インサイドセールス 茂野明彦著を読んで
フィールドセールスとして、Saasセールスの全体像の理解を深めるために読んだ。
セールスフォースとビズリーチのインサイドセールス部隊を作り上げた茂野氏が素人にも分かるように丁寧に解説されている内容で、インサイドセールスとは?という人でも理解ができる非常に読みやすい本だった。
セールスとしては必読書であり、この著書に書かれていることを理解していないと思うと大きな機会損失を生んでいると感じた。
結論、インサイドセールスは難しい。難しいというのは奥が深く一般的なイメージのただのアポ取りとかけ離れている。
インサイドセールスの仕事とは何か?
クライアントの温度感が高くても成約に結びつかない商談はフィールドセールスに供給せず、温度感が低かったとしてもターゲット企業の、商談を届けるのがインサイドセールスの仕事。
非常にしっくりくる。あくまでもゴールは受注であり、ただのアポ供給マシンではないということ。だからテクニックがいる。相手の会話のスピード、間合い、強弱に合わせるペーシング。同じフレーズ、目線を合わせて信頼を作るルポール。問題提起から課題を顕在化させるための示唆質問のSPIN話法。
これらテクニックを総動員し、受注に結びつく、または目的を持ったアポを科学的に供給することが必要。
そしてもう一つの難しさはマネジメント。フィールドセールスは受注の喜び、クライアントからのフィードバックが受けられる。カスタマーサクセスも然り。ただインサイドセールスはクライアントからのFBが受けられない、ルーティーン業務になるためモチベーション維持が難しい。結果退職率が高くなる。インサイドセールスのビジョン、理念を語り、プロフェッショナルな仕事だという意識づけ、工夫。賞賛する仕組み、他業務との兼務、1on1の実施が必要。
個人的には週に1度は3時間だけしか稼働しない、5時間は研修時間に充てる。コール件数をKPIから外し、受注貢献、有効商談パス数、有効ナーチャリング数(クライアントの信頼度数を上げた行動)などをKPIに定め、過度なコール、疲弊を避けることが必要と思う。
フィールドセールスとしてインサイドセールスの目的、KPIを理解して案件FBを実施することが重要。
インサイドセールスは奥が深い。そして上手くできていない会社が非常に多いと感じる。インサイドとフィールドをマージさせるハイブリッド型ではフィールド側がリードを食い散らかしてしまうことが起きている。ロールを明確にしないと社内の信頼、社外の信頼を失うことになる。
これらを設計できる設計者は中々いないんだろうなぁと思う。インサイドセールスの価値を上げ、その価値をセールス全員が認識している、そんな状況を作りたいと考えさせてくれた著書だった。