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未来掲載短歌 2021年2月号

未来2021年2月号掲載

器具となりそれの仕組みに従って口開くのみ嘔吐するとき
環状線十三分の電車旅、旅と思って試験へ向かう
秋めいて澄みわたる風切り出会うたばこの香り鋭利さ増して
わかってる奴になりたい私たち二本の指でハートを作る
(もしもこの会話が演劇だったなら)(たまにそういうことを思うよ)
帰宅後に綺麗にしたい引き出しをわざわざ開けて家を飛び出す
開かれることなく在庫のままでいる消毒液の埃をはらう
中指で手帳をめくり来年のライブの予定を書く、強く濃く
推しの髪型を比較し推し量るこの回先週録ったっぽいね
左から右から遮光カーテンをひく ほどほどに幸せ者だ

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