フェーズ4.LGBTに対する全社的な理解促進・知識付与が必要となる
さて、フェーズ3の記事で記載した通り、LGBTが現れ始めた組織の多くが、「あれ? こういう時にはどんな対応をするべきだっけ?」「これまでの対応で間違いないんだっけ?」と戸惑うようになります。「そもそも、LGBTって、何だっけ?」「トランスジェンダーって、どういう人だっけ?」「最近では、Xという人も出てきたけど、それはどういう人?」「LGBTQのQって何?」といった疑問も生まれてきます。
「うちの会社にはLGBTはいない」と言えていた頃は、「まだLGBT研修は不要だ」と言っていた組織も、「急だけど、研修を実施したい」という状況になります。現場で悩む従業員が現れないように、ハラスメントリスクが生じないように、人事部やダイバーシティ推進室のメンバーだけでなく、全社員に知識を持ってもらいたいと考える組織も少なくありません。
■LGBT研修の内容は…?
LGBT研修は、様々な組織や団体が実施していますし、様々な著作物も登場しています。おそらく内容については、そこまで大きな差はないのではないかと思います。
私も研修に登壇することがありますが、研修に必要な時間も多様です。90分の講演会を依頼されることもあれば、ロールプレイや質疑応答、組織の制度設計の相談も含めて7時間の研修を企画することもあります(受講される方々の職種や業務によって、お伝えする内容が変わることもあります)。
■研修内で、これまでに寄せられた質問例
これまでに寄せられた相談や質問の内、「なるほどな」「面白いな」と思ったものを紹介します。
質問「職場で、同性から告白されたら、どう対応したらよいか」
「職場で、異性から告白されて、お付き合いするつもりがなかったら、どう対応しますか?」と逆質問しました。「ごめんね、って言います」との回答だったので、「それでいいと思います」と返しました。
質問「渡辺さんは、女性と付き合っていたと言ったが、その頃は女性を騙していたのか」
これは私が私の経験を話した後に訊かれたことですが、答えはNOです。好きでない人と付き合うことはないので、当時は真剣にお付き合いをしていました。「性はグラデーション」と解説する人もいますが、私も、自身のセクシャリティや好きになる相手については変化するんじゃないかな、と思っています。
質問「LGBTを支援することで、LGBTでない人たちが不公平感を覚えることはないのか」
女性活躍を謳う組織に、「男性にも活躍してもらってくださいね」とお伝えしてきたように、私は、働く従業員・ビジネスパーソンは、その性・性別に関わらず、全員が活躍することが求められると考えています。逆に言えば、男性も女性も、LGBTも、それぞれに活躍するうえで必要な支援を得られるようになったらいいと思いますし、支援の偏りが少しでも減ればいいなと考えています。
相談「どうしても、LGBTに対して、抵抗感がある。理解ができない」
これはもう、個々人の価値観、考え方なので、無理に理解する必要はないと考えています。過去にLGBTに嫌なことをされた経験がある方もいます。そういった人に、私や組織が「LGBTを受け入れてください」と言うのも、変な話だな、と感じます。
ただ、今の時代、ダイバーシティが前提になることが多いことから、「LGBTを理解できない」と公言することはリスクかと思います。どう感じようと、それはその人それぞれの自由ですが、どうそれを表現するか、周囲の関係者に伝えるかは、冷静に考えた方が良いかと思います(不必要なことは言わない、という選択肢を大切にすることも大事かと)。
PRになってしまいますが、LGBT研修をご検討の方は、お気軽にご相談ください!
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動画でもLGBTについて語っています。