未来掲載短歌　2022年12月号

未来2022年12月号掲載

いぬる

自分より給与の高い人のする超過勤務を減らすため居る
この家では爪切りとして潜みたい　どうしてシャチハタと間違うの
お互いに見せない顔だ泣いてたらロック解除ができないからね
名古屋まで東も西も荒天であなたは陸路・私は空路
あなたの手が私の名前を書いている。つらなり踊る文字と心と
手紙ならあなたのことが好きと書くだけにしていた暴れる霰
ありがとうを正しいイントネーションで言う練習をついに始めた
貴方らも喪主はしたことないやんか、やけん私がやりたい　と言う
全員の喪主をつとめて宇和島の土地ごと燃やす　そして引っ越す
東海道新幹線の通う地に移り住むため日々を働く