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「100日で描く遠距離介護と仕事の両立」Day 10: 遠距離介護と仕事の両立

Day 10: 遠距離介護と仕事の両立

洋子は、敏江の診断を受け入れ、いよいよ本格的な介護に向き合う決意を固めた。遠距離からのサポートをどのように行うか、仕事との両立は可能か、自分に何ができるのかを冷静に考える時が来た。
洋子は、率直に「敏江さん、一人で生活できる?」と聞いた。その言葉に敏江は内心腹立たしく思いながら、「大丈夫よ。あなたには迷惑をかけないわ」といい、なるべく目線を合わせないようにした。
洋子は、その言葉を聞きながら、敏江の将来について考えるも、受け入れたはいいが、何から手を付けていったらよいかわからないまま、帰りの新幹線に乗った。


医療・介護の知識: 仕事と介護の両立にまつわる制度

  • 介護休暇制度: 介護休暇制度は、労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇です。通院の付添いや介護サービスの手続代行の場合などでも利用できます。ケアマネジャーなどとの短時間の打合せにも活用できます。
    【取得できる日数】
    対象家族が1人の場合は、年5日まで。
    対象家族が2人以上の場合は、年10日まで。
    ※事業主が特に定めをしない場合には、毎年4月1日から翌年3月31日となります。
    【取得単位】
    1日または時間単位。

  • 介護休業制度: 労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。

    対象となる労働者
    対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)
    パートやアルバイトなど、期間を定めて雇用されている方は申出時点で次の要件を満たすことが必要です。
    取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。
    労使協定を締結している場合に対象外となる労働者
    ・入社1年未満の労働者
    ・申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
    ・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
    労使協定とは、事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合がある時はその労働組合、労働者の過半数で組織する
    労働組合がない時は、労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定のことです。

  • 在宅勤務やフレックス制度: 会社によっては介護と仕事を両立するために、在宅勤務やフレックス制度などの支援プログラムを利用することも有効です。これにより、柔軟に働く時間を調整し、介護に時間を割くことが可能になります。

具体的な制度の使い方

これまで私のかかわった方でも仕事と介護の両立をしているご家族がいらっしゃいます。
私が患者さんでうまく継続できているご家族の休暇の取り方は、以下のような形です。介護休暇は、短時間のケアマネジャーとの打ち合わせや役所への申請、通院などにご利用されています。
認知症で介護休業を取られる方は、実際には多くありません。なぜなら認知症という病気は、93日で介護が解決する病気ではないからです。ですから、うまくいっている家族は、週末だけ掃除や洗濯、買い物などの手伝いができれば何とか生活できるように平日のケアプランを組み立てます。具体的には、訪問系のサービスを必ず入れておられます。普段の生活の支援をしてくれる訪問介護はほとんどの方で入っています。認知症以外に持病がある方は、訪問看護師、腰痛などの整形外科疾患がある方は訪問リハビリを利用されることも多いです。

ではどのような方が利用していたかというと、患者さんが新型コロナ感染症などにり患した後の一時的な生活支援、患者さんの状況が悪化してお看取りとなった時に利用していました。
なお介護休業は3回までに分けて取得することができるので、計画的に利用することをお勧めしています。
リモートワークを取り入れて、フルタイムでの仕事をつづけながら、常に介護が必要な要介護4-5のご家族のケアを両立している方もいます。様々な工夫が可能ですので、ご相談されることをお勧めします。

仕事と介護の両立は制度の活用がカギ!休暇や休業、支援プログラムを活用して、無理のない介護を目指しましょう。

次回: 第2章 - 混乱と拒絶の6か月敏江の混乱と拒絶に直面しながら、洋子はどう乗り越えていくのか。スキ・フォローして次回をお楽しみに!



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