La luna e i falò (4)
La luna e i falò / Cesare Pavese (Einaudi, 208ページ)を読み終わりました。
最後まで読むと、主人公は狂言回しの役割だったんだなと気づきました。彼が故郷を訪れて、幼少期を振り返りながら、色々なレイヤーの人々の暮らしを語っていたように思います。捨て子として生まれ、ファシズムと資本家が牛耳る世界から抜け出そうと世界へ飛び出す主人公。大地主の家に仕える人々や小作人たち、彼らは戦争が終わっても、その階級から抜け出すことはほとんど困難。土地持ちの人の中にも越えがたい階級社会がある。そして戦争。ファシスト側につく人、パルチザンの側につく人。みんなが疑心暗鬼になって暮らす時代。
中盤に主人公がCintoにナイフを贈るシーンがありました。ここを読んだ時は、このナイフをきっかけに何か悪いことが起きるのではないかと胸騒ぎがしたのですが結果としてはこのナイフのおかげでCintoは助かって、悲惨な日常から抜け出すきっかけを得ます。
最後、主人公の心の拠り所でもあった生家は燃えて骨組みだけが残り、そしてNutoの重い告白。前半のほうで、篝火は迷信ではないと言っていたNutoの言葉を思い出すと、最後の一文にも色々考えさせられました。
ここからは、次に再読する時のためのメモ。
本を読むとき、いつも章立て・構造・地名にあまり注意せずに読んでしまうので備忘録として。
<3つの時代>
(1)1948〜49年ごろ。主人公が幼少期を過ごしたランゲ地方を20年ぶりに訪れる。Cintoと出会い、Nutoとかつての思い出を語り合う。
(2)主人公のアメリカ時代の話。アメリカに行ったのは、主人公とジェノヴァで反ファシスト活動をしていた仲間が逮捕され、彼も警察から逃れるためだった。
(3)主人公の幼少時代(1900〜20年頃)。Gamainellaでの幼少期、Moraでの少年期の思い出がフラッシュバックする。
<場所>
(1)Gaminella:養父母とその娘二人と主人公が13歳くらいまで暮らした場所。今は、Cintoとその家族が住んでいる。
(2)Canelli:この地方のちょっとした街。
(3)Collano:養父が引っ越して行った村。
(4)Mora:13歳の主人公が養父たちと別れて、預けられた地主の家。使用人もかなり多くいる。
(5)Nido:Moraよりさらに上流の伯爵夫人の住む館
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