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ホモサピエンスの涙/About Endlessness

夜中に目が覚めてすぐに眠れそうになかったので、溜まっている録画の中から映画を一本観た。

「ホモサピエンスの涙」ロイ・アンダーソン
原題:About Endlessness
2019年製作/スウェーデン・ドイツ・ノルウェー合作

一言で言うと、人々が暮らしの中で遭遇する何気ないけど象徴的な場面を監督独特のタッチで描いた作品、と言った感じ。

「もう9月ね…」から始まってクリスマスシーズンを迎える。たまたま良い時期に見ることができて良かった。

映画の途中で「ホモサピエンスの涙」という邦題を何度か思い出した。わかりやすいしそれっぽいけど、なにかちょっと違う気がするし、安っぽい感じがして少し残念な気持ちになる。「About Endlessness」と言ってもらった方がニュアンスが伝わる。

すべてはエネルギーであり 
その総量が減ることはない
永遠なんだ
唯一 変化するのは その形だけだ
つまり どういうことかというと
君もエネルギーだし 僕も エネルギーだ
そして君のエネルギーも 僕のエネルギーも 永遠に存在し続ける
新しい何かに 形を変えながら

最近、「量子力学」「量子もつれ」という言葉をよく聞く。私は凡人なので難しいことは分からないけれど、その手の話は好きだ。

人々の日常の様子に挟まって、地雷で足を失った人、ヒトラーの野望がついえた瞬間、ドイツ兵がシベリアに送られる映像が淡々と差し込まれ、今の状況を考えると、映画とはいえ何かちょっとしらじらしくもあり、興ざめするような気持ちにもなったが、だんだん皮肉に思えてきた。

神を信じられなくなった牧師が「信じるものがなくなってしまう」といって絶望する様子も印象深かった。宗教が無いと生きるのが大変な人も世の中にはたくさんいるらしいから。

言葉がない方が伝わる事もある、ということを改めて感じる作品だった。About Endlessnessか…。なんか、毎年クリスマス時期に見たくなる映画になりそうな予感もする。

ロイ・アンダーソンがもう80歳だということを知った。
宮崎駿にしても、結局のところ人生長く生きると人々の思考は根本的な話に行きつくのだろうか。私もまた、どこかからその影響を強く受けて歳をとっているように思う。

この映画の日本版のリメイクをだれかしてくれないだろうか。秋の夜長にキャスティングを考えてみるのも良いかもしれない。

現役の大御所監督といえば、ケン・ローチとアキ・カウリスマキ。新作の公開が待ち遠しい。


<おまけ>
これはデンマークでの話だけれど、ナチスドイツ軍がデンマークの海岸に埋めた地雷を、戦争捕虜となったドイツの少年兵が撤去する映画。これはけっこう辛かった。


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