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「100日で描く遠距離介護と仕事の両立」Day 15: 包括支援センターとの相談

Day 15: 包括支援センターとの相談

敏江の相談をするため、洋子は地域包括支援センターに電話をかけた。電話に出たのは担当者の佐藤さんだった。洋子が簡単に敏江の状況を説明すると、一度ご本人とお会いするために訪問させてほしいと提案してくれた。洋子が今日しか滞在できないことを伝えると、佐藤さんは快く夕方の訪問を引き受けてくれた。
夕方、敏江の家を佐藤さんが訪問した。玄関を開けると、佐藤さんはにこやかに挨拶し、訪問業務に慣れた様子で、すっと部屋に入った。敏江も少し緊張した様子で、洋子の方を見ていた。
リビングに入った佐藤さんは、まず敏江に優しく声をかけた。「こんにちは、佐藤と申します。今日は少しお話を伺いに来ましたが、どうぞリラックスして、気になることがあれば何でもお話しくださいね。」佐藤さんの柔らかい言葉に、敏江も少しほっとした様子であった。
佐藤さんは、敏江にどのような生活をしているのか、何か困っていることがあるかを丁寧に尋ね、敏江が少しずつ話しやすいように心がけていた。敏江が「最近、少し疲れやすくなって…」と口にすると、佐藤さんは優しく頷きながら「では、高齢者向けのサポートがいろいろあるので、お試しするのはいかがでしょうか?」と提案した。
洋子もそばで敏江を支え、「少しだけでも手伝ってもらうと、負担が減って気持ちも楽になるかもしれないよ」と、そっと促した。佐藤さんは続けて、「例えば、デイサービスを利用して、他の方と一緒に楽しい時間を過ごしたり、少しお手伝いが必要なときに訪問介護を利用したりできますよ」と具体的な選択肢を示した。
敏江は最初は戸惑っていたが、佐藤さんの丁寧な説明と洋子の後押しで、次第に「少し試してみてもいいかもしれないわね」と前向きに考えるようになった。
佐藤さんは「無理のない範囲で少しずつ始めていきましょう。不安なことがあればいつでもご相談くださいね」と優しく声をかけた。その言葉に、敏江も洋子も少し安心した様子だった。
佐藤さんが帰った後、洋子は敏江が少しずつサポートを受け入れる準備ができたことにほっとし、これから少しずつでも良い方向に進んでいけるのではないかと感じた。


敏江は、「混合型認知症」の診断を受け、徐々に日常生活での困難を感じ始めています。これに対して、敏江の姪である洋子が、彼女のサポート体制を整えるために、地域包括支援センターに相談しました。この状況は、高齢者が認知症や身体的な衰えによって自立した生活を維持することが難しくなりつつある場合に、多く見られるものです。
地域包括支援センターの担当者である佐藤さんは、敏江の状態を理解し、彼女が無理なく生活を続けられるように支援を提案しています。具体的には、デイサービスや訪問介護といった介護サービスの利用を検討することで、敏江が少しでも安心して生活できる環境を整えることを目指しています。


地域包括支援センターの業務について

地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるように、総合的な支援を提供する機関です。センターは、保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーといった専門職が配置されており、これらの専門家が連携して高齢者やその家族に必要な支援を行います。

介護保険について

介護保険は、日本の社会保障制度の一環として、高齢者やその家族が介護が必要になったときに利用できる公的保険制度です。この保険は、40歳以上のすべての国民に加入が義務付けられています。介護が必要と認定された場合に、費用の一部を保険から給付される仕組みです。
介護保険の適用を受けるには、まず市区町村に申請を行い、「要介護認定」を受ける必要があります。この認定は、要支援1・2、要介護1から5までの7段階で評価され、その結果に基づいて受けられるサービスの内容や量が決まります。たとえば、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具の貸与・購入などが含まれます。
介護保険の利用により、自己負担額は原則としてサービス費用の1割から3割で済み、残りは保険から給付されます。これにより、経済的な負担を軽減しながら、必要な介護サービスを受けることができます。
敏江の場合は、介護保険の申請が可能な状態なのかの判断を基本チェックリストを用いて判断してもらったり、申請の代行をお願いすることもできます。こうした介護保険制度を活用することで、適切な介護サービスを受け、安心して生活を続けるためのサポートを得ることが期待されています。地域包括支援センターは、介護保険の申請手続きから、適切なサービスの選定まで、トータルでサポートしてくれる心強い存在です。もしご本人の状態が介護保険申請に該当しなくても、物忘れのある方は、介護予防・生活支援サービス事業対象者(事業対象者)であると判断されることも多いです。その場合は要介護認定を受けていなくてもサービス事業の一部を利用することが可能です。

次回: Day 16 - 訪問介護の提案
訪問介護の導入を提案するも、敏江の反応は…。続きが気になる方は、スキ・フォローして次回をお楽しみに!



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