教員が部活動を容易に外部委託できない難しさ

学校に勤めていた時はいつも運動部の顧問だったこーぞーです。

教員の労働時間の多さが問題と認識されて暫く経ちました。その改善策の1つに,部活動の外部指導員の招聘とか外部委託とかがあります。私の近所だと,新潟県見附市は非常勤の「外部顧問」が学校に入っています。それもまだ2年経ってないくらいで,教員の負担がどれほど軽減されているのかはわかりませんがね。
新潟県の学校の場合,勤務時間は16:40までですが,部活動終了時刻は,冬季でも17:15とかでした。安全管理の面から顧問を置かずに部活をしてはなりませんので,常に時間外労働になりますね。

さて,題名にありますが,私は教員が部活動を外部に委託するというのはいろいろと難しさがあると考えています。「難しい」のであって,「不可能だ」とは申し上げておりません。どっちかと言えば,できるならやろうよ,という意見の持ち主です。

本題。難しさは以下の3点です。

1. 特に運動部の場合,学校と部活を切り離すのが難しい

運動部は大会があります。郡市大会とか県大会とか全国大会とか。中学校なら,「中学校体育大会」という大会があります。そして,その大会を運営するのは「中学校体育連盟」です。そこが運営する大会はいわゆる「公式の大会」というやつです。
この「中学校体育連盟」(以下,中体連(ちゅうたいれん)と呼びます)は,各市町村の学校にいる先生方が属しています。
だから,運営しているのは学校の先生ということです。中体連は体育の授業などの学校体育にも関わっていますから,まあ当然です。

この状態から,外部に部活を委託するというのは,なかなかの組織改革が必要です。
私はソフトテニスの顧問歴が一番長いんで,それを例に挙げて考えます。ソフトテニスの大会を実施するには,ソフトテニスを知っている人が大勢必要です。役職で言うと,運営委員長とか進行とか審判委員長とかコート主任とか生徒管理とかです。現状では小さな郡市の大会だと,決勝戦のベンチ指導が終わったら,表彰式の時間をアナウンスして,隣の学校の先生に賞状を渡してもらうみたいな,各校のセルフサービスみたいな大会になってます(笑)

そこからどれだけその大会を外部に委託できるかというと,大してできないはずです。地域にソフトテニスを知っている人がどれだけいるのか。いたとしても,その大会の日にどれだけ予定を空けられる人がいるのか。そういう人でも,本業は別にあるでしょうからね。じゃあ,常勤でそういう人を雇うのか。いやー考えづらいです。
だから,教員がやっていた業務のごく一部を,外部の人が肩代わりする,程度がせいぜいのところではないかと予測しています。

2. 部活動を通して,生徒とのかなり強い絆をつくることができる

部活動って,時間はとられますけど,顧問やってた方が楽な面もあるんですよ。特に生徒指導的な面で,教室では見せない生徒の一面を見ることができるとか,目標を共有できるとか,長い時間一緒に過ごせるとか…授業だけでそれらができないわけではないですけどね。部活でだって,生徒は立派に成長します。そこに教育者として,生徒の成長を自分なりに手助けできる。

未経験の競技の運動部の顧問を任せるというのは私も反対です。それこそ外部指導員が必要だと考えています。しかし,自分が経験していた競技とか,そういうのであれば,普段の学校生活の指導にプラスになるはずです。部活で築いた人間関係を土台に,授業で指導できますからね。

部活が大好きな先生もいます。授業等をいい加減にやるんでなければ,私はその先生の気持ちがよくわかります。
だから,部活動の外部委託に反対の先生すらいらっしゃると思います。

3. 外部指導員は普段学校にいないので,学校での生徒の様子を踏まえての指導がしにくい

教員は部活指導って,

あの生徒はLDの疑いがある,授業の受け答えがスムーズでなかったし気長に話さないと…
あの生徒は昨日生徒会役員選挙で落選してしまったので今日は落ち込んでいる。ちょっと顔色注意してみてみるか…
あの生徒は下ネタばっか言ってるから,取り組みも悪いし発言取り締まらないとなー

という学校生活の延長でしてるとこありますんで,外部指導員はそれが難しいということです。
多分,外部指導員が入っているところは,必要に応じて教員が伝達事項を伝えてやってると思いますけど,そこでまた両者にとってひと手間ですし,これを伝えた伝えなかったとかで問題起きそうですし…簡単にはいかないと思いますね。

まとめ

・部活は実質学校教育の一部
・部活の顧問やってれば,教員は学校で指導が楽
・私も外部指導員がしたいです(?)


最後に,外部指導員の制度がもう少し広まった後のニュースを予測して終わりにします。

部活動外部指導員の時間外労働が問題に…ブラックな労働環境,心の病も―〇〇ニュースー2025年2月17日
http://たぶん朝日とか毎日新聞らへんから

おわり。

頂いたサポートは、多分知識を得るために使われると思います。