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未来掲載短歌 2021年7月号

未来2021年7月号掲載(未来広場)

春に見るもの

花嵐 通勤中の自転車の速度がゆるむ城下の道で
前輪にせき止められた花屑に駐輪場の二時間を見た
推しが増え時間が消えるそれならば髪を短くするのだ私
冷食のチャーハンかっこむこの後に推しの配信ふたつを控え
引越しが街を揺らしている中で自分の部屋を無難に保つ
廃屋の庭に咲く薔薇感じつつ直視はしない、雨が降りそう
背もたれにバックプリントTシャツのエッフェル塔がぴたり凭れる
帰路ばかりゆく足ホームセンターのマリーゴールド雨に打たれて
イベントのたびに炎上する役者うらめ裏目がついに極まり
この街の春をいつまで喜べるだろう、と私だって怯むよ

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