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純化。Chateau Rayas Pignan 2008

出会う度に、「これが最後かもしれない」と思って飲む造り手はいくつもありますが、その一つがラヤスです。
ちょっと前まで近くで一緒に楽しめた人が、いつの間にか遠くに行ってしまった、そんな存在。

とある京都の夜、この日まったく想像もしていなかったラヤスが目の前に現れてくれました。
最初に伝えたい。心遣いやいろんなこと、本当にありがとう。


グラスから薫りがどんどん立ち上がってくる。飲む前から、このラヤスはまさに今飲むべきものだったと教えてくれる。

色気がある言葉ではないけれど、このラヤスは空気清浄機みたい。
飲めば飲むほど、浄化されていく。
果実の黒さをほんのり感じながら、泉のような透明感を感じます。
私はラヤスを飲んだとき、ミレーの『オフィーリア』をよく思い浮かべるのですが、今回のラヤスもそれをイメージさせるものでした。幾層にも色が重なる泉。
なおかつ今回は、時が経つほどに純化されていく白の世界。
王道ですが、モネやシスレーの冬の絵画。

人生の中で、忘れられないラヤスのピニャンになりました。

さて、今年もあと1週間と少し。師走は毎年そうですが、今年はどんな年だったか、味わう暇もなく終わっていく。なんなら今月ワインをちゃんと飲んだのはたったの2回…。会いたい人に会える12月にしたかったけれど、なかなかそうも行かないのかなと頭の隅の隅で思いながら、あと1週間なんとか走り続けて行こうと思います。

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