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HD-2D版『ドラゴンクエスト3』所感
11月14日、バレンタインデーからちょうど8か月後、待ちに待ったHD-2D版『ドラゴンクエスト3』が発売された。
それについては過去に色々書いたが、結局私はダウンロード版を購入し、深夜0時過ぎからプレイした。
それから約1か月半、年末近くまではまさにドラクエ3中心の生活だった。こんなにも集中してゲームをしたのは本当に久しぶりだ。
その間文章を書くことができずに心苦しい思いをしていたが、ドラクエには敵わなかった。というか、余暇時間の平均が3時間として、2時間近くプレイして、投稿のために1時間ちょい使っていたので、そりゃ書く時間なんかないわ。
ようやく落ち着いたので、所感をまとめておこうと思う。
ちなみにプレイ実績だが、一周目は「バッチリ冒険(普通)」モードでクリア。パーティは予定通り、勇者、戦士、魔物使い、商人から始めて、
戦→遊→賢
使→魔→盗
商→僧→武
で冒険した。
名前は勇者ロッティ、賢スピカ、盗ジャニス、武ララ。
勇者の真の名はロンド・ア・ルキアと、洒落込んでみた。ロトっぽいのと、ロンダルキアっぽい。彼女の伝説が後々ロンダルキアの地名の由来になったり……することはないだろうが、想像して楽しんでみたりした。
クリア後の要素は、下記の二周目と並行して最後まで楽しんだ。
二周目は「いばらの道だぜ(高難易度)」モードでプレイ。被ダメージが増え、取得経験値とゴールドが減るという仕様。
それだけか、と思っていたら、ボスのHPが増えていたり、弱点属性でのダメージ増加率が低かったりもしたらしい。そこまでは知らないでクリアしてしまった。
勇者の名前はピサロ。仲間にはエスターク、ミルドラース、デスタムーアと天空シリーズの魔王(帝王)を揃え、
エスターク:盗→まも→遊→賢→戦
ミルドラース:僧→まも→遊→賢
デスタムーア:魔→まも→遊→賢→武
という構成でプレイした。
ついでに縛り要素として、買い物禁止と勇者以外命令禁止、逃走禁止を取り入れている。そもそも私は「逃げる」コマンドが嫌いなので、逃走禁止は縛りでもなんでもないし、今作は落ちているアイテムや装備が豊富なので買い物をしなくても特段問題はなかった(消え去り草だけはドロップを狙って2時間戦ったが)。
以上のプレイを通して、私が感じたこと、考えたことなどをまとめてみたいと思う。
もちろんネタバレしているので、ご了承の上お進みいただきたい。
【ここからゲームのネタバレがあります】
戦闘について
・パーティキャラが表示されるようになったが、コマンド時のみで戦闘中は動き回ったりしないので、テンポも悪くならず、違和感がなくて良かった。
・スピードが調整できる点も良かった。私は「超はやい」でプレイした。「はやい」では大して速くないと感じたためさらに速くしたのだが、超速いでは少々速すぎる気がした。「はやい」と「超はやい」の中間くらいがあると良かったが、感じ方は人それぞれなので、このような調整はとても難しいのだろうと思う。
・もはやここで書くまでもないが、まもの呼びが強すぎて「まもの呼びゲー」となってしまった。ここまで壊れていると、まもの使い禁止プレイをする人が出そうなほどであるが、それではSFC版でいいではないかとなってしまいそうだ。
・攻撃呪文が素晴らしい。ド派手になったのは勿論だが、モンスターが倒れる瞬間までエフェクトが続く。特に、メラゾーマ、ベギラゴン、イオナズン、ギガデインで敵を一掃した時などは、文字通り「消し炭にしてやった」感覚を味わうことができ、とても良かった。
まもの使いについて
最終メンバーにいなかったので最終ステータスや最終装備でどれだけ強くなるのかは不明だが、とにかく「ビーストモード」と「まもの呼び」を覚えるための職業と言う感じがしてしまって少し残念だった。はぐれモンスターに関しても「逃げない」というだけでは弱い。
盗賊がいれば盗む、商人がいればお金が稼げる、などの戦闘に関する効果があっても良かったように思う。例えば、まもの使いがいると獲得経験値が増えるとか。
でもこれくらいの方がいいのかもしれない。新職業は原作を崩壊させかねないのだ。前述した二つの特技でも充分バランスは破壊されていることだし、このくらいが落としどころだったのかもしれない。
拾えるアイテムについて
今回はフィールドのキラキラ、秘密の場所が追加され、SFC版よりもさらに無料でアイテムが手に入るようになった。
実はHD-2D版を二周終えた私は、なんだか居ても立っても居られなくなり、現在オリジナルのFC版をプレイしている。FC版は宝箱以外ではアイテムなど落ちていないし、その宝箱自体も多いとは言えない。それに比べたら、やはり「ぬるい」と言われても仕方ないかもしれない。
手に入るアイテムは薬草などの消費アイテムの他、装備品、そして賛否両論あった種。ありがたいと言えばありがたいのだが、やや数が多すぎた。
初回プレイでは嬉々として拾い、フィールドをくまなく歩きまわるのも楽しかったが、二周目ではおっくうになった。拾えるものの中身など覚えてはいないので、折角見つけてもショボいアイテムだけだったりするとガッカリ感も大きい。HD-2D版を何度も繰り返しプレイする場合は、どこに何が落ちているかを覚えていないと、ストレスになってしまうだろう。
ほとんどの人は一周しかプレイしないのかもしれないが、私はFC版から通算すると、少なくとも10回以上はクリアまでプレイしている。ドラクエ3はそれだけ何度もプレイしたいと思える名作なのだ。それだけに、ストレスになる要素となってしまってはもったいなかった。
種に関しては、勇者の救済措置の可能性はある。これに関しては後述したい。
勇者が弱い説
こちらも方々でさんざん言われているし、実際私も弱いと感じた。いや、弱いというよりは、今回は味方が強くなりすぎる仕様だから、そう見えてしまうだけなのだ。
SFC版までは、転職してもここまで強くはならなかった。というのも、職業によって、レベルごとのステータス上限のようなものだあり、レベルアップしてもその上限以上の場合は上がらない。
だが今回は上限がないらしく、レベル1にもどり元のステータスを半分引き継いだところからどんどん上がっていく。加えて強力な呪文やまもの呼びなどの特技を使えるようになっていく。
そんな仲間たちと比べられれば、流石の勇者と言えども見劣りしてしまう。一周目、最終的には「賢者の石係」にまで落ちぶれてしまった勇者を見て、なんとも言えない気持ちを抱えながらクリアした。
「勇者とは諦めない者」と堀井先生も言っているし、それは全てのプレイヤーが勇者だという意味にも取れる素敵な言葉だ。周囲を圧倒するような能力を持っていなければ勇者ではない、とも思わない。でも、でもやっぱりこんなに見劣りするとやっぱり悲しい。
そんな想いを抱えて、二周目は全ての種を手に入れたそばから勇者に使った。数値の厳選はしなかったが、劇的に強かった。固い、早い、強いの三拍子だ。種重複バグ(仕様?)の効果もあり、まさに他を圧倒する能力を手に入れた。特にギガデインを覚えてからは、雑魚戦では無双状態。その高い素早さと潤沢なMPで、モンスターたちを瞬く間に塵と化していく。
今回キラキラなどで種が豊富に手に入るようになったのは、このように勇者を救済するための措置だったのかもしれないと前述した。しかし、そうなると、バランスが取れていないことを見越していたことになってしまう。まさかそんな作り方はしないだろうから、その考えは否定したいと思う。だがそれは、種の価値を下げてまでプレイヤーの快適さを重視した、という解釈に繋がってしまう。ひいては、現代のプレイヤーはそうでもしないと楽しめなくなっている(と思われている)可能性につながり、やはり悲しい気持ちになってしまう。
話を勇者に戻そう。今回の勇者は仲間と比較すると確かに見劣りする。種で強くなれるのはわかったが、逆を言えば「種を使わないと強くなれない」ことになり、やはり悲しい。ギガデインやベホマズンなど、勇者特有の有能な呪文の価値は高いし、装備も特別なので耐久力も高い。活躍できないわけではないのは理解できる。それでも、もう少しバランスは考えて欲しかった。
ではどうすれば良かったのか。文句ばかり言ってないで、そこを考えなければならない。私は勇者がどうなれば納得できたのだろう。仲間たちがこれまで通りレベル上限なしなら良かったのか? まもの呼びなどないほうが良かったのか? いや、そうは思わない。強い仲間たちに見劣りしない勇者が欲しい。
そもそもなぜ勇者は見劣りするのか。ステータスはある程度装備でカバーできるので、やはり特技なのではないだろうか。今回は呪文は追加されなかったが、魔法職以外は特技が追加され、それが明暗を分けたような気がする。
勇者の特技はかえん斬り、みかわしきゃく、いなずま斬り、だいぼうぎょ、しんくう斬り、めいそう、はやぶさ斬り、ギガスラッシュの8つ。これらは全て勇者特有の特技だ。
大防御やめいそうなど、防御面ではそこそこ良い特技を覚えるし、ギガスラッシュは呪文耐性が高い敵などに有効だ。なのに、どこか物足りなさを感じてしまうのは、やはり仲間たちの強力(凶悪)すぎる特技と比較してしまうからだろう。
戦士はつるぎの舞、さみだれ斬り、渾身斬りと、有用な剣技をいくつも覚える。
武闘家の会心必中、盗賊のヒュプノスハント、そしてまもの使いの魔物呼びとビーストモード。
おや? あらためて書いてみれば、他はそうでもないのかもしれない。まああれば便利な特技もあるが、差し当たって「強い」または「ずるい」と感じたのはそれくらいなのかもしれない。
それならば、ギガデイン、ベホマズン、ギガスラッシュ、めいそうが使える勇者も、そこそこズルくないか?
仲間たちは転職で色々な特技や呪文を覚えることができるとは言え、職業単体で見れば、特技・呪文の面でも「見劣り」は言い過ぎだったような気がしてきた。
ううむ。ステータスでも特技でもなければ、一周目に感じたあのもやもやした感情は、一体何だったと言うのだろう。
それはおそらく「活躍感」なのではないだろうか。HD-2D版ドラクエ3における活躍の場面はいくつかある。ザコ戦、ボス戦、メタル狩りである。ザコ戦ではブーメランでの全体攻撃があるものの、単体相手になると、〇〇斬りは弱点を突いたとしても、一撃の重さではやはりまもの呼びに劣る。
また、物理耐性や属性耐性などの効果が敵側にも如実に現れる今作では、耐性無視のまもの呼びはまさに凶悪な特技と言えるだろう。
せめてマヒャド斬りもあればと思った人は、私だけではないはずだ。バギ系を覚えないがしんくう斬りは使えるのに、なぜ……。
ボス戦では、バイキルトをかけて弱点を突ければ活躍できるが、まもの呼びには敵わない。
メタル狩りでも、会心必中はさておき、アサシンアタックやきゅうしょ突きが活躍するのを他所目に、ただ攻撃するしかない。
つまり、どの場面でも中途半端。攻守ともにこなせる、と言えば聞こえはいいが、勇者がサポートばかりだと、やはり気が滅入る。
長くなったのでそろそろまとめると、私が勇者に求めるものは「活躍感」。そのために必要なものは、マヒャド斬りとメタル斬りだ。もはや多くは望むまい。サポートとしてさらに充実させるなら、やいばくだき、みねうち、そして凍てつく波動が欲しかった。
あとそれに……いやいや、このくらいにしておかねばキリがない。まあいいのだ。私は二周目に鬼神のような強さで魔物たちを薙ぎ払い、まさに大活躍していた勇者を見てスカッとしたのだから。種ありというのがひっかかるところではあるが、あまり気にしないようにしよう。
ボイスについて
正直、ドラクエ3にボイスかぁ……と思っていたが意外と良かった。特にお母さんとバラモスがいい。ゾーマもいい。
お母さん役は佐藤利奈さん。最近では鬼滅の産屋敷あまね役などで活躍しているとのこと。この声にぐっとくるようになったということは私も歳を……いや、良さがわかるようになったのだろう。
バラモスはもう聞いた瞬間に先生! と反応した。別にハリーポッターファンではないが、それくらいシブくて良い声。演じたのは土師孝也氏。失礼ながらお名前を今回初めて認識した。ドラクエライバルズで初めてバラモスを演じたらしい。ライバルズはスマホでは画面が小さすぎてちゃんとプレイしなかったので聴くことができなかった。ライバルズのようなカードゲーム系もちゃんとやってみたい。ブラウザ版で復活してくれないものだろうか。
ゾーマは言わずと知れた大塚明夫様。いつ聴いても素晴らしいお声と演技でございました。
バトルでは、強力な攻撃を喰らった時の悲鳴が緊張感を高めてくれるし、呪文も唱えてくれるし、とても良かった。
メタル狩り
会心必中の登場もあり、ぬるくなってしまったという声もあるらしいが、普通にプレイしている分には気にならないレベル。やりこみ段階でおたすけ機能を使ったりするとそりゃ簡単だが、その方法を選んでやっているのだから、文句を言う筋合いはない。
最初からの四人をレベル上げするならば、そこそこに時間はかかるが99までやってできないわけでもなく、それなりに達成感が得られる、ちょうど良いバランスだと思う。忙しい社会人にはこれくらいでいい。
まあ、ファミコン版、スーパーファミコン版と比べれば簡単ではあるが、若い人にはこれでも面倒だと言われてしまうのかもしれない。
オルテガのエピソードについて
勇者オルテガの偉大さがよくわかったし、彼の葛藤や家族への想いも描かれて良かった。
そして、あらためてオルテガは人間じゃないと思った。斧一本で無数の魔物を一瞬で屠る戦闘能力、はいいとして、火山の火口に落ちても燃え尽きない肉体はどうなのか。いくら勇者の血筋でもただの人間ではありえないと思われるので、ローシュが始祖とするならば、その子孫の長い歴史の中で、どこかで何か別の種族と結ばれた者がいたのかもしれない。竜とか。そして天空の勇者にもつながっていたり……。ピサロは魔族と人間のハーフなので、ロトの血筋にも何か入っていてもおかしくはない。
試練の祭壇について
楽しいと言うより、面倒くささが目立ってしまった。モンスターメダルよりはマシだったが。
ある程度やり込ませる(楽しめる程度に)目的での要求はいいが、ただ金を使わせるだけとか、意味がわからない部分もあった。
折角ストレスフリーを意識してきた(と思われる作り)のに、最後の印象はあまりよくなかったのではないだろうか。
バトルロード
元々の格闘場そのままではCEROに引っかかるとのことで、バトルロードになったらしい。まあ、単なるギャンブルするよりは良いが、それならばせめて、8と同じくらいの面白さは欲しかった。
8ではレベルの概念があったが、今回は同族のモンスターを集めた数で強くなる。はぐれモンスターを保護するというコンセプトには合っているが、同族がおらず、強くなれないモンスターもいるし、集め終わったらそこで頭打ちになってしまい、結局強いメンバーしか使わなくなる。
同族モンスタ―の上限は決めず、戦って倒したら起き上がって、その数によって強くなるとかでもいい。5の起き上がる瞬間の感動を今の子供たちにも味わって欲しい。
また、チーム呼びのような感じで通常の戦闘に使えても良かった。あ、それこそ「まもの呼び」で良かったのではないか。
もう一押し、何か欲しかったコンテンツだ。
まとめ
私にとってドラクエ3は何度も繰り返しプレイするゲームという印象がある。勇者や仲間たちの名前を変えて、一回一回異なる人生を思い描きながら冒険を楽しむのだ。
今作はリメイクとして素晴らしい出来だが、キラキラなどの要素により、何度もプレイすることが億劫に感じられてしまった。名前も姿も変更できてしまうので、何度もプレイする必要性も薄れた。
現在私は、どうにも懐かしくなってファミコン版をプレイしている。天然の「いばらの道だぜ」な感覚が楽しい。性格や盗賊がいるスーパーファミコン版は、成長や構成のバリエーションも多く、何度もプレイするには一番適しているのではないかと思う。
HD-2D版をまたプレイするか、と聞かれれば、たぶんYESだろう。NOとは言えないからだ。でもよく言えば盛りだくさんで、お腹いっぱいなので、しばらくはいいだろう。
なんだかんだと書いてきたが、ドラクエ3が最高のゲームであることは変わりない。令和の現在に名作を復活させ、何十年かぶりにワクワクする時間を過ごさせてくれた堀井先生、スタッフの皆さま、ありがとうございます。スクエニ株、安くなったら買うからね。
以下はこれまでのHD-2D版ドラクエ3に関する記事。良かったら合わせてお読みいただければ幸いです。