出校日にする話 その3 〜個別対応は甘やかし?〜
出校日にする話 その2では「課題未提出の生徒に個別対応をする」ということにふれました。しかしこういう話をすると…
生徒を甘やかすことにつながるのではないか?
という声が聞こえてきます。みなさんはどう思いますか?こと宿題に限らず、個別対応するときに「甘やかすことにならないのかな」と考えたことが一度くらいはあるのではないでしょうか。
しかし、できないものはできないのだからしょうがない(笑)
特に、家庭環境的に厳しい生徒がいることも事実です。
将来、自立した大人になってほしい。しかし、自立は甘えた経験の先にあるのです。甘やかしはよくないが、甘えさせることが場面によって必要なのです。家庭環境的に厳しい生徒は特に、甘えた経験が少ないという傾向があるように思います。
先生が温かみをもって受け止めてくれる姿勢を示すことで、生徒は受け入れてもらっていると感じ、自己肯定感の安定につながるのです。
例えば、次のように受け止めて、前向きな気持ちにさせます。
①現状を共有し、認める。
夏休みはあまり課題に取り組めなかったのかな?何かできたことはある?国語は出せたんだね。英語も半分はできたのか。それはよくがんばったね。残りの教科はできなかったか。なるほど。ということは残っているのは…そうか、あとこれとこれとこれだね。
②対話しながら、今後すべきことを決め、共有する。
あと夏休みは10日だから…まぁできないこともないかもしれないけど、どうだろう…正直にきかせてくれないかな? …そうだよね、今からすべて終わらせて始業式を迎えるのは厳しいよね。これはどのくらいの時間でできそうかな?1ページ30分とすると…残り20ページだから10時間か。これはどうかな?(などと残りの宿題にかかる時間を概算する)
じゃあ思い切ってこれはどちらでもいいことにしよう。これならどうかな?ただ、今自分で決めた分はできるね?よし、じゃあ私との約束だ。みんなには内緒だよ(笑)
③励まして、前向きな気持ちにさせる。
よし、じゃあ今日からの目標が決まったね。これはこんな風に取り組むと、時間もあまりかからず、力もつくよ。頑張って、またよい表情で10日後に会えることを楽しみにしているよ。やる気にみなぎっているあなたに言うのは少し憚られるけど、もしやりきれなくても、あなたのがんばりは知りたいから、課題をもって、学校にはおいでね。
…という具合でしょうか。もちろん、生徒の状況によって大きく変わりますが、このように対話をすることで「先生は私のことを認めてくれている。」と感じ、がんばろうという前向きな気持ちにはなってくれます。また、少しゆとりのある夏休みに、同僚と「宿題に関する考え方」について話してみるのもよいでしょう。 山芝T