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「災害時の食と栄養 支援の手引き」~更新情報(2024年5月)

手引き第1章のテーマは「被災地での食と栄養の問題」。栄養バランスのよい食事の重要性を理解していただくことを目指して、長年繰り返される問題の構造を紐解きながら、その解決に向けた支援の在り方について問題提起を行っています。

被災者の声を通じて見える健康上のリスク

1カ月以上おにぎりとパンだけ・・・*
冷えて硬いおにぎり、揚げ物ばかり・・・*
とにかく温かい味噌汁が飲みたい・・・*

食にまつわる被災者のこうした吐露に並んで聴こえてくるのは、「1週間以上便秘をしている」*という声です。水分や食事の不足から、便秘症状が出ているかもしれません。トイレ環境の懸念から飲食を控えてしまう人もいます。
*出典:「炊き出し&場作りの知恵袋」(アレルギー支援ネットワーク(レスキューストックヤード監修))

災害初期だけでなく、長引く便秘にも注意が必要です。今回、手引きの監修を担う坪山(笠岡)宜代先生が室長を務められる国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国際災害栄養研究室の研究員・原田萌香先生らの研究により被災者における9年間の追跡調査の結果、便秘とメンタルヘルス・身体活動・食事・高年齢 との関連性が示唆されたことに伴い、手引き内の一部の文言を更新しました。

Harada M, Tsuboyama-Kasaoka N, Yonekura Y, Shimoda H, Ogawa A, Kobayashi S, Sakata K, Nishi N 2024

ワンパターンの冷たい食事が数週間も続くことで、食欲が落ちてしまう方は少なくありません。便秘などの症状が出ている場合には、食事だけではなく、精神的な問題を抱えていたり、身体を動かすことが少なくなっていることもあるかもしれません。健康被害を訴える声も多いのにもかかわらず、これまで見てきたような事情が複雑に絡み合い、この状況は何十年も変わらず、繰り返され続けています。
この状況を少しでも変えて行くために、いろいろな領域で支援を増やしていくことが必要です。そして、この手引きを読んでくださっている皆さんがかかわることのできる領域はたくさんあります。ぜひ、この後も読み進めていただき、どんなことができるか一緒に考えてみましょう。

[災害時の食と栄養 支援の手引き」第1章P11


支援の在り方のみならず自助の観点からも、心と体の健康が何よりも重要であり、そのために「いつも」から食と栄養をおろそかにしないというメッセージを強く伝え続けていきたいと思います。


「支援の手引き」は冊子版とダイジェスト版の2種類を用意しています。
皆さまの災害支援に関わる活動上で有益に役立てていただきたく、10冊以上お求めの方を対象に冊子版を無償で提供しています。
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