瀬戸内海行き当たりばったり旅~しまなみ海道完全走破~ 第6話
因島水軍城を遠目に見ながら自転車は真っ暗な道を進む。
因島の飛び出し坊や。急ぎながらも安全には気を付けて進んでいく。
しまなみ海道を夜に走る人は少ないのか、周囲に街灯は殆どなく、頼りになるのは自転車のささやかなライトだけ。
写真撮影もままならない暗さ。造船所のチャイムが8時を知らせていた。
午後8時15分。因島大橋に到着。次の島は向島。
因島大橋はこれまで渡ってきた橋と違い二層構造になっている。上層に自動車が、下層に歩行者と原付が走る。車道がないので眼下にしまなみのきれいな景色が見れるのだが、、、
事件発生
因島大橋を渡り切り、ループしながら橋を降りていく。当然ループ道にも街灯なんてある訳もなく、スピードを出しすぎないように慎重に降りていく。全神経を自転車のライトの先に集中していると、何かが物体が横切るのを見えて慌てて急ブレーキ。野良猫か?と思っていたら、聞きなれない野太い鳴き声が。
「イノシシかぁーーーーー!」
一瞬だけ姿を現したイノシシ。小さいのと大きいのが数匹見えたのできっと家族連れだったんだろう。そういえばしまなみ海道の道中にはいたるところにイノシシの動物注意の標識があった。まさか本当に出会うとは。こんな夜にイノシシにぶつかったら遭難間違いなしである。イノシシだって危うく一家離散になるところだった。お互い損しかしない。
動物避けの代わりにYoutubeでパンクバンドの曲を爆音で流しながら向島へと入っていった。
結局、向島のフェリー乗り場に着いたのが午後9時45分。どうにか最終便の1つ前のフェリーに乗り込んだ。尾道駅前の乗り場までは5分ほど。本州の街明かりを見ながら思わず「生きてる」と言葉が漏れた。
ゴール
尾道駅前の広場で自転車を止めて写真を一枚。スマホの時計は午後10時を示していた。延べ14時間、永遠と自転車を漕ぎ続け、どうにかゴール。当然レンタサイクル屋の営業はすでに終了していたので、自転車は明日返すことに
して駐輪場に停めて、電車でネットカフェがある福山へと向かった。
こうしてこの旅の初日がようやく終わりを迎えたのである。
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