ビール衣のたこ焼きフリット
プロ目線のかんたん手抜き飯シリーズ。
僕は地元大阪のソウルフード『たこ焼き』が大好物で月3~4回は欠かさず食べていますが、たまに無性に食べたくなって自宅で作っているのが今回ご紹介する『たこ焼きフリット』というアレンジ料理です。
実はこの料理の元ネタは僕がまだ若かりし中学生だった時代にまでさかのぼります。
当時、学校の近くにあったプレハブ小屋でやたらと元気な関西のおばちゃんが一人で経営していた小さなたこ焼き屋。そこに『たこふらい』なる怪しげなネーミングのオリジナルメニューがありました。
油を鉄板に流してカリッとした素揚げ食感に仕上げる有名な『築地 銀だこ』が創業するよりも昔の話ですが『たこふらい』はそれとも少し違って、普通に焼いたプレーンなたこ焼きを天ぷら衣にくぐらせて油で揚げるといった、いわば単なる『たこ焼きの天ぷら』でした。そして一般的なソースやカツオ節を使った味付けではなく、なぜかケチャップとマヨネーズがかかって出てくるのです。
飲食店経営者になった今だからこそ想像できるのは、おそらく売れ残って冷めてしまった在庫のたこ焼きを天ぷらにすることで、どうにか廃棄にせず売り切ってやろうというおばちゃんのエコロジーな(セコい)発想が起源であった可能性が高いということ。
そして味付けをケチャップとマヨネーズにしていたのは当時、ちまたで流行っていた『チキンナゲット』の食べ方として新しかった組み合わせを取り入れることでナウでヤングな客層へのウケを狙ったおばちゃん渾身のマーケティング戦略のひとつだったのではないかということです。
たこふらいの価格はたしか6個(毎回1個おまけの実質7個)で100円くらいと安かった上、天ぷら衣をまとっているためサイズが大きく食べごたえがあり衣はサクサク、中はトロトロ。他店にはない斬新さも相まって人気を博し、夕方になると店舗周辺はいつも部活帰りの地元中高生でにぎわっていました。
数年前、久々にふらっと地元へ立ち寄ったらおばちゃんのたこ焼き小屋があった場所はコインパーキングに変わっていました。
もう二度と食べられない記憶の中の『たこふらい』をトリビュートし、洋食のシェフへと成長した僕が品質をさらにブラッシュアップしてみました。
僕の青春の味。おひとつ、いかがですか?
① 基本の材料
【ビール衣】 ※作りやすい量
・ 天ぷら粉 … 150g
・ 塩 … 1つまみ
・ 缶ビール … 200g(※よく冷えたもの)
【たこ焼きフリット】
・ たこ焼き … お好きなだけ。
※お好みのたこ焼き屋で何もかけずに購入。
・ サラダ油 … 適量(※フライ用)
・ ビール衣 … 適量(※レシピ参照)
・ ケチャップ … 適量
・ マヨネーズ … 適量
・ ドライパセリ … 適量
・ 粉チーズ … 適量(※お好みで)
② ビール衣の仕込み
1. ボウルに分量の天ぷら粉と塩を先に入れ、そこへ分量の冷たいビールを注ぎながら泡立て器でやさしく混ぜて溶かす(※少しくらいダマっぽい状態でも構いませんので炭酸が飛んでしまうほど激しくかき混ぜたりはしないでください)。
2. 残りのビールを飲み干す。
③ たこ焼きフリットの調理
1. フライ用の鍋に揚げ油をたっぷり入れて火にかける。
2. 温度計があれば170度~180度にまで温める。
※なければ油に衣を数滴落としたときに衣が底までは沈まず、中ほどまで沈んでからすぐ浮き上がってくる状態にまで温める。
3. たこ焼きを1個づつ、ビール衣につけて衣をまとわせて揚げていく。
4. 2分ほどを目安に表面がカラリと色よくなるまで揚げる。
5. お皿に盛り付け、ケチャップとマヨネーズをかけ、彩りにパセリをちらせば完成。お好みで粉チーズも振りかけてどうぞ。
④ ポイント&ヒント
・ ビールの種類は何でも構いませんが、いわゆる発泡酒よりはビールのほうが麦の風味が立って美味しく仕上がります。天ぷら粉と混ぜる前に冷蔵庫でしっかりと冷やしておいてください。
ビールのアルコールは残りませんので、お子様でも安心してお召し上がり頂けます。全くビールを飲まれない方は余った時に捨てるのはもったいないので、冷たい炭酸水で代用してください。
・ ビール衣は揚げる直前に用意してください。しつこく混ぜ過ぎたり、混ぜてから時間を置きすぎると泡が消えてしまい、フリットならではの軽い食感が損なわれてしまいます。
・ たこ焼きはお好みの店で『ソースもなにもかけずに、そのままでください』とお願いし、プレーンな状態のものを購入してください。
購入してから調理までに時間が経って少ししぼんでいても油で揚げると再膨張して張りが出てくることが多いので気にしなくて大丈夫です。
たこ焼きは元々食べられる状態ですので仕上がりは表面の揚がり具合だけを目安とし、内部の火の通り加減について気にする必要はありません。
・ ケチャップやマヨネーズは上に直接かけず別の小皿で添えて各自でつけながら食べるようなスタイルでも構いません。むしろ、衣のサクサク感は別添えにしておいたほうが長持ちします。
・ せっかくフリット用のビール衣と揚げ油がありますので、たこ焼きフリットを作る時はそれだけではなく、同じ要領で鶏ささみ肉や白身魚の切り身やイカやむきエビ、野菜なども一緒に揚げれば食卓が華やかになります。
[ビール衣のフリットにおすすめの野菜]
・ ブロッコリー
・ カリフラワー
・ パプリカ
・ ナス
・ ズッキーニ
・ ニンジン
・ アスパラガス
・ ジャガイモ(※要下ゆで)
・ カボチャ(※薄切り) etc...
⑤ 要点まとめ
・ お好みのたこ焼きをプレーンの状態で購入する。
・ 揚げ油を170度~180度に温める。
・ 天ぷら粉と冷たいビールを混ぜ合わせる。
・ たこ焼きを1個づつ、衣をまとわせて揚げていく。
・ 皿に盛り付け、ケチャップとマヨネーズを添える。
・ パセリを振りかけ、好みで粉チーズをかけて完成。
・ ついでに鶏肉や魚介類や野菜などを揚げても良し。
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