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クラピカ性別論争はなぜ起きたのか??「女の子説」「性別不明説」はジェンダーロール、ジェンダーバイアスの時代的な限界性のせいだった??
HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)の人気キャラに、クラピカという青年がいる。
彼は公式にも男性であり、原作の漫画を読むと私も男性だと思っていた。
しかしYouTubeやインスタグラムのコメントを見るに、「クラピカは女の子だと思う。」「性別は明らかに成ってないよね」「むしろ男の子か女の子か分からないで欲しい」という性別論争・女の子説が未だに書き込まれていることが多い。
①女の子説の原因は旧アニメ??
ハンターハンターには最初にアニメ化された旧アニメと、リメイクされた新アニメがある。
そして旧アニメではクラピカに胸があるような描写が有ったり、レオリオが「本当に犯しちまうぞ!!」(アニオリの軍艦島編18話~)と現代ならフェミニストらが激おこするような発言まであったりする。
これに対しては旧アニのスタッフGJ!と拍手を送る人もいた中、「なんでカッコいいクラピカを女体化させてるんだ!」「ひどい改悪だ、原作レ〇〇に近い。」と批判している原作重視派(原理主義者)にファン層は二分された。
私個人としても、クラピカは男性だと思っているので女の子を匂わせるのは違和感がある方である。
(個人が二次創作でクラピカ♀を描くのは勿論自由である)
②なぜ前時代にはクラピカを女子に寄せる必要があったのか
なぜクラピカを女の子に寄せるような描写が一部で見られたのか?
勿論、スタッフにちゃんとキャラの正しい情報が伝わってなかっただけかもしれない。
だが可能性の1つとして、「ジェンダー(社会的な性別)」に対する時代的な制約のせいだと私は思う。当時(90年代)は現代のようなLGBTという表現もないし、Xジェンダー・中性という概念も認知されなかった。
性的マイノリティはまさに「忘れられた人々」「存在していないとされた人々」だったのである。
性別には「男か女かしかない」しかもジェンダーロールも「限定されていた」のである。
そして漫画やアニメには「ヒロイン枠」があるものだとされていたのだ。
そしてそのヒロインは、けなげで、男性から守ってもらい、男の子と恋愛をする、、、というジェンダーロール(性的役割)の定形にハマっていた。
今でこそ、女装男子や男の娘、かぎかっこが付いた「女の子」(意味深)の存在は認知されてるが、当時としては「性別は女の子か男の子しかない」「女子とはこうあるべきで、男子とはこうあるべき」というロールの狭さがあったのだ。
また「女子は恋をして、男子を求めるべき」というバイアス(刷り込まれた偏見)もあり、クラピカはやや強引に?、レオリオとカップリングのような関係にされたのだろうか。
(ただし暗黒大陸編でもレオリオがクラピカを気遣っていたり、クラピカはレオを信頼しているかのような描写もある)
クラピカはその時代の「常識」「型」に合わせるために女の子っぽくされてヒロインポジに押し込まれたのではないか?
③ジェンダーの多様性により「かわいい男の子がいてもいいじゃないか」となり、クラピカは男子である事が許された?
ところかわって個性や多様性が地位を得てきた時代。
性に対しても多様性があり単純な「男・女」では区別できないという概念も増えてきた。
そして「女の子っぽい男子がいてもいいじゃん」「フェミニンなかわいい男の子がいてもいいじゃないか」という感情の人も増えたし、「むしろ付いていた方がお得じゃん」という極左愛国主義過激派も増えてきた。
「女の子のようにかわいい男の子」さらに「女の子よりもかわいい男の子」がいてもいいじゃないか。女装してもいいじゃないか。男子がスカート履いてもいいじゃないか。
という時代に成ってきたのである。
そのために2011年の新アニメのクラピカは、「男性だけど美しい」存在であることが許されたのである。
男の娘やXジェンダー、中性も存在が認められてきたのである。
「女の子ぽい存在が、身体の性別も女の子でなくてはならない」という時代的な制約から解放されたのである。
また女子だからと言って、少女漫画のように男子への恋や恋愛をしなくてはならなくとも良くなったのである。
女装が異様に似合ったり、女の子っぽい見た目の男性がいてもいいじゃなかと多様性が尊重されたからこそ、クラピカは「男として」存在が許されたのだ。(男らしさの多様化、男性の定義が拡大したともいえる)
「かわいくて美しい男の子がいてもいいじゃないか」という事である。
型にはまったヒロインポジの女子も要らなくなったのもある。
私は新アニメ派である。ネットでは旧支持が多そうに見えるが、私の周りの若い世代は新アニメ派が多いと思う。
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④一部男性ファンの願いとしての「クラピカは女の子であって欲しかった」願望
前時代の一部の男性たちからは「クラピカは女の子であって欲しい」という願望を持っていた人たちもいた。
それは「クラピカが好きだ。でも俺も男だし、俺はホモじゃないから女の子でいてくれ」というコメントをちらほらみかけた。
好きな二次元キャラが男性だったら、、男として恐怖を感じるというものがあるのだろう。
「自分は男なのに、男子のキャラを好きになっていいのか。
これもクラピカが惑わすから悪いんだ、、そうだクラピカは女の子にしか見えないのできっと女の子なんだ、、。」
「クラピカの女装でときめいてしまった。俺は、普通に女の子が好きなのに、、、。」
という、クラピカは女子であってくれ、そうでないと俺がホモバイの変態になってしまう。という感じである。
ストレート男性が美しい女装少年を見た時の動揺という物である。
己のジェンダーアイデンティティが揺るがされるので恐怖を感じるのだ。
(※そもそも女装と言っている時点で、クラピカが男性だという前提なのだが。女性が女性モノの服を着ることは女装とは呼ばないので)
このような一部の男性ファンの心理も、クラピカ女の子説、あるいはクラピカ性別未決定論が加速した理由であろう。
だが、現代においては「男性が男のキャラが好きでもいいじゃないか。」「男の娘が好きでもいいじゃないか」というのは割と受容されるようになった。「むしろ男だからいいんだよなあ」という過激論者も観測されている。
女の子のようにかわいい男の子が居てもいいじゃないかという風潮が、彼の存在を認めたのである。
なのでこのように女の子であって欲しい、でないと俺は困る、という人も減ったことだろう。
クラピカは性別論争は「男か女か」の二択しかない、しかもジェンダーロールの幅も狭かった時代の産物なのだろうと私は結論付けている。
結論
クラピカは美しい。