後継者の問題
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事務長の退職をきっかけに
当院は老舗の病院。
院長は高齢であり、当時は既に70代になっており、事務長は60代前半でした。
人間関係も良く、福利厚生も整っていたホワイト企業と言える病院でしたが、事務長の退職と院長、事務長の後任に当たる人材がいないことから、当院は医療コンサル会社の傘下に入ることとなったのです。
これが当院の転落の発端となるのですが…
医療コンサル会社の約束
事務長の退職は突然と言うより事前連絡ということで朝礼の時に話がありました。
それと同時に医療コンサル会社が介入することになり、少しずつ新体制に向けて動き始めたところでした。
その当時、後任の事務長から「この病院はスタッフ達がとても優れていて、挨拶も徹底して素晴らしい。今までの方針を継続して病院を運営します」との話がありました。
経営者が変わるとなると不安があるものだし、この病院は今まで働いてきた職場よりも気楽に働ける場所。
これまでの気楽な感覚とは勝手が違うだろう…
少し気を引き締めないと…
↑実は、私のこの思いというのは私の思考の悪い癖から発したものであり、これも自分の人生の道を踏み外す原因となったのです(…というか、当時はそんな事に気付きませんでした)
医療療養型へ変換
当院はこれまで一般病棟と介護療養病棟からなっていました。
ところが、診療報酬制度の改定によって介護療養病床の算定額が下がることから、当該病床を医療療養型に変換したのです。
この時、これに伴ってかなりの人事異動がありました。
介護療養病床には担当のケアマネがおり、このスタッフは介護療養病床の施設長として就任していました。これは、以前、ヘルパー間の虐めの問題が発覚していた時に、病棟のトラブルの改善を図る為に施設長として配置したものであり、ケアマネもその改善に貢献しました。
このケアマネは普段はコメディカルの一員として就任しつつ、ケアマネも兼務していたのですが、色んな資格を所持して物知りなスタッフだったので、頼りにされていました。
そして、役職手当やケアマネの手当も付いていました。
しかし、介護療養型から医療療養型に変換した時に、このケアマネはポジションを降ろされ、役職手当もケアマネ手当も免除となってしまったのです。
医療となるとケアプラン作成の必要はないとしても…、終末期の患者のケアをするのなら、ケアマネの力を借りた方が患者のためなのでは?と思っていたんですけどね、こればかりは病院の運営方針ということもあって口出し出来ませんでした。
このケアマネは、これまで病院全体の取り纏めもしてきて、勉強会の開催や院内の行事やレクレーションで中心的に活躍してきてきたのです。
しかし、これらの権限も医療療養型に変換してから、そのポジションは他のスタッフに譲与となってしまいます。
そのケアマネの役割を後継するのが総師長となるわけですが、これまで総師長だったスタッフは降格となり、別のスタッフが総師長に就任したのです。
それなので、かなり看護師の間では人事が変動しました。
この新たに就任した総師長(教祖)がこの病院の癌なんですが、当時はその様子をみじんとも見せません。
教祖のこれまでのターゲットは自分の前任者(前総師長)。
恐らく教祖は、初代総師長の後任は自分の方が相応しいじゃないか?と思っていたのでしょう。
二代目の総師長は人柄は良かったものの、かなり無頓着なところがあり、会議にすっかり出席することを忘れてしまったこともある位でした。
そのような行動を後任の総師長は「総師長として自覚がなさすぎるし、他のスタッフが困っている」とよく批判していました。それで尚且つ他のスタッフの面倒をよく見ていたのですが、実はこれがとんだ罠だったのです。
裏切り
介護療養型から医療療養型に変換したのは、国からの収入を増やす為であることも大きいのですが、これに伴った人事異動が新たに就任した総師長によって好き放題にひっかき荒らされます。
まず、自分の気に食わないスタッフは退職に追い込む。
この辺りから、長期間働いていたスタッフが次々と退職することが縦続きに起こります。
中には一家の大黒柱であるのに、こんな時に退職してこれからの家の経済をどうやって支えていくの?っていう人もいました。
また、本心では「気に食わないから退職させたい」という看護師を「足を傷めているから使い物にならない」という理由で解雇させたこともありました。
この看護師には良くしてもらったし、退職したことは残念でした。
この看護師の退職に関して、院長は事務長(コンサル会社の)に「何であんないい人を辞めさせたんだ!」一発かましたのです。
そのうち、二代目の総師長も以前ケアマネとして従事したスタッフも退職することになります。この時、一気にスタッフが10名ほど退職しました。
この時期の朝礼の時に「古くから従事していて今まで当院を引っ張ってきたスタッフが次々と退職しています。過去は捨てましょう」との事務長代理の言葉。
経営者が変わり始めた当時の「以前の病院の方針を受け継ぎます」という言葉をまんまと裏切りました。
何だか最近、この病院おかしい…
方向性は悪化するばかり
当院の院長はご高齢であり、いつ引退になるのか分からない状態。
何とか院長のお蔭で昔の良さを保ちつつありました。
しかし、その院長も引退の時期を迎えることとなったのです。
当時就任していた事務長はかなり癖のある人…サイコパスなタイプでした。
自信があって堂々と振る舞っているものの、そこには人間的な温かみのない人であり、冷たい人柄が人相に現れていました。
独裁的なタイプです。
しかし、その事務長を制しているのが教祖様的存在である総師長。
この総師長が完全に天下を取ることになったのです。
この体勢になってから更に総師長の好き勝手やりたい放題となり、従業員は自分の親族で固めるようになります。
自分の気に入ったスタッフはえこひいき、気に入らないスタッフはパワハラで自ら退職届を出すように追い詰める。
後任の院長も「この病院は何だかおかしい」とぼやいていました。
新体制になってから、この病院の運営方針について色々と疑念を抱くようになり、「この地域の方達は医療療養型病院を求めていないんじゃないの?地域の方から信頼される病院にするには、地域住民のニーズを汲み取って、そのニーズに応えられるような方針で対応するのが病院の経営不振を回復させる近道なんじゃないの?」と思ったのです。
病院とデイケアサービスが併設してあり、リハビリに力を入れているということは、元々予防をコンセプトとした病院であるし、それでもってこの病院が地域住民から信頼を集められていたのは、今までの方針に安心感があったからでは?
しかし、医療療養型に変換してから、近隣住民からの評判が下がってしまっています。
「何だかこの病院、年寄り病院になってしまったね」
「前は電話一本で救急車が来てくれたけどね」
「あの病院、最近おかしいよね?」
しかし、運営に携わっている当人達は、「この病院は評判が良い」って豪語しています。
全くと言っていいほど、自分の悪事を認めない有様。
そして、病院の運営を支えているのが、国民の税金が大元となっている多額の診療報酬。
医療療養型では、医療依存度が高く重症患者を多く受け容れる程、報酬が上がります。
当コンサル会社の傘下となっている病院の多くは医療療養型が多く、診療報酬を当てにしている病院が殆どです。
かと言って、物品を購入依頼する時に少しでも値段の高いものを要求すると、凄い剣幕で怒鳴りつけられます。
何でもグループで統一するところもあるので、個人病院のように融通がききません。
何だか悲しくなります。
これは患者としての立場としてもそうだけど、従業員としてもショックなことです。
当院は中小規模な病院であることから、大体的な医療は行わないものの、金儲けを中心とした地域住民の意向を無視した運営方法に転換してしまったことは本当に残念に思います。
ベルココンベア式の手術も機械的で人を人として扱う有様ではないですが、ただでも冷たい西洋医学に依存した医療は、更に冷たくなってきているという残念な事実です。
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