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コーチングスクールでの学び(Day5,6)

3週目、モジュール3の学び、気付きについて書き記しておこうと思います。


クライアントのニーズとは

ニーズとは欠乏欲求のこと。ニーズ、すなわち欠乏欲求が満たされると、人は「リソースフル」な状態になる。「リソースフル」とは、今あるものを使える、気付ける状態のことを指す。逆にパニックになると本来持っているリソースに気付くことができず、使えなくなってしまう。
因みに、有名なマズローの欲求5段階説においては、4段階目の尊厳欲求までが欠乏欲求であり、それ以上となる自己実現欲求からが成長欲求となる。
クライアントにとっては、何とかなる、何とかできる、と思えるようになることは、コーチングにおいては大事なこととなる。自分の状態、相手の状態を知って、使えるリソースを考えてみる。そして、何からやるのかを考えていくと、何とかなっていくものである(らしい)。まさにGWOWモデルそのものである。

・ポジティプ感情なら、その人はどんなニーズが満たされているからその感情になっているのか?
・ネガティブ感情なら、その人はどんなニーズが満たされていないから、その感情なのか?
今、目の前にいる人はどんな感情なのか。そして、どんなニーズが満たされているのか、いないのか。場合によっては、コーチングの場で「ニーズリスト」(下記参照)を使うのも良い。

コーチは科学者マインドを持つ

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン

クライアントは浅い質問や問い掛けだと深いところまで考えない。オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンというのは一般的によく知られている。

「どんなことがありましたか?」→ オープン
「何かありましたか?」→ クローズ

コーチングでクローズドクエスチョンをしても良い場面は、最終確認であったり、何らかのことを確かめる場面である。一方、オープンクエスチョンを用いると場面や状況は同じでも、全く違う問い掛け、具体的にはクライアントにとっては全く別の思考が働く。
例えば、動物園の檻の中を指さして、「この中に何かいる?」というのと、「この中に何がいる?」と聴くのとでは、聴かれた側にとっては思考や反応に雲泥の差が生じる。すなわち、後者では”答えよう”と頑張らざるを得ない状況となる。

治療外要因の効果

下記は心理療法による効果の割合を示したものであり、対人支援の場では治療外要因が最も高いことになる。

<心理療法の効果の割合>
・治療外要因:40%
・治療関係(共通要因):30%
・プラセボ効果(期待):15%
・技法:15%

Lambert(1992) 心理療法の効果の割合

であるから、コーチ、もしくはカウンセラーとして念頭に置いておくべきことは、コーチングやカウンセリングの場での対応や応答よりも、それ以外の要因、いわゆる”あそび”であったり、”余白”にしっかり目を向け、焦らないこと。したがって、クライアントに対して、「どんな2週間だった?」という問い掛けのような、コーチングの時間以外のことも取り扱うことが大事である。例えば、
「意識してやった訳じゃないど、結果的に良かったことって何?」
などがそれにあたる。

プロトタイプを作る

究極的な価値判断の正しさを科学的に証明することは原理上不可能である、という、価値相対主義というものがある。その前提に基づけば、人の価値観や判断軸といったものには、
① 自分軸
② 他者軸(社会、会社、相手など)
この2種が存在する。これは永遠に横たわるものであり、完全一致することはない。したがって、極力この2つの領域の重なり、共有ゾーンを広げていくことがストレスや葛藤から解放され、自分らしく、あるがままに幸せに生きていくことに繋がると考えられる。

前置きが長くなったが、ここでようやく見出しタイトルの「コーチは科学者マインドを持つ」の話に入る。
コーチングにおいて何も決めないということは、今まで慣れ親んだ人生、生活を送ることを決めた、ということに等しい。一方、コーチングにおいては、クライアントの意識領域に上げて再選択のチャンスを与えることが目標の一つになる。
「どんな〇〇があれば、その感情から自由になれるのか?」
「何を守りたいから、それをやっているのか?」
たとえ答えが解かっているようなことであっても、オープンクエスチョンや余白の効果を期待し、クライアントの誤解や思い込みに良い意味で加担することのないようにしつつ、「もしかしたらこうかも」「こんな可能性が潜んでいるのでは」「試しにこれ聴いたらどんな反応が返ってくるだろうか」といったような、コーチとしての仮説検証を繰り返す。言葉を選ばずに言えば、セッションの場で実験と検証を行うことが、クライアントの心の声を聴く、本当の気持ちを聴くことに繋がっていくのではないかと思う。このことはリーンスタートアップのMVP、プロトタイプ作成と同じであり、私自身も科学者、研究者の端くれとしては非常に腹落ちする内容である。

さらに、下記を付記しておきたい。
前回のまとめで、アドバイスについて触れたが、アドバイスやリクエストをお願いして断られた時も、
「検討してくれてありがとう」「忘れて」「気にしないで」
と相手に颯爽と言えるようになってみようと思う。むしろ、断られたら良かったと思おう。そんなコミュニケーションが取れる場、関係って、相互にとって、自分らしくいられるいい場所であり、各々に出番があるチーム、組織なのだと思う。

プライベートロジック(マイルール)に向き合う

感謝と謝罪の言葉

コミュニケーションの質を変えていく、「課題の分離」、「謝罪と許し」、「感謝と依頼」。この中で、「ありがとう」と「ごめんなさい」については、普段の生活や仕事の場で、自身が意識的に使っていることにふと気が付いた。つまらないことかもしれないが、メールでよく使う、「お世話になっております」の代わりに「~~いただいてありがとうございます」というのを多用(!)している。また、「すみません」と謝るところを「ごめんなさい」を意識して使うようにしているのも、これらに通じるところがあるのかも、と。
以下に、使っていくことで、コミュニケーションが良い方向へ向かっていく言葉を紹介する。

  1. ありがとう

  2. ごめんなさい

  3. 許してください

  4. 愛しています

これら4つの言葉は、本人に主体性、エネルギーを創出するポジティブワードと言えるのかもしれない。

自他を幸せにする3つの勇気

アドラー心理学の中で、自他を幸せにしていく3つの勇気というものがある。

① 失敗する勇気
② 過ちを認める勇気
③ 不完全であることを認める勇気

②はそれを認めた後、誤った状態からなるべく早く現状回復すること、再発防止策を打つことが大切となる。
③は不完全な状態であるのに、正しさを主張することは相手の勇気をくじくことになる。また、小さい世界の中にいることで自身が完全なる存在だと錯覚することは結果的に自他の幸せには繋がっていかない。

①、②、③の勇気を持つことで、そこから自己発見が起きる。それは、広い世界、新たな世界と出会わないと起きない。そして様々な良いことが期せずして起こる。それは、自身が好きな言葉でもある、まさに”セレンディピティ”そのものである。

2つの結末の話

アドラー心理学では、「自然の結末」というものと「論理の結末」という考え方がある。

・自然の結末 ‥ ものごとが自然の成り行きで動く
・論理の結末(社会的結末) ‥ ものごとの結果が必然的な方向に流れていく

ここで忘れてはいけないことは、「相手には結末から学習する権利/引き受ける権利がある」ということである。課題の分離にも通じるところがあるが、過保護、過干渉はよくない、ということなのだと。

また、「信頼」と「信用」という似た言葉がある。
・信頼というのは、これまで一切関係なく、相手のことを信じ切ること
・信用というのは、それまでの過去の実績がベースで信じること
信頼はするけど、相手に期待はしない。かつ、セーフティーネットとして、仕組みを作ること。そして、自分の考えを押しつけないこと。

因みに、「自然の結末」と「論理の結末」について色々調べていたら、たまたま講義の中で触れられていた(ほんの一瞬ですが、メモが残っていた)、研究者の方のnote記事があったので、参考まで。

結末については、自然の結末と論理的結末(社会的結末)の2種類があります。自然の結末とは、自身が何か行動を起こしたら、その結末を自分で体験することによって学んでいくというものです。論理的結末とは、双方であらかじめ想定できる状況について話し合ってルールを作っておくということです。

【アドラーオンライン】27(最終回)親教育プログラムの柱となるもの|向後千春 (note.com)

コンフォートゾーンとラーニングゾーン

最後に、講義を聴いている途中で、コンフォートゾーン、ラーニングゾーン、パニックゾーンの話がふと思い浮かんだので、書いておく。
コンフォートゾーン、ラーニングゾーン、パニックゾーンの概念については、よく知られていることではあるが、下記の通りである。

コンフォートゾーンにいると、自分が今持っているスキルセットで手の内に諸事を収めることができ、あまり汗をかく必要がありません。むしろ、皆にちやほやされたり、尊敬されたりすることもあるでしょう。他方、ラーニングゾーンは、コンフォートゾーンから一歩出たところに広がっています。要するに、未知の領域です。自分の今までのスキルセットがあまり通用しないため、冷や汗をかいて、いろいろなことを探していかなければなりません。そしてパニックゾーンは、ラーニングゾーンよりさらに外側に出たところに位置します。今までのスキルセットが通用しないばかりか、そこで何が起きているのかもよく分かりません。自分のコントロール外の世界で、ややもすると精神的な不調をきたしかねないゾーンです。

 GLOBIS 知見録|コンフォートゾーンとは

コーチングの場においては、クライアントはコンフォートゾーンから一歩踏み出し、抜け出すことで、ラーニングゾーンに少し入っていってみる、そこを目指せないか一緒に考えてみる。例えば、ライフチャートの「1点上げるには?」の問い掛けはまさにそれに当たるのでしょう。いきなり10点目指すのではなく、この辺ならできそう?やれそう?やってみる?てな感じで、徐々にその枠を拡げていく。そうやって、その人のできることや自己効力感、自己肯定感を上げていく作業なのかもしれないなと思った次第。


以下は本文とは直接は関係がないが、コーチングのいくつかのフレームワークを忘備録として書いておく。

1)現職質問集フレームワーク
【未来】
【現在±】
【業務±】 / 【人間関係±】
【当初±】
【きっかけ】
※特にきっかけを聴くのは、入る前のことなど本人も忘れているから。
※±は好き/嫌い or 得意/苦手

2)ビジネスコーチング4つのステージ(レベル)
第一ステージ:案件のレベル
第二ステージ:現職のレベル
第三ステージ:キャリアのレベル
第四ステージ:ライフのレベル
※ライムラインという時間軸とかかわる人や世界という空間軸の2つの概念軸がある

3)ライフのタイムライン
①好き、夢中、自分らしい
→エッセンスを取り出す
②大丈夫、できる、安心
③憧れの人
④日常の幸せ
⑤ここから数年以内の夢
⑥(制約ない)体験できたら最高なこと
→エッセンスを取り出す

4)キャリアのタイムライン
①子供時代の憧れの仕事
→エッセンスを取り出す
②現職の原体験(自身の原点)
得意/興味を持ったもの(現職に関係なく)
④憧れのプロフェッショナルとは
→エッセンスを取り出す
⑤世界のすごいと思うプロジェクト/残念な現実
⑥現職の最高の未来とは
⑦(制約のない)体験できたら最高な仕事のシーン
※「好き」×「得意」×「大切」を掛け合わせ、重なる部分を考えていく



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