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3.リペア

信仰度★★☆☆☆

【リペア: repair】1.修理すること。修繕すること。2.回復すること。取り戻すこと。三省堂『大辞林』より

お気に入りの自転車がパンクした。自分で直せなければ、持っていくのは自転車屋さんですね。

ドとレとミの音が出ない。持っていくのは楽器屋さんです。

物を修理をする時は それを作っているところや売っているところに持っていきます。当然ですね。

修理をきっかけに癖を知る

雅楽という1000年以上前に大陸から伝わった音楽があります。大陸では途絶えてしまいましたが、終着点の日本では今なお受け継がれています。天理教でも祭儀で使います。

その雅楽の楽器の中に笙という17本の竹にリードをつけて和音を奏でる楽器があります。実家の教会にも一つありまして、誰が使うでもないので、高校生ぐらいの時から主に私が使っています。

その笙が以前調子が悪くなりました。鳴らないのです。自分で直せる筈もなく、職人さんに修理してもらいました。

さすが、元の味わい深い音色に戻りました。引き取りに行くと職人さんから長く使うためのアドバイスを頂きました。

笙はハーモニカと同じく、吹いても吸っても音が出ます。ところが吹く息吸う息の強さがどちらかに偏ってしまうと、リードに変な癖がついて、鳴りにくくなってしまいます。私の場合は吸う息が強すぎたようです。修理をきっかけに使い手である自分の癖を教えていただきました。

人間の修理

ところで、人間の体や心を修理する時はどこに出したらいいのでしょう。人間の体を(合法的に)つくったり売ったりしている所はありませんが、人間の修理を病気の治療と置き換えるなら、ここではとりあえず病院がそれに当たりましょうか。

先ほどの、「修理を通して使い手の癖を知る」論を、人間の体に当てはめてみます。
体の使い方にもそれぞれ癖が出ます。ここでの癖とは心の傾向性です。
その癖(心の傾向性)の蓄積の結果として現れてくるのが、種々様々な病気ということになるのでしょう。

逆に言えば、病気が現れることで、普段見えにくい自らの体の使い方の癖を知ることにつながります。

この世に病気と名のつくものは無数にあります。人間の体や心はきっとどの道具よりも修理方法が複雑で、また不確実です。医者や薬がその時は対処してくれますが、その根っこにある自らの癖に気づいて向き合うかは、本人に委ねられています。

これをして病は孤独なものと捉えることも出来ましょうが、ようやく一人で向き合う状況を与えられる、という捉え方もできます。

病み上手と呼ばれる人が時々います。あちこちに病が出てきても、その都度病と上手いこと付き合っていくんです。それはおそらく病の前向きな捉え方を感覚的に獲得しているからではないかと思うのです。

【リペア:repair】にはまた、「取り戻す」という意味もあります。病を経たからこそ、健康でいた頃に見落としていたなにかを取り戻す。そんな所業も人間には起こります。

病む前の心づもりとして

病はきっとつらい。一秒でも早く取り除きたい苦しみを味わう日があるかもしれない。ですが一方で、病の体験が、体の使い方について、自らの癖を振り返る一つのきっかけとなるかもしれない。心づもりだけは持っておこうと思います。

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