未来掲載短歌 2023年6月号

未来2023年6月号掲載

耐用年数

確実に降る雲だこれ行く先に見えて青信号を急がず
間に合わせのはずのカッパで二年間通勤してる、できる運勢
あっ私インク替えます!取ってきます!同僚はいま喪主をしている
定年に達した人を見送ってあすが変わらず来るのも変だ
ゆっくりした雨の降る日はつま先も濡れないような歩幅たのしむ
毎日が出張のようドラム式洗濯機まだ買いたてのころ
念のため九時ごろまでは掃除機をかけないでいる部屋ごとに時差
携帯が床にぶつかり暴力の音じゃないかと抱きしめに飛ぶ
ドラム式で洗うと縮む服があるそれを狙って入れてみようか
おそれつつ数多の箱を開け放つそのコンテンツ他界するとき

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