俺の四川風麻婆茄子
何を隠そう僕は無類の麻婆(マーボー)好きなのですが中華レストランや専門店を含め、あらゆる麻婆系料理の中でもっとも美味しいと思っているのが自分自身で作る本格シビカラの『四川風麻婆茄子』。
まさに『俺の四川風麻婆茄子』一択です。
職業柄、これまで様々な人の作る麻婆茄子を食べてきましたが今回ご紹介するレシピは、みなさんが既に知っている一般的な麻婆茄子とはレベル違いの美味しさであることをプロの料理人として保証します。
その昔、中国本土にある有名ホテルで料理長を務めていた経歴をもつ日本人シェフの方と飲食関係の仕事を通じて知り合ったのですが、彼の作った『麻婆茄子』をひとくち食べた瞬間、僕の中でそれまでの麻婆茄子のイメージが大きな音を立てて崩れ去りました。
・ まるで舌の上で溶けるようなふわトロ食感のナス。
・ 芳ばしく香り立つ醤の風味と花椒の心地よい痺れ。
・ 濃厚な味わいと見事に調和した刺激的な辛味。
・ どこまでも長い余韻を楽しめる限りなく深い旨味。
あまりにも衝撃を受けた僕は恥もプライドも捨て、その場ですぐにレシピを教えてほしいと懇願し、詳しくメモさせてもらいました。
以降、何十回と繰り返し作っていく中で、あくまで彼に教わったレシピを基盤としつつも、より自分好みの味わいに近づくよう改造を重ね、かなりの歳月をかけてようやく現在のレシピにまでたどり着きました。
もはや自分にとっては、これ以上に美味しい麻婆茄子のレシピはこの世には存在しないと言い切れるくらいの自信作です。
いつも市販の麻婆ソースを利用されている方には少し面倒に感じられるレシピかも知れませんが、ぜひ一度だけでも休日の遊び感覚で挑戦されてみください。
思わず感動のため息が漏れるような衝撃の美味しさをお約束します。
① 基本の材料
【麻婆だれ】 ※4人前
・ サラダ油 … 大さじ1
・ きざみニンニク … 20g
・ きさみショウガ … 20g
・ 甜麺醤 … 25g
・ 四川豆板醤 … 25g
・ 豆豉 … 15g(※細かくきざむ)
・ 水 … 500ml
・ 創味上湯 … 20g
・ 上白糖 … 20g
・ 濃口醤油 … 20ml
・ ラー油 … 大さじ1
・ ごま油 … 大さじ1
【肉味噌】 ※4人前
・ 豚ひき肉 … 300g
・ 塩コショウ … 適量
・ サラダ油 … 大さじ1
・ 紹興酒 … 20ml
・ 濃口醤油 … 小さじ2
・ 甜麺醤 … 40g
【揚げナス】 ※4人前
・ ナス(中) … 6本
・ 強力粉 … 適量
・ サラダ油 … 適量(※揚げ用)
【四川風麻婆茄子】 ※4人前
・ サラダ油 … 大さじ2
・ 唐辛子(ホール) … 5本
・ きざみニンニク … 15g
・ きざみショウガ … 15g
・ 四川豆板醤 … 15g
・ 肉味噌 … 全量(※レシピ参照)
・ 花椒パウダー … 1g
・ 麻婆だれ … 全量(※レシピ参照)
・ 揚げナス … 全量(※レシピ参照)
・ 長ネギ … 70g(※粗みじん切り)
・ 水溶き片栗粉 … 片栗粉(大さじ2)を水(大さじ4)で溶いたもの
・ ラー油 … 大さじ1
・ ごま油 … 大さじ1
・ 黒酢 … 大さじ1
・ 花椒パウダー … 適量(※お好み)
・ 白髪ネギ … 適量
② 麻婆だれの仕込み
1. 片手鍋にサラダ油を敷き、きざみニンニクときざみショウガを中弱火で香りが立つように炒める。
2. 甜面醤と四川豆板醤、包丁で細かくきざんでおいた豆豉を加えて炒める。
3. 芳ばしい香りが立ってきたら、分量の水を加えて一度沸騰させる。
4. 創味上湯を混ぜ溶かし、再沸騰させてアクをひく。
5. 上白糖と濃口醤油を加え混ぜ、砂糖が溶けたら火を止める。
6. 最後にラー油とごま油を加えて、ひと混ぜすれば完成。
③ 肉味噌の仕込み
1. 豚ひき肉をボウルに入れて下味程度の塩コショウをふり、しっかりと手でこねて味を馴染ませる。
2. 熱したフライパンにサラダ油を敷き、豚ひき肉を平たく広げてのせ、はじめのうちはハンバーグを焼くような要領で塊のまま片面に焼き色を付けていく。
3. ある程度、焼き色がついたら木べらで粗くほぐしていく(※細かくしすぎないよう、かなり粗めのそぼろ状に仕上げます)。
4. 肉に火が通ったら紹興酒を加えて軽くひとまぜし、分量の醤油と甜麺醤も加えて肉になじませるように炒める。
5. 手付きザルで余分な脂を切って完成。
④ 揚げナスの仕込み
1. ナスは乱切りにしてボウルに入れ、全体に適量の強力粉をまぶす。
2. 揚げ用鍋にサラダ油を注ぎ、180度まで熱したらナスを入れていく。
3. 表面がうっすらとキツネ色になるまで揚げたら、キッチンペーパーに上げておきます。
⑤ 四川風麻婆茄子の調理
1. フライパン(もしあれば底が深めの炒め鍋を推奨)に分量のサラダ油を敷き、種を取り除いた唐辛子と、きざみニンニクときざみショウガを放り込んで、中弱火で香りが立つように炒める。
2. 四川豆板醤を加えて少しだけ焼いたら、先に仕込んでおいた肉味噌を全量加える。
3. 分量の花椒パウダーをふりかけて全体に馴染ませる。
4. 仕込んでおいた麻婆だれを全量加えて沸騰させる(※たれは底の方に調味料が沈殿しているかもしれませんが、それらも残さず全て加えます)。
5. さらに仕込んでおいた揚げナスも加え、崩さないように優しく全体を馴染ませたらグツグツと1~2分ほど煮る。
6. 長ネギの粗みじん切りを加え混ぜ、水溶き片栗粉を少しづつ加えながら、好みの濃度にとろみをつける。
7. 適度なとろみがついたら、ラー油とごま油と黒酢を各大さじ1づつ加え、ひと混ぜして火を止める。
8. 麻婆茄子を皿に盛り付け、好みの量の花椒パウダーを振りかける。
9. 仕上げに白髪ネギをふんわりとのせて完成。
→ 白髪ネギの作り方についてはこちらの動画をご参照ください。
⑥ ポイント&ヒント
・ このレシピは痺れと辛みの強い四川風の本格派ですのでシビカラ味が苦手な方やお子様にはおすすめしません。しかし、麻婆系の料理が好きな方にとっては間違いなく至高の逸品であることをお約束します。
・ 辛さや痺れを控えめに作りたい場合はレシピ内で使用している全ての四川豆板醤、ラー油、唐辛子、花椒を半分量にしてお作りください。味やコクはあまり変わらず、辛みや痺れの要素だけを半減させることができます。なお、四川豆板醤を減らした分は甜麺醤で補い、ラー油を減らした分はごま油を増やして全体のバランスを補ってください。
唐辛子や花椒を減らした分に関しては特に何も補う必要はありませんが花椒の痺れだけが苦手な方は普通の山椒パウダーを代用品として使用すれば本格的な風味は受け継ぎつつ、痺れの刺激は気にならなくなるはずです。
・ 豆豉(トウチ)とは大豆や黒豆に塩を加えて発酵乾燥させた中華調味料の一種で塩辛さと強い風味、まろやかなコク味とふくよかな香りを合わせ持つため、料理の味に深い奥行きを持たせることができます。
入手はネットや中華食材専門店の他、大きなスーパーでなら売っていることもあります。ちなみに豆豉をペーストにした豆豉醤という商品も出回っていますが、当レシピで使いたいのはあくまで豆状の豆豉ですのでお気をつけください。
・ 花椒(ホアジャオ)はいわゆる痺れの調味料です。今回のレシピでは入手しやすく扱いやすいパウダータイプを使用していますが、より強烈な痺れを求める方は粒状の花椒(ホール)を加える直前にすり潰してご使用ください。
・ 後味や旨味が変化してしまいますので可能な限りはレシピ通りの食材を揃えて頂きたいところですが、以下に関しては入手しやすいものや既にご家庭にあるもので代用されても特別な悪影響はありません。
・ きざみニンニク → おろしニンニク
・ きざみショウガ → おろしショウガ
・ 四川豆板醤 → 普通の豆板醤
・ 豆豉 → 普通の味噌(できれば八丁味噌)
・ 豚ひき肉 → 合いびきミンチ
・ 紹興酒 → 普通の酒
・ 強力粉 → 薄力粉(or 片栗粉)
・ 唐辛子(ホール) → 唐辛子(輪切り)
・ 創味上湯 → 味覇(or 鶏がらスープの素)
・ 長ネギ(粗みじん) → 普通の刻みネギ
・ 黒酢 → 普通の酢
・ 花椒 → 普通の山椒(痺れは消えます)
・ 白髪ネギ → 普通の刻みネギ
※ただし、食材を置き換えられた場合のレシピ量については同量がベストとは限りませんのご自身で調整されてください。
・ ほぼ同じ工程で四川風麻婆豆腐を作る事も可能です。麻婆豆腐にする場合は沸騰させた湯にひとつまみの塩を加え、そこへダイスカットした木綿豆腐を投入してサッと短時間だけ湯がきます。そして手早く手付きザルにあけて余計な水分をきったものを事前に用意しておき、それを揚げナスの代わりに置き換えて調理すれば完璧です。
豆腐を塩水で下茹でしてから使うことで弾力が増し、崩れにくく、麻婆ソースに余計な水分が流れ出にくくなる効果が期待できます。
⑦ 要点まとめ
・ 香味野菜と醤を炒め、水と調味料を加えて麻婆だれを準備。
・ 豚ひき肉は粗めのそぼろ状に炒め、甜麺醤をからめておく。
・ ナスは乱切りし、強力粉をまぶして180度の油で揚げる。
・ 唐辛子、香味野菜、豆板醤を炒め、肉味噌を合わせる。
・ 花椒を加え、仕込んでおいた麻婆だれと揚げナスを加える。
・ 少し煮込んでから長ネギを加え、水溶き片栗粉でつなぐ。
・ ラー油とごま油と黒酢を加え、ひと混ぜしたら皿に盛る。
・ 好みの量の花椒をかけ、白髪ネギをふんわり飾って完成。
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