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「農業は土だ」とよく聞くけれど、これほどにそれを体現している農家を私はまだ知らない。 <有機農家・田中栄三さん訪問記>

まって、畑綺麗すぎ。

岩手県岩手町で有機農業を営む田中栄三(たなか・えいぞう)さんの畑を友人の紹介で訪れた時、真っ先にこの言葉がでた。

白い蝶がまっていて、まっすぐに整列した畝(うね:畑で作物を作るために、細長く直線状に土を盛り上げた所)は、その畝ごとに姿が異なり、無数の野菜やハーブがいきいきと育っている。

「みんなして何種類あるかって聞くんだけど、数えられないんだ」

そう笑顔で話を始めてくれた栄三さんは、すぐに買い手がついてしまう美味しい野菜やハーブ、苗を育てる知る人ぞ知る有機農家だ。

とにかく美味しい。
苗がよく育つ。

と評判を呼ぶ栄三さんの野菜たちはどう育てられているのか?なぜ有機栽培を始めたかをうかがった。

栄三さん(左)とさくら(右)。

書き手:田丸さくら(TABETAI編集長)

-栄三さん、農業歴はどれくらいですか?

もう40年くらいよ。

独学です、全部。親は農業だったけど。俺は浅いんだよ。
鉄工業が本業だったから。建物、ビルとかの。

作っているものは花、ハーブ、野菜……畝ごとに変えている。
ちょっと珍しいのは、コーヒーの木。実験よ。

キャベツだけをとっても、ある程度の品種は全部やってる。だから何種類やってるのかって言われるとわからないんだよ。

-どうやってこの種類の農作物を売っているんですか?

直接売ってる。
レストランとか。岩手県内もそうだし、東京も。銀座のアンテナショップから始まって、紹介とかで。
けど、注文がきても足りない。

-栄三さんは有機農法を取り入れているんですよね。

最悪は使わないといけないけど、薬はつかない。
葉に虫はつくけど中(実)にはつかないように、強い虫がよっていく花とかを近くに植えてる。

虫に食われて穴が空いていたり虫がついているのは、周りの食べない部分の葉っぱだけ。

みんなやろうとしてもやれない。
今はこの虫がつく、これがくる。これにはこの虫がくる。それが全部わかっててできることだから。
虫とも仲良くならないと。虫が悪いわけじゃない。受粉がしやすくなるとかね。

-畝の並び方に工夫はありますか?連作障害(同じ科の野菜を同じ圃場で繰り返しつくり続けることによって生育不良となり、収量が落ちてしまう障害)などの対策が必要かと思いますが。

去年はこの畝はこれと覚えていて、それと違うのを植えてるね。

-どうやって記録してるんですか?

のーだよ。

-のー……脳?!何十種類もの野菜を植えた場所を全て記憶しているなんて、流石です。なぜ農業を始めたのですか?

最初は花だった。ハウスでやってていいなと思ったけど、油が高い。
千葉とかの方はあったかいからハウスでなくてもできる。だから太刀打ちができない。何かいいのはないかと考えてだんだんと。今まではこういうの(露路)はやってなかった。
今は苗を育ててるんですよ。それを一旦だして(売って)、余ったのを植えている。

-苗を育てるのは難しいと聞ききます。

水をかけていいとかどうかとか、一つ一つ違う。それを見極めなきゃいけないから。

毎日寝ても会話してるようになる、野菜さと。
今こいつは水欲しいって叫んでるなとか。俺は半日いらね、とか。

-なぜ有機にこだわっているのですか?

化学肥料だと甘みが全然(違う)。
美味しいのが作れれば、自分で食べる用で。それからレストランとかで食べてみて、これが美味しい!と思ったら自分で作ってみてってかんじだな。

-自分用が第一なんですね。ハーブみたいです!

いいよ。くってみ。

採れたてを、いただきます。

-味こいっ!!!!1番のおすすめは?

ルッコラは美味しいね。サラダにしたり。レストランなんかだと花も使ったり。

あ、ほら、鳥の来て虫食べてってくれたりも。普通の生活をするんだからさ。これを活かして農業はできる。

写真真ん中のマルチ(黒いカバー)のうえに鳥がいるのがわかりますか?何匹も寄ってきて、食事をしていました(スマホの限界を感じる)。

苗、見ていくか。

残したのを育てて、できたのの味まで見て。苗売るっていっても、そこまで面倒見なきゃ。
それで味も伝えられる。うん、これはいいよーとね。

この品種美味しくなかったな、というのもある。それはもう出さない。売ったって、「おめえから買ったの美味しくない」って言われるんだから。
2日間くらい立って説明して売る時もあるよ。渋民のイオンでしか今は売ってないな。

-味のためにやってることは?

土さ。
自分でやるには買うのが早いけど。いっつも普通に食うやつの、甘いとか辛いはない。普通の肥料だと一般基準にあわせてできるから。

-どっからとってくるんですか?

競馬場よ。馬糞。
これがそれよ。(ベリベリベリッ)

-これ!!!!

籾殻(もみがら)とか混ぜながら。これ足りないからとか考えながら。これも3年しないと使えないから。今発酵させてる。

-どれを入れたら甘みが出る、とかわかるんですか?

わかる。
土食べる。食ってみるのが1番わかる。あと触れば、これがどうってわかるようになってくる。

私たちもいただきました。栄三先生、素人では味の良し悪しが分かりません。

ほれ、これが肥料よ。3年かかったやつ。さっきのところから出したね。

本来1年でできる。馬ってのは1番発酵しやすいの。けど禁止薬物がでちゃって。肥料になるまでが早いから馬使ってたけど牛でも鳥でもいい。

田んぼアートも見ていくか。

-こんな取り組みもしているんですね!

色は種によって違うんだ。今年は6種類使ってるな。絵はおむすびころりんだな。おにぎりもってるから。
アンダーエイジってお笑い芸人もきて田植えしてたよ。

最初は役場から声かかったけど6年やってるね。

面白いからさ。


虫や鳥と共存し、花や野菜の個性を知りつくし、土を育てることで有機農業を実現している栄三さんのノウハウは、言葉で知るだけでは勿体無いほどの長年の経験と工夫が詰まっている。

有機農業を学びたい方、触れてみたい方、美味しい野菜やハーブを求めている方。
ぜひ、栄三さんの元へ訪れてみてください。

栄三さんの農園ホームページやSNSはないので、NIPPON TABERU TIMESにご連絡いただければご紹介します。

会ってもらえるかは、あなた次第かも。


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