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Ferrovie del Messico (10)

Gian Marco GriffiのFerrovie del Messico (Laurana Editore, 816ページ)、謎な部分は残っていますが、読了しました!

内容も難しく複雑な章構成でもあり、苦痛を伴う読書でした。でも、たとえ1日に1ページしか読めなくても読み続ければいつかは読了するとわかった実り多い体験でした。

1944年2月8日、イタリア社会共和国のAsti駅に勤務する軍人のCesco Magettiは、メキシコ鉄道の詳細な地図を5日で作成せよと上官から命じられます。メキシコについて何も知らないCescoは地図を完成させることができるのかがメインストーリーで、メキシコ鉄道のヒントを求めてAstiの町中を右往左往する主人公の語りと、主人公と関係を持つ多くの人の視点やエピソードが意図的に時系列を変えて語られます。Cesco以外の人のエピソードは大なり小なり彼の人生に影響を与えているのが読み進めるとわかってきます(その繋がりの度合いは濃かったり薄かったり様々ですが)。

ただ、その繋がりに気づけずに見落としているところもけっこうありそう。

例えば、冒頭に語られる失踪事件。軍事訓練のためにドイツに送られるはずが行方不明になる青年の話と、Tanaro川で発見される9歳の男の子の事件、これらはCescoの人生とどう交差していたのか分かりませんでした。

また、最後の方で描かれるパルチザンがドイツから列車で運ばれる武器をAsti駅で奪う計画をし失敗に終わるエピソードは、冒頭で言及されたCescoが夜警をしている日に起きた事件のことであり、TildeとStenoが出会った教会でドイツ軍による一斉の手入れの動機にもなった事件のことなのでしょうか?

Ferrovie del Messicoの読書体験は、リンクがたくさんのWikipediaのCesco Magettiのページを読んでいるようでした。Cesco Maggettiのページからリンク先のページへ一瞬寄り道してまた元のページに戻り、そして別のリンク先を読みに行きまた戻って。リンク先のページで語っている内容はページごとに語り方に違いはあっても同じ事象の説明であったり、という感じです。

で、結局、Cescoは地図を完成させたのでしょうか。第一部の最終章の日付が2月13日でCescoの逃亡を描いているということは、、、。

そして、たった1ページの第二章は続編を示唆して、小説は終わりました。

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