同志で集い、働く(part1) 「シスターフッド書店Kanin」 (仕事文脈vol.25・特集1 どう、集まる?)
書店や飲食店など個人経営の店では、夫婦や男女カップルという単位で運営されていることが少なくない。そこでは男性が店主として表に立ち、女性は裏方というケースもしばしばだ。店を営むうえで、夫婦・家族経営、あるいは店主と雇われスタッフといった以外では、どんな関係性があるのか。共有する考えのもと、対等な関係性で店を続ける人たちに話を聞いた。(取材・文:編集部)
シスターフッドが生んだ 女性が集える本屋
「本屋やる?」「やろっか!」
京都市左京区、白川通沿いに建つ複合ビル内に2023年8月にオープンした「シスターフッド書店Kanin」。フェミニズムやジェンダーをテーマにした本を中心に、新刊から古本まで並ぶこぢんまりとした書店だ。店主の井元綾さん、京極祥江さんは大分県の出身で、小学校から仲良しの幼なじみである。
「漫画の『あさきゆめみし』にハマったことをきっかけに仲良くなって。そこから2人とも『源氏物語』好きが始まって、原作をはじめ、遠い図書館まで行っていろんな訳を読みました。授業中に御文を書いてやりとりしたり、平安時代の物語を書いたり。当時は気づいてなかったけど、お互いオタク気質で」(井元さん)
中学では『聖闘士星矢』にハマり、メンバーを集めて同人誌をつくって地元のコミケに参加したり、交換日記をしたりと関係を続けてきた。その後井元さんは神戸、京極さんは東京の大学に進学。卒業後は互いに出版の仕事に就き、20代の頃に井元さんはイタリア、京極さんはデンマークと海外生活も経験した。ともに結婚・離婚や、転職も幾度か経て、偶然にも2022年の春に京都で再会した。
「私は普段フリーライターをしていて、仕事で奈良の独立系書店の取材に行ったんです。経済的なことを考えなくていいんだったら本屋をやりたいって店の人と話したら、儲かるわけじゃないし難しくないよって言われて。京都に越してすぐにデンマーク人の夫と離婚して、週末に子どもが元夫のところに行くので自分の時間もできたところでした。綾ちゃんとは月1で昼飲みしてて、飲んでる時に『本屋やりたいんだけど、どう思う? やる?』って聞いたら、『やろっか!』って」(京極さん)
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