自転車の話

 学校で生徒があまり好きでないものの一つにテストがあります。学生時代に「あーあテストかー嫌だなー」なんて思った経験は誰しもあるのではないでしょうか。

 しかし、嫌だ嫌だと避けては通れないものですし、どこかで前向きにとらえ、がんばらせるのが教師の一つの仕事だと言えるでしょう。テスト前日に徹夜で…というのも経験といえば経験ですが、学力の定着という本来の目的からも、健康面からもおすすめできることではありません。

 小学校ではあまりないですが、ほとんどの中学校では1,2週間前になるとテスト範囲表や計画表というものが配布され、部活動も停止し(今はコロナでないところも多いですが)テストに向けて集中する雰囲気を高めると思います。テストでも、社会に出てからも、早くから計画的に取り組む者が成果を上げることが多いでしょう。そこで、生徒の心に火をつけるために、自転車の話はどうでしょうか。次のような感じです。

①やる気が出ないことに寄り添いながらも、早い方がいいことを確認する。

 あと2週間後にはテストだね。もうテストに向けての学習に取り組んでいる人はいるかな?計画的で素晴らしいね。しかし、まだ取り組んでいない人も多いんじゃないかな。また明日、また明日、…1週間前になったらやろう、5日あれば大丈夫でしょ…で気づけばテストが迫っているみたいな経験ない?その気持ちはとてもわかります。早い方が準備期間が長くていいってわかってはいるんだけどね。

②自転車で目的地に向かうことを想像させる。

 早い方がいいとわかっているのに動き出せない…これは自転車で目的地に向かうことに似ている。自転車をこぐことを思い出してごらん。乗ってしまえば、すいすいと前に進んでいくけれど、はじめはペダルが重いはず。つまり、いかに始めるかというのがポイントになる。最初は重いけど、そこさえ乗り越えれば、後はたいしたことない、とも言える。

③小さな一歩から、とにかく始めさせる。

 さぁではこの最初のひとこぎをどうするか?自分なりにやれそうだという人はいいでしょう。まだ重い腰が上がらない人はよく「これが終わったらやろう」「あと30分だけゲームしよう」「あと10分しかないから、ご飯の後にしよう」…と先延ばしにしていませんか?そんな人におすすめの方法は「とにかく動き出すこと」です。勉強する気が起きないのなら、1問でもいい、学習道具を出すだけでもいい、実際にするのが「ご飯の後」でもいいのだけれど、少しの時間に少しだけでも動いてみよう。すると人は途中でやめるのも嫌だから、ご飯の後の学習に前向きになれるのです。また、きりの良いところまでやらず、途中で終わるのもよいでしょう。翌日、続きが気になってまたやりたくなります。さぁ、今日は家に帰ったらすぐに何かしてみよう。

 …いかがでしたか。「やり始めないことには、やる気は出ない」ということは、神経細胞にある程度刺激がないとやる気には起きないという脳科学的な根拠もあるそうです。

 こんな話をした翌日は「昨日どんなことから始めたか」と話題をつなげてあげることで、生徒のやる気を連鎖させるのもよいかもしれませんね。

…1ヶ月以上noteを放置して、ちょっとペダルが重かった(笑)山芝T

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