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今から身体を整えよう!555時間の習慣で社労士合格!

 社労士受験生の皆さん、こんにちは!「555時間の習慣で社労士合格!」の高橋佳子です。前回5月病のグチ投稿失礼いたしました。けだるさは残っていますが、好きなことをしながら身体を動かすようにして過ごしています。
 さて今回は「この時期から身体を整えよう!」ということで、私の経験より「3つの行動」をご紹介します。
 ゴールデンウイークが過ぎると気温も上がり始め、梅雨入り、猛暑へと本番にむけて過酷な環境へ変化します。今からの身体を整えて本番に向けて準備をしていきましょう。

①通院をスケジュールする

 歯の治療や定期的な通院など、あらかじめ行く予定のある方は本試験前までのスケジュールをしてしまいましょう。また、今は大丈夫だけれど調子が悪くなったら行かなくてはならない基礎疾患のある方もいると思います。その場合は「本試験の〇日前に念のため病院へ行く」「8月〇日まで大丈夫なら、本試験後に予定する」など、仮スケジュールも予定していきましょう。

②起床時間と就寝時間を一定にする

 生活リズムの基本は起床と就寝です。何時間寝たか、というより一定の時間に寝る、起きるを繰り返していきましょう。
 例えば、夜寝る時間がいつもより2時間遅くなったとしても、起床時間はいつも通り。その日は2時間分睡眠不足ですが、次に寝る時間が予定通りであれば身体に大きな負担はありません。
 私の経験上、就寝前のルーティーンが整ってきて、起床がラクになりました。そして枕元のスマホは厳禁!また目覚まし時計のアラームをセットせずに起きられるようにもなりました。

③まさかのために常備食を準備する

 これは間接的な身体の整えになります。急に病気になり2、3日外出できない状況に備えて、食糧を常備しておくことをおススメします。それも具合が悪いときに口にできるものにしましょう。
 私の場合、6月下旬に熱中症にかかり、3日間動けませんでした。その時冷蔵庫に入っていたのは、水、牛乳、炭酸水、フルーツの缶詰だけ。ヨーグルトやプリン、アイス、冷凍食品など常備しておけば良かった…と後でしみじみ思いました。

 与えられた時間で最大のパフォーマンスをするためには、気持ちの揺らぎをなるべく小さくすることが大切です。これら3つの行動で、平常心を保つことができれば、集中力もアップします。是非試していただければと思います。

総復習①労働基準法(択一式)

 今回から10科目の総復習を行います。第1回目は労働基準法です。過去問より抜粋した5肢択一問題です。本試験形式で5問出題しますので、出来れば時間を計って解いて頂きたいです。目標時間は20分です。

【問1】労働基準法の総則等に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。(平成28年労基-第1問より改題)

(ア)労働基準法第1条は、労働保護法たる労働基準法の基本理念を宣明したものであって、本法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならない。

(イ)労働基準法第2条第1項により、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」ため、労働組合が組織されている事業場では、労働条件は必ず団体交渉によって決定しなければならない。

(ウ)労働基準法第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、労働条件について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではないとするのが、最高裁判所の判例である。

(エ)労働基準法第6条は、法律によって許されている場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないとしているが、その規制対象は、私人たる個人又は団体に限られ、公務員は規制対象とならない。

(オ)労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確にされていても、労働者の吉凶禍福に対する使用者からの恩恵的な見舞金は、労働基準法第11条にいう「賃金」にはあたらない。

(A) 一つ
(B) 二つ
(C) 三つ
(D) 四つ
(E) 五つ

【問2】労働基準法に定める解雇に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成26年労基-第2問より)

(A)就業規則に定めた定年制が労働者の定年に達した日の翌日をもってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が終了する慣行になっていて、それが従業員にも徹底している場合には、その定年による雇用関係の終了は解雇ではないので、労働基準法第19条第1項に抵触しない。

(B)労働基準法第20条に定める解雇の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

(C)試みの使用期間中の労働者を、雇入れの日から起算して14日以内に解雇する場合は、解雇の予告について定める労働基準法第20条の規定は適用されない。

(D)労働基準法第19条第1項に定める産前産後の女性に関する解雇制限について、同条に定める除外事由が存在しない状況において、産後8週間を経過しても休業している女性の場合については、その8週間及びその後の30日間が解雇してはならない期間となる。

(E)平成26年9月30日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇しようとする使用者が同年9月1日に当該労働者にその予告をする場合は、労働基準法第20条第1項に抵触しない。

【問3】労働基準法に定める賃金に関する次の記述のうち、労働基準法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。(平成26年労基-第3問より)

(ア)賞与、家族手当、いわゆる解雇予告手当及び住宅手当は、労働基準法第11条で定義する賃金に含まれる。

(イ)労働基準法第108条に定める賃金台帳に関し、同法施行規則第54条第1項においては、使用者は、同法第33条若しくは同法第36条第1項の規定によって労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数を、労働者各人別に、賃金台帳に記入しなければならず、また、同様に、基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額も賃金台帳に記入しなければならないこととされている。

(ウ)ある会社で労働協約により6か月ごとに6か月分の通勤定期乗車券を購入し、それを労働者に支給している。この定期乗車券は、労働基準法第11条に規定する賃金であり、各月分の賃金の前払いとして認められるから、平均賃金算定の基礎に加えなければならない。

(エ)通勤手当は、労働とは直接関係のない個人的事情に基づいて支払われる賃金であるから、労働基準法第37条の割増賃金の基礎となる賃金には算入しないこととされている。

(オ)労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当であるが、その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因としたものである場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。

(A) 一つ
(B) 二つ
(C) 三つ
(D) 四つ
(E) 五つ

【問4】労働基準法に定める労働時間等に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。(平成27年労基-第6問より)

(ア)労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときであっても、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合には、当該行為に要した時間は、労働基準法上の労働時間に該当しないとするのが、最高裁判所の判例である。

(イ)労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1か月単位の変形労働時間制が適用されるためには、単位期間内の各週、各日の所定労働時間を就業規則等において特定する必要があり、労働協約又は就業規則において、業務の都合により4週間ないし1か月を通じ、1週平均38時間以内の範囲内で就業させることがある旨が定められていることをもって、直ちに1か月単位の変形労働時間制を適用する要件が具備されているものと解することは相当ではないとするのが、最高裁判所の判例である。

(ウ)労働基準法第32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨を定めていたとしても、36協定は私法上の権利義務を設定する効果を有しないため、当該就業規則の規定の内容が合理的なものであるか否かにかかわらず、労働者は労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負わないとするのが、最高裁判所の判例である。

(エ)労働基準法第41条第2号により、労働時間等に関する規定が適用除外される「機密の事務を取り扱う者」とは、必ずしも秘密書類を取り扱う者を意味するものでなく、秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者をいう。

(オ)医師、看護師の病院での宿直業務は、医療法によって義務づけられるものであるから、労働基準法第41条第3号に定める「監視又は断続的労働に従事する者」として、労働時間等に関する規定の適用はないものとされている。

(A)(アとウ)
(B)(イとエ)
(C)(ウとオ)
(D)(アとエ)
(E)(イとオ)

【問5】労働基準法に定める就業規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成25年労基-第1問より)

(A)労働基準法第91条に規定する減給の制裁に関し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、減給制裁の事由が発生した日ではなく、減給の制裁が決定された日をもってこれを算定すべき事由の発生した日とされている。

(B)臨時の賃金等を除く賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、労働基準法第89条において、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項となっている。

(C)派遣労働者に関して、労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。

(D)労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の労働者を使用するに至った使用者は、同条に規定する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、当該事項については就業規則に規定しなければならない。

(E)行政官庁は、就業規則が当該事業場について適用される労働協約に抵触する場合には、当該就業規則の変更を命ずることができる。

総復習①労働基準法(択一式解説)

 5肢択一問題はいかがでしたでしょうか。本試験で狙われる「総則」「解雇」「賃金」「労働時間」「就業規則」をピックアップしてみました。また出題形式も個数問題、組合せ問題も交えて難易度を上げています。
 この後解説へ展開しますが、当たった外れたと一喜一憂はしないこと。正解の1肢は分かったが、他の4肢に自信が無ければ、解説やテキストへ戻って確認していきましょう。

※過去問と解説(本文含む)に「点数問題」とあるのは、択一式で「正解」となり「点数につながった設問」です。この正解ポイントが後の本試験では違う形で出題されています。単なる〇✖ではなく、その解答の「理由」が瞬時に出てくるように、繰り返し過去問を解いて訓練していきましょう。

【問1】
(ア)正解 法1条、昭和22年9月13日発基17号 点数問題
法1条は、労働者に人格として価値ある生活を営む必要を充たすべき労働条件を保障することを宣明したものであって、労働基準法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならないものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(イ)誤り 法2条1項
法2条1項の「対等の立場」とは、形式的のみならず実質的に対等の立場をいうもので、社会的、経済的な力関係を離れて相互の人格を尊重する立場を意味する。しかし、そのような対等の立場というものは、個々の労働者と使用者の間では事実上困難であるので、団結権、団体交渉権の保護というものがこれを確保する働きをなすのである、しかし、本条は、右の原則を明らかにしたのみであって、現実に労働組合があるかどうか、また、団体交渉で決定したかどうかは、本条の問うところではない。
よって、「労働条件は必ず団体交渉によって決定」とした問題文は誤りとなる。

(ウ)正解 法3条、三菱樹脂事件(昭和48年12月12日) 点数問題
法3条(均等待遇)では、使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならないと定められているが、最高裁判所は「労働基準法3条は労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではない。」としている。
よって、問題文は正解となる。

(エ)誤り 法6条、昭和23年3月2日基発381号
法6条(中間搾取の排除)では、何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないと定められている。この違反行為の主体は「他人の就業に介入して利益を得る」第三者であって、「何人も」とは本条の適用を受ける事業主に限定されず、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない。従って、公務員であっても違反行為の主体となる。
よって、「公務員は規制対象とならない。」とした問題文は誤りとなる。

(オ)誤り 法11条、昭和22年9月13日発基17号
結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付は原則として賃金とみなさないこととされているが、結婚手当等であって労働協約、就業規則、労働契約等によって予め支給条件の明確なものは賃金に該当するものとされている。
よって、問題文は誤りとなる。

※正解は、(ア)と(ウ)であるため、(B)が正解となる。
【問2】
(A)正解 法19条、昭和26年8月9日基収3388号
就業規則に定める定年制が労働者の定年に達した翌日をもってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、且つ従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然雇用契約が消滅する慣行となっていて、それを従業員に徹底させる措置をとっている場合は、解雇の問題を生ぜず、したがってまた法19条の問題を生じないものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解 法20条2項
使用者が、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならないことになっているが、解雇予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解 法21条
試の使用期間中の者を雇入れの日から14日以内に解雇する場合には解雇予告の規定は適用されない。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解 法19条1項
法65条の産前産後の休業における産後の休業は、出産日の翌日から8週間が法定の休業期間であるからこれを超えて休業している期間は、たとえ出産に起因する休業であっても、法19条1項の「休業する期間」には該当しない。また、産後6週間を経過すれば労働者の請求により就業させることができるが、これにより就業している期間も「休業する期間」には該当しない。したがって、その後30日間の起算日は、産後8週間経過した日又は産後8週間経過しなくても6週間経過後その請求により就労させている労働者についてはその就労を開始した日となる。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り 法20条、民法140条、民法141条 点数問題
予告期間の計算については、労働基準法に特別規定がないため、一般法である民法の規定が適用されることになり、解雇予告がなされた日は算入されず、その翌日より計算され、期間の末日の終了をもって期間の満了となるので、予告の日と、解雇の効力発生の日との間に、中30日間の期間を置く必要がある。また、30日間は労働日でなく歴日で計算されるので、その間に休日又は休業日があっても延長されない。したがって9月30日解雇(その日の終了をもって解雇の効力発生)するためには遅くとも8月31日には解雇の予告をしておかなければならない。
よって、「同年9月1日」とした問題文は誤りとなる。
【問3】
(ア)誤り 法11条、昭和23年8月18日基収2520号
賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものとされている。
問題文のうち、解雇予告手当については、退職手当とその内容は類似するものの、過去の労働との関連が薄く、むしろ労働者の予測しない収入の中絶を保護するもので、労働の対償となる賃金には該当しないものとされている。
よって、問題文は誤りとなる。

(イ)正解 法108条、則54条 点数問題
使用者は、法108条の規定によって、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならないことになっている。
(1)氏名
(2)性別
(3)賃金計算期間
(4)労働日数
(5)労働時間数
(6)法33条若しくは法第36条1項の規定によって労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
(7)基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
(8)法24条1項の規定によって賃金の一部を控除した場合には、その額
よって、問題文は正解となる。

(ウ)正解 法11条、昭和25年1月18日基収130号、昭和33年2月13日基発90号 点数問題
労使間の協定書により通勤費として定期券を購入し、それを支給している場合の定期乗車券は、法11条の賃金であり、従って、これを賃金台帳に記入し又6か月定期乗車券であっても、これは各月分の賃金の前払として認められるから平均賃金算定の基礎に加えなければならないとされている。
よって、問題文は正解となる。

(エ)正解 法37条5項 点数問題
割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金(別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金)は算入しないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(オ)誤り 日本勧業経済会事件(昭和36年5月31日)
労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することを許さないとの趣旨を抱合するものと解するのが相当であって、このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変わりはないというのが最高裁判所の判例である。
よって、「その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因としたものである場合にはこの限りではない」とした問題文は誤りである。

※正解は、(イ)(ウ)(エ)であるため、(C)が正解となる。
【問4】
(ア)誤り 三菱重工長崎造船所事件(平成12年3月9日)
労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解されるというのが最高裁判所の判例である。
よって、「労働基準法上の労働時間に該当しない」とした問題文は誤りとなる。

(イ)正解 大星ビル管理事件(平成14年2月28日) 点数問題
労基法32条の2の定める1箇月単位の変形労働時間制は、使用者が、就業規則その他これに準ずるものにより、1箇月以内の一定の期間(単位期間)を平均し、1週間当たりの労働時間が週の法定労働時間を超えない定めをした場合においては、法定労働時間の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において1週の法定労働時間を、又は特定された日において1日の法定労働時間を超えて労働させることができるというものであり、この規定が適用されるためには、単位期間内の各週、各日の所定労働時間を就業規則等において特定する必要があるものと解される。原審は、労働協約又は改正就業規則において、業務の都合により4週間ないし1箇月を通じ、1週平均38時間以内の範囲内で就業させることがある旨が定められていることをもって、上告人らについて変形労働時間制が適用されていたとするが、そのような定めをもって直ちに変形労働時間制を適用する要件が具備されているものと解することは相当ではないとするのが最高裁判所の判例である。
よって、問題文は正解となる。

(ウ)誤り 日立製作所武蔵工場事件(平成3年11月28日)
労働基準法32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するを相当とするというのが最高裁判所の判例である。
よって、「36協定は私法上の権利義務を設定する効果を有しないため、当該就業規則の規定の内容が合理的なものであるか否かにかかわらず、労働者は労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負わない」とした問題文は誤りとなる。

(エ)正解 法41条、昭和22年9月13日発基17号 点数問題
機密の事務を取り扱う者とは、秘書その他職務が経営者又は監督もしくは管理の地位に在る者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者であることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(オ)誤り 法41条、昭和24年3月21日基発352号、平成11年3月31日基発168号
医療法第16条には、「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならぬ。」ことが規定されているが、宿直業務を行う医師又は看護師については、宿直中その勤務の実態が通達に示されている標準に該当すると認められるものについてのみ行政官庁の許可が与えられることになっており、許可を受けた場合に「監視又は断続的労働に従事する者」として労働時間等に関する規定が適用除外となることとされている。
よって、行政官庁の許可が無くても「監視又は断続的労働に従事する者」として労働時間等に関する規定が適用除外となるとした問題文は誤りとなる。

※正解の組合せは、(イ)と(エ)であるため、(B)が正解となる。
【問5】
(A)誤り 法12条1項、昭和30年7月19日基収5875号 点数問題
減給の制裁の規定における平均賃金については、減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日をもって、これを算出すべき事由の発生した日とすることになっている。
よって、「減給の制裁が決定された日」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解 法89条
賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項については必ず就業規則に記載しなければならない。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解 法89条、昭和61年6月6日基発333号
労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解 法89条、則49条、昭和23年10月30日基発1575号、平成11年3月31日基発168号
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所定の事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署に届け出なければならない。
労働協約あるいは規定がなくても慣習等として存在するものがあり、その従来の慣習が「当該事業場の労働者のすべてに適用される」ものである場合は、労働基準法第89条10号規定されている「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」に該当することとなり、就業規則に記載する必要がある。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解 法92条2項
就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならないこととされており、行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができることになっている。
よって、問題文は正解となる。

総復習①労働基準法のまとめ

 解答お疲れさまでした。5問中何問取れましたか?本試験レベルより少々難しい出題でしたので、基準点は2問以上で考えていただければと思います。一方で、難なく4問、5問クリアできた方は、過去問で日々訓練されている成果ですので、選択式対策の学習へ展開していきましょう。
 そして「解きっぱなし」はもったいないので、5問25肢の復習を必ず行い、その復習で一旦この過去問は終了してしまいましょう。

過去問リンクはこちらから

今回の「555時間の習慣で社労士合格!」はいかがでしたでしょうか。
ご感想などお待ちしています。

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