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幾度も再評価される山田風太郎。

自分の好きな作家の一人です。
今年『八犬伝』が映画化と聞いてびっくり。
自分が20台前半の頃に読んだので、
もう25年以上も前か…。

仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字のある
数珠の玉(仁義八行の玉)は
『DRAGON BALL』の7つ玉という設定の元ネタでもある。
そのため『里見八犬伝』無くして
日本の小説、漫画業界は語れないレベルの長編小説なのであるし
ほぼ原稿料だけで生活できた作家の第一人者としても
有名だったりするのが滝沢馬琴なのである。


とはいえ、いろんな人に言われているけど、
実は『南総里見八犬伝』は28年間書き続けられていた
超大作ではあるけれども、中だるみというか引き伸ばしも多い。
まともに原本読んだ人は今はもうかなり少ないし、読んだところで
「昔のジャンプ並みの引き伸ばし」と揶揄されるレベル。

そこで鬼才・山田風太郎はひと工夫を入れた。
中だるみする部分はばっさり省略して、
その合間に馬琴本人のエピソードを添えようと。

実際、滝沢馬琴そのものも、
かなり苛烈で面白い人でもあったのだ。

あんまり語ると映画や小説の
ネタバレにもなってしまうのでほどほどにしますが、

まずリアルで葛飾北斎と同年代を生き、
友好関係があった。

もうこれだけで激強エピソードなのである。

その他ではかなり几帳面であり、頑固で融通が利かない側面も。
畑の肥になる糞便と野菜の交換での揉め事が後世に残ってるぐらい。

虚の部分を『里見八犬伝』。
実の部分を滝沢馬琴の話を交差させることによって
そのギャップを最初は楽しみ、それが次第に融合していくのは
正しく鬼才の為せる技なのである。


山田風太郎と言えば兎にも角にも鬼才と呼ばれた作家である。
まず忍法帖シリーズによって、チームバトルの概念が生み出された。
(と、提唱したのは夢枕獏)
そして異能力バトルも忍法帖が走りの一つと言っても過言ではない。

Aの能力はBには効かないがCには効くみたいなアレである。
『甲賀忍法帖』、今だと『バジリスク』の方が
通じやすいかもしれないけど物語で例えると、
何度殺しても蘇る忍法不死鳥というチート忍法を持つ薬師寺天膳に、
見つめるだけで全ての忍法を破るお幻の破幻の瞳で破るみたいな。
これが60年以上前に既に描かれていた。

その他にも当時は資料の少なさから禁じ手とされていた
『婆娑羅』、『柳生十兵衛死す』などの
室町時代の物語も意欲的に書いた

これがなかったら『逃げ上手の若君』も、
もしかしたら世になかったのかもしれない。


まぁ何と言っても『魔界転生』の影響は凄まじい。

この姿は!
当時のSNKはなかなかパク…オマージュが多かった

『サムライスピリッツ』に
計り知れないほどの影響を与えています!

あと超有名どころで言えば過去の剣豪が転生するという設定は

『Fate』シリーズにも深い影響を与えました。

詳しくはリンク先を参照してくだされ。


実はまだまだ語り尽くせぬほど逸話も多いんですが
今回はこれぐらいにしておきます。

2001年に亡くなられてもう23年経つのですが
未だにメディアミックスというか、
正しく山田風太郎作品が不死鳥のごとく何度も復活します。
作品の中にはエログロも多く、
『くノ一忍法帖』は何故かOVAが結構でました。

ですがそれは山田風太郎の作品は死生観がかなり強いからこそなんです。
だからこそ今の人達にも見てもらいたい作品がかなり多いです。
クセは強いですがハマると一気に沼…!
それこそが山田風太郎の最大の魅力というか、
忍法なのかもしれませんね…。


コメント返し。

我が死の師は和菓子も同然さん
『妖説太閤記』も無茶苦茶面白いですね。
秀吉の見え方が変わると言うかなんというか。
あくまで憶測ですけど三谷幸喜の『清須会議』の
元ネタというか骨組みはかなり
『妖説太閤記』からパク…オマージュかも!

『戦中派虫けら日記』『死言状』『あと千回の晩飯』『人間臨終図巻』
『警視庁草紙』『妖異金瓶梅』と、忍法帖シリーズ以外だと
大体このあたりは抑えていますね。

昔本でも買ったけど、電子書籍である程度は買い直しました。
電子書籍関連もかなり恵まれているのが強み!


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