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成田 くうこう (小説、詩、エッセイ)
2019年5月4日 18:03
それからふと目を覚ますと、少女は見果てもない草原の真ん中に裸で立っていました。深呼吸をすると、草原のざわめきが光の粒子と共に肺の中を一杯に満たして、うねる緑の海からは、鋭い残像がきしきしきしきしと音を鳴らして飛び退っていくのが見えました。少女の体は何故か全身びっしょり濡れて、髪や指の先から滴がぽたぽたと滴り落ちています。耳の奥からは人の声ともつかないような囁き声がふつふつふつふつと溢れ