
「自分が何をしたいのかわからない… その理由と見つけるためのヒント」
「自分が何をしたいのかわからない」――そんなふうに感じたことはありませんか?
この悩みは、多くの人が抱えるものです。カウンセリングの現場でも、「自分の本当の気持ちがわからない」「何をしたいのか分からない」という声をよく耳にします。
このような感覚の背景には、幼少期の親子関係が深く影響していることがあります。大きく分けて、次の2つの状況が挙げられます。
① 親が子どもの気持ちを受け取らず、操作的に接してきた場合
「そんなことが好きなの?」「こっちの方がいいよ」「なぜあなたはいつもそうなの!」などと親の価値観を押し付けられ、自分の気持ちを否定される経験が続くと、子どもは次第に本当の自分の気持ちを表現することを諦めるようになります。親の考えや期待に合わせる行動を繰り返すうちに、「自分の本当の気持ち」を見失ってしまうのです。
② 親が病気や事情で余裕がなく、子どもの気持ちを受け取ることができなかった場合
親が自分のことで精いっぱいで、子どもに対して無視状態(ネグレクト)になると、子どもは自分の気持ちを表現しても受け取ってもらえないと感じ、孤独感を抱えるようになります。その結果、親に愛されたい一心で、親の機嫌を伺う行動ばかりが優先され、「本当の自分の気持ち」を感じる機会がどんどん失われていきます。
このような経験をした子どもは、成長して大人になっても「本当の自分」がわからなくなり、何をしたいのかを見つけることに苦労することがあります。
私自身もこの②の状況を経験しました。親が病気を抱えていたため、自分の気持ちを受け取ってもらえないどころか、関心を向けられることもほとんどありませんでした。その孤独感は、私の中で長く消えずに残っていました。
そんな私が「本当の自分」を取り戻せたのは、ゲシュタルト療法やオープンダイアローグという心理療法に出会い、仲間たちと気持ちを共有する中で、「自分はこれでいいんだ」という感覚を少しずつ体感できるようになったからです。
もし、あなたが「自分が何をしたいのかわからない」と感じているなら、無理に一人で抱え込まないことが大切です。信頼できる人やカウンセラーに気持ちを話してみるだけでも、心が軽くなることがあります。そして、「親や周囲に合わせるための行動」ではなく、「本当の自分の気持ち」に気づくことで、自分らしさを見つけていけるはずです。
私たちはみな違っていて、それでいいのです。「やりたいことがわからない」という悩みも、あなたが自分と向き合う大切な過程の一部。その先に、きっと自分らしい生き方が見えてくるはずです。