見出し画像

「100日で描く遠距離介護と仕事の両立」Day 8: 混合型認知症の診断と採血結果


Day 8: 混合型認知症の診断と採血結果

検査結果を聞く日がやってきた。診察室で、ひつじ先生は洋子と敏江に向き合い、慎重な言葉で結果を伝えた。「敏江さん、MRIと脳血流検査の結果から、アルツハイマー型認知症と血管性認知症が合わさった混合型認知症の診断が下りました。」その言葉は、まるで静かな波が押し寄せるように洋子の心に響いた。
混合型認知症…?それって、治るんでしょうか?」敏江の問いに、ひつじ先生は「完全に治すことは難しいですが、進行を遅らせるために、脂質異常や、高血圧などの合併症の治療をしましょう」と優しく応じた。洋子は、ここからが本当のスタートだと感じた。
敏江は少し考え込んだ後、「洋子、私はこれからどうなるの?忘れてしまうのが怖いわ…。」その言葉に洋子は胸が締め付けられながらも、「一緒に頑張ろうね。私もなるべく来るようにするから。」と優しく答えた。洋子はそのように答えながらも、今抱えている仕事のことが頭によぎったことを敏江に悟られないようにするのに精いっぱいだった。(続く)

この物語はフィクションです。


医療・介護の知識: 混合型認知症とは?

  • 混合型認知症: これは、複数の認知症の病態が同時に合併、併存する状態を指します。例えば、アルツハイマー型認知症と血管性認知症、あるいはレビー小体型認知症などが同時に進行することがあり、特に80歳以上の高齢者では珍しくありません。

  • 加齢による影響: 高齢者では、加齢に伴う脳の変化(例えばタウオパチーと呼ばれる異常タンパク質の蓄積)が加わり、症状が複雑になることが多いです。

  • 診断の難しさ: 混合型認知症は、通常の画像診断(MRIやCTなど)だけでは正確に評価できないことがあります。病気の詳細を理解するためには、パーキンソン病などの神経疾患の知識も必要です。

血液検査について

認知症が疑われる人に対して行われる血液検査は、主に他の疾患や状態を排除するために行われます。これにより、認知症の診断がより正確になり、適切な治療方針を立てることが可能になります。

一般的な血液検査

まず、一般的な血液検査では、全身の健康状態を評価し、認知機能の低下を引き起こす可能性のある他の疾患を除外することが目的です。以下の項目が含まれます:

  • 血糖値:糖尿病の有無を確認するために測定されます。糖尿病は認知機能の低下と関連があり、特に血糖コントロールが悪いと認知症リスクが高まることがあります。

  • 肝機能検査:肝臓の機能を評価するために行われ、肝不全などが原因で認知機能に影響を与えることがないかを確認します。

  • 腎機能検査:腎臓の働きを確認します。腎不全や慢性腎臓病は、尿毒症などを通じて脳に影響を与える可能性があります。

  • 電解質検査:ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのバランスを評価します。これらの不均衡は、意識障害や認知機能の低下を引き起こすことがあります。

  • 脂質異常症:認知機能の低下に関連する可能性があり、認知症が疑われる患者に対する評価の一環として重要です。脂質異常症は、動脈硬化を促進し、脳血管に影響を与えることで、血管性認知症や混合型認知症のリスクを高める可能性があります。

ビタミンとホルモンの検査

特定のビタミンやホルモンの欠乏も認知機能の低下に影響する可能性があるため、これらの検査も重要です。

  • ビタミンB12葉酸:これらのビタミンは、脳と神経の健康を維持するために重要です。ビタミンB12や葉酸の欠乏は、貧血や認知機能の低下を引き起こすことがあります。

  • ビタミンB1(チアミン):ビタミンB1の欠乏は、ウェルニッケ脳症コルサコフ症候群といった重篤な神経障害を引き起こすことがあり、これらは認知機能の低下を伴うことがあります。特にアルコール依存症の患者や栄養失調が疑われる人においては、この検査が重要です。

  • 甲状腺機能検査:甲状腺ホルモンの異常(特に甲状腺機能低下症)は、認知機能の低下や記憶障害を引き起こす可能性があります。したがって、甲状腺機能を評価するために、TSH(甲状腺刺激ホルモン)やフリーチロキシン(FT4)が測定されます。

感染症検査

一部の感染症は、認知機能の低下を引き起こすことがあるため、これらの検査も考慮されます。

  • 梅毒検査:未治療の梅毒は、神経系に感染して神経梅毒を引き起こし、これが認知機能の低下を引き起こすことがあります。梅毒血清反応検査によって確認されます。

  • HIV検査:HIV感染症も、進行するにつれてHIV関連認知症を引き起こすことがあります。このため、HIV感染の有無を確認するための血液検査が行われます。

その他の特定検査

さらに、他の原因を探るための特定の血液検査が行われることがあります。

  • 炎症マーカー(例:CRP血沈ESR):これらは、体内での炎症反応を示します。特に感染症や自己免疫疾患などの炎症が、認知機能に影響を与えているかどうかを確認するために使用されます。

  • リウマチ因子抗核抗体(ANA):自己免疫疾患(例えば全身性エリテマトーデス)が認知機能低下の原因となることがあるため、これらの検査も実施されることがあります。

これらの血液検査は、他の疾患や状態が認知機能低下の原因であるかを判断するために非常に重要です。これにより、認知症の診断がより明確になり、適切な治療計画を立てることができます。



複数の認知症が合併する混合型認知症。高齢者に多く、診断には慎重な評価が必要です。





#認知症
#認知症ケア
#認知症介護
#在宅介護
#在宅ケア
#施設介護
#パーキンソン病
#認知症ライフハック
#ケアプラン
#ケアマネジャー
#栄養失調
#健康
#認知症診断後支援
#意思決定支援
#介護と仕事の両立支援
#介護離職

記事が価値がある思われた方は、書籍の購入や、サポートいただけると励みになります。認知症カフェ活動や執筆を継続するためのモチベーションに変えさせていただきます。