきたいです!

──これから一次産業に関わりたい人やそういった活動を発信したい人に向けて、メッセージをお願いします。


谷口さん: いきなり就農するのはハードルが高いかもしれませんが、まずは日帰りの農業体験など気軽に参加できるイベントを通じて、一次産業と接点を持つのはいかがでしょうか。

また最近、旅をしながら農家さんのお手伝いをする「フリーランス農家」が増えてきています。パソコン1つでできるような副業と朝が早い農業アルバイトを組み合わせて、現地でしっかり経験を積むのもいいですよね。

ただし!熱意は重要ですが、受け入れてくださる方々の気持ちを最大限考慮しつつ、行動しましょう。

私もみなさんと一緒に、自分の得意分野を活かしつつ、一次産業の「関係人口」になっていけたらいいなと思っています!

山形県白鷹町マルチワークの魅力説明会開催!!



【編集ライター谷口由佳さん各種SNS】
X:https://twitter.com/kazitsu_writer
Instagram: https://www.instagram.com/p/C5qov6EydU_/?igsh=MWFudHF6Zzg3MTF6ag==
note:
https://note.com/kazitsu_writer/n/n2503b2a3178a?sub_rt=share_b


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