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老害・カスハラ事情 in Australia

KASHIWA@マイノリティキャリアさんのnoteを拝読した。「海外旅行で気付く日本の常識 世界の非常識」のお話のなかで、海外にも「老害クソジジイ」みたいな概念があるのかという疑問について、私が個人的に知る範囲で書いてみたい。

結論から言うと、私は12年間のオーストラリア生活で、「年長者だから威張る老人」や「上から目線で偉そうで威圧的なおじさん」に出会ったことがほとんどない。プライベート、職場、そして公共の場でも、老人は平和的で優しかったし、おじさん達も陽気で親切な人が多かった。学生時代、飲食店でバイトをしていた時もカスハラやセクハラ被害に遭ったことがほぼない。公共の場でも、道で転んだ時に助けてもらったり、電車やバスで疲れた顔をしていた時に気づいて席を譲ってくれたり、スーツケースを抱えて電車を乗降りしてた時は当然のように手伝ってくれた。エレベーターやドアで一緒になった時には必ず「After you!(お先にどうぞ)」と笑顔で先に行かせてくれた。私にとってオーストラリアのおじさん達は威圧的どころかむしろ癒しに近かった。

帰国して15年経つが、日本には偉そうなオヤジが本当に多いな、と感じる。特に女性や子供に対しての配慮や優しさが全く感じられない。混んでいる電車で足をおっ広げて座ったり、サービス業の人たちに失礼な態度をとったり、車椅子やベビーカーがエレベーターに乗っていても自分だけさっさと先に降りたり。「After you」精神が全くない。なんだか可哀想な人たちだなあと哀れになる。この手のオヤジは今後もきっと、人から親切にされたり感謝されたりすることはないだろう。

もちろんどこの国にも、性格が悪くて、自己中で、無礼な人間はいる。でも、私はある特有の世代にそのような人たちが多いとオーストラリア時代に感じた事がないのだ。嫌な奴、変な奴の比率は、男女関係なく、年齢問わずいたから。

向こうはサービス業の人たちが日本のようにペコペコしない。店員と客は、あくまでも対等なので、お客様の方が偉いとかありえないのだ。だから、カスハラに関してもかなり厳しく取り締まる。私が住んでいた15年前も、店員さんの方が圧倒的に強かった。カスハラには屈しない!少しでも威圧的な態度を見せる客に対しては、バイトの若い女の子でさえも「気に入らないなら帰れば?これ以上あなたと話すほど暇じゃないからセキュリティ呼ぶね!」とか憮然と言うことができる国。だいたいデパートでさえ、お店を出る際にバッグの中をチェックされたりする国だ。万引きしてるかもしれない前提で見られているのだけど、「失礼だ!」とか騒ぐジジイはいないのだ。

年齢なんて関係ない。小学生の頃からクラスメートですら同じ年齢とは限らない。先輩後輩の概念や日本の体育会系のような上下関係もない。大学に行くとそれがさらに顕著になる。17歳くらいの子もいれば、大人になってから学び直している中年もたくさんいる。だからディスカッションの時間になると、一番若い学生が10も20も歳の離れた学生に対して、「あなたの考え方は間違ってる!私は賛同しません!」とか言っても全くざわつかない。

ちなみにオーストラリアは、女性がとんでもなく強い。男性が、少しでも男尊女卑的な発言をすれば、それが無意識のバイアスであっても許さない。スルーしてもいいのでは?と思うような場面でも食いつく。相手が年上でも社会的に立場が強くても関係ない。相手が居心地悪くなって謝るまで徹底的に問い詰める。

そんな国だから、オヤジに威張るスキを与えないし、年長者だから偉い!とかも通じません。やはり、オーストラリアは年齢や性別に基づく上下関係や、社会的地位を背景に偉そうに振る舞う人々がとても少ない国だと思う。だからこそ、マイノリティ女性の私からしても大変居心地の良い国だった。住んでいた頃は気づかなかったけど、私は優しい老人、気の良いおじさん、そして強い女性たちに守られてきたのだ。

ただ残念なことに、近年のオーストラリアでは困った人たちが増えているという情報が入ってきている。強い女性の多い国だからこそかもしれないが、無理な要求を押し付け、過剰に自分の権利を主張し、他者への配慮に欠ける中年女性たちが増えているらしい。「Karen」の登場だ。

長くなったのでこの「Karen」と呼ばれる女性たちの話はまた次回!

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