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「100日で描く遠距離介護と仕事の両立」Day 12: 叔母のサポート拒否

Day 12: 叔母のサポート拒否

翌日、洋子は再び敏江に電話をかけました。毎日のように電話で話すのが日課になっており、敏江の状況を少しでも把握しようと努めていました。洋子にとって、遠く離れた場所から敏江の様子を確認する手段は電話しかなく、そのため頻繁に連絡を取るようにしていました。

「敏江さん、元気にしてる?」洋子は優しく尋ねました。

「元気よ、そんなに心配しなくても大丈夫だから。」敏江の声には、依然としてかすかに残る力強さがありましたが、その裏には不安が隠されているように感じられました。

洋子はためらいながらも切り出しました。「ねえ、敏江さん、以前話してた通り、一人で全部やるのは大変だから、近くのヘルパーさんにちょっとだけでも手伝ってもらうのはどうかな?遠くに住んでいる私からも安心できるように、サービスを利用してみない?」

敏江はすぐに反応しました。「私は一人で十分やっていけるわ。誰かに頼るなんて、そんなことしたくないのよ。まだまだ自分のことは自分でできるから。」

「でも、万が一のこともあるし、少しでもサポートがあれば安心できるんじゃないかと思って…。」洋子はさらに説得を試みました。

「そんなこと言わないで、もう年寄り扱いはやめてちょうだい!」敏江は明らかに感情的になり、声が上ずりました。「私にはまだまだ力があるのよ。自分の生活くらい、私一人で十分管理できるわ。あなたは心配しすぎなんだから。」

洋子は少し黙り込みましたが、なんとか話を続けようとしました。「敏江さん、私はただ、あなたが少しでも楽に過ごせるようにと思って…。私がそばにいられたらいいんだけど、遠いから、どうしても心配で…。」

「私は本当に大丈夫なのよ。」敏江は短く言い放ち、突然電話を切ってしまいました。洋子は電話が切れた音を聞きながら、心の中でため息をつきました。

敏江の強い拒絶反応に対し、洋子はどうすれば良いのか分からず、複雑な思いを抱えていました。遠方に住んでいることがもどかしく、敏江の意思を尊重しつつも、何とかして彼女のために最善を尽くしたいと悩んでいました。


サポートを受け入れてもらうことは確かに難しいものです。特に、自分でやっていけるという気持ちが強い場合は、外部の助けを求めることに抵抗があるのは自然なことです。そんなときには、無理にサポートを押し付けるのではなく、「いつでも相談してね」「気になることがあったら教えて」といった、話しやすい環境を作っておくことが何よりも大切です。これにより、敏江さんが何か心配なことがあった時に、洋子さんに頼りやすくなります。
例えば、ガスの消し忘れは高齢者にとってよくあることですが、最近のコンロには事故防止のための安全装置が多く備わっています。こうした装置を活用することで、敏江さんが安心して料理を続けられる環境を整えることができます。また、70代ぐらいの方であれば、Lineなどのアプリを使えるようであれば、それを通じて安否確認を行うサービスも利用できます。これならば、敏江さんが煩わしさを感じることなく、日常的に洋子さんと連絡を取り合うことができるでしょう。
さらに、行政が提供する一人暮らしの高齢者向けのセキュリティーシステム導入に対する補助制度も検討してみる価値があります。これにより、敏江さんが自分の生活を維持しつつ、安全面でもしっかりと守られる環境を整えることができます。
このように、直接的なサポートを強要するのではなく、敏江さんが自分のペースで支援を受け入れられるよう、安心できる環境を少しずつ整えていくことが大切です。洋子さんがそばにいるという安心感が、敏江さんにとって一番の支えになるはずです。

認知症の人が気軽に相談できる人や環境を整え、信頼関係を結ぶことを第一に意識しましょう


次回: Day 13 - 初めての訪問敏江のサポートを拒否する中、洋子は再び故郷を訪れます。よろしければスキ・フォローをお願いします。次回をお楽しみに!



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