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【知識の深めかた】「歴史」「哲学」「再現性」を組み合わせて学びを実践しよう

結局高校や大学で学んだことってどうやって活かせばいいの?そもそもこれって社会に出て役立つの?

そういう声をよく聞きます。自分も学生時代はそう思ってました。ですが、大学院にまで進み、学問をより深いレベルで研究したことで、色々と発見がありました。今回はそれらについて簡単にまとめたいと思います。

目次
1.知った知識の歴史を知ることでより深いレベルで学べる
2.それが現在までに普及した仕組み=再現性を知る
3.知った知識を自分に当てはめるための哲学を考える
4.まとめ

1.知識の歴史を知る

物事には何にでも始まりがあります。例えばコーヒーなら遥か昔アラビアで薬品の1つとして使われていましたが、戦争や経済交流などを経てヨーロッパに持ち込まれ、そこから嗜好品として普及していったなど。

こういう風に歴史を知ることでなぜこれがここまで発展したのかという軌跡を逆に知ることができるのです。そういった知識の深めかたは大学などで卒論を書くときによく言われる「検証したか?」という言葉にも現れています。

論文を書くときに大事なのは先行研究を踏まえて自分の論を展開するということです。先行研究とは、同じ学問や同じテーマで先に書かれた論文や研究書などです。これを読むことでその研究テーマが、これまでにどうやって研究されてきたか、どういう批判がされてきたのかが分かります。

ちなみに研究において批判されるというのはとても歓迎されること。批判は議論を前進させるもので、中傷ややじなどといった議論を後退させるものとは違います。なので批判が多い論文とはそれだけ研究上重要なものですので、卒論などを書くときに参考文献にあげることをオススメします。

こうやって知識の歴史を知ると、逆算的に「失敗の前例」を学びとることができます。まさに歴史を学ぶことの最大のメリットはここにあります。人間の一生は短く、生きてる間に失敗できる数もそう多くありません。が、歴史にはこれまでの人間のおびただしい数の失敗がつまっています。

そのなかから自分に似た人物の人生を学び失敗の踏襲ができること。これから先に起こりうる失敗の回避ができること。失敗したときの対応のしかたなどが学べるのです。

かつてのプロイセン王国(今のドイツの前身となった国)の政治家であったビスマルクという人がいて、この人はまさに歴史を上手く使った人物です。過去の外交関係を熱心に研究し、当時の出来たばかりの小国プロイセンをヨーロッパに残し、宿敵フランスを外交的に孤立させることに成功します。この一連のビスマルクの政治体制を「ビスマルク体制」と呼び、未だに戦略の指南書にも出てくるほどの名戦略の一つに数えられます。

これを成し遂げたビスマルクは後にこう言いました。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」

一人が経験できる知識には限界があるので、それよりも過去に人間が残した失敗のデータベースである歴史から学ぶ方が効率よく、かつ現在を生きる上で多大な恩恵を得られるのです。

2.再現性を知る

次は再現性ですが、再現とはつまり、科学=仕組みを理解するってことです。なんやそれ!ってなるかもですが、これはめちゃめちゃ大事です。現在流行ってるものや、過去に流行ったものには絶対上手くいった仕組みや理由があります。そのフレームワークを盗むことで、自分のやってることも軌道にのりやすくなり、そうなってしまえばあとは勝手に上手く回ってくれて自分は他の作業も出来るようになったりとまさに一石二鳥です!

具体例を挙げると、先程のコーヒーだと、日本でこれだけコーヒーが普及したのは日本独自の喫茶店文化、自販機の多さが関係してきます。ヨーロッパでのコーヒーは嗜好品扱いで、店で飲むという方法が主流です。ですが、日本人は「どこでも手頃な値段でコーヒーが飲みたい」という感覚がありました。そこで、戦後になって日本が高度経済成長を迎えたときに喫茶店が爆発的に増えました。また当時は、たばこもどこでも吸っていいような時代でしたので、「気軽に一服できてかつコーヒーも飲める」という喫茶店はとても繁盛しました。

日本人のこの「どこででも○○を楽しみたい」という需要をより高度に仕組み化して発展したのが、今のコンビニや自動販売機などです。ここまで路上で簡単にコーヒーやジュースが買える国は日本だけです。

こういうふうに、需要を言語化して、それを満たせるような仕組みを知ることが、物事に再現性を持たせ継続的な売り上げや収益をあげることができます。この手法は何も大きな商売に限らず、個人ブログやネット事業などにも転用できます。

再現性を持たせるとは、すなわち誰がやっても同じ結果になるという事で、それは自分が携わらなくても上手くいくということなのです。

なので、これを習得できれば不労所得などを得ることも夢ではないので、世の中で流行ってるものを仕組み化してみるのは、歴史を学ぶと同時に大切です。

そしてこれも実は学校教育で身に付くんです。それが数学とこれまた論文執筆です。数学と論文で再現性が何で学べるの? となるかと思いますが、数学は実はとても実用的な学問なのです。

多くのかたが苦手と言われる文章問題。実はあれって、苦手なのは数学の知識がないんじゃなく、解答を上手く言語化、数式化する力がないからできないんです。これはすなわち、書いてあることを数式というフレームワークに置き換えて、誰しもが1つの答えにたどり着くようにする作業なのです。それには、問題文をよく読み、この箇所を習った公式に当てはめたらどうなるんだろう?とか、ここをもっと簡略化できないかな?みたいに考えるのが重要です。

論文執筆も同じで、あれは究極的の客観的に書かれた文章だからです。基本的に論文において、「私は」などの一人称を使うことはありません。というか、できないです。なぜならそれをやってしまうと、その発見はその人自身の責任であり、新発見であり、先行研究を無視したものと見なされることがあるからです。なので、多くの場合自分の論拠を述べるときは、引用した参考文献を挙げて、この論文のこの箇所に対してこう考える。と書きます。これは多くの学生がぶち当たる難関ですが、研究が客観的に見て誰がやっても同じ結果になるようにせねばならないから仕方がないです。ですが、これも出来るようになれば確実にためになるので是非食らいついてください!

3.哲学を考える

さあ、歴史を知って物事の深さを知り、再現性を学んで横の広がりを掴んでもう終わりではありません。実は一番重要で、でもできてない人が多いのが学んだことを踏まえてそれらをどう活用していくか、つまり哲学を考えることです。

哲学というと、ややこしいや胡散臭いなどと言われるかもですが、哲学って全然難しくないんです。要はゴールを定めてそれを歩むための道を作ることなんです。

よく人生とは?とか愛とは?みたいに考えるのが哲学って思われがちですが、確かにそういう簡単に答えのないものを考えるために哲学があるって面は事実です。

なぜなら、哲学とは答えのないものにとりあえずの答えを出すものだからです。

これは学問に限らず経営戦略や人生設計など幅広い分野で使えます。それがないと人間はどう歩んだらいいかわからないからです。

例えばコーヒーの歴史と再現性を学んだとして、では自分が飲みたいコーヒーとは何なんだろう?って考えるのも哲学です。むしろこれを考えなきゃそもそもこれまで勉強してきた意味がないと思いません?

なのでここでより具体的に、「香りは強く、苦味と酸味控えめの飲みやすいコーヒーが作りたい!」って書けばそれに向かってこれまで学んできたことを転用できます。そうやってゴールを決めることで自分が求めるものに近づくことが可能になってきます。

そしてこれも日々の学問で身に付きます。というか、全ての学問には哲学がつきものです。先ほども言ったとおり、哲学は全ての物事を考える上でゴールを決めることなので、国数社理英全部で学べます。無理して倫理の教科書にのってるハイデガーやマルクスなんて小難しいものからはじめなくても、この学問がどうしてここまで発展したのかって考えると、そこにはそういう風に発展させた哲学があります。 それらを踏まえて卒論などを書くときも、この研究をする意義は?と担当教授に言われることがあると思いますが、「私はこういう理由でこの論文を書くのです」というのもそれはあなたの哲学になります。なので、一度難しく考えず何故これを勉強するのかってのは深く考えてみると面白いです。

まとめ
結構長くなってしまいましたが、今回は「歴史」「再現性」「哲学」を学ぶことで物事をより深く理解できるということを伝えるためにこのnoteを書きました。これらは全部学校教育で学べます。近頃文系の知はいらないなんて声もありますが、ご冗談を。これほど実用的かつ汎用性のあるものを学べるのが文系の知なのです。確かに金をかけた割には成果に結び付きにくく、理系に比べて数値に頼ることも出来ない面も多いので、何をやってるのかわからないのも無理はないです。ですが、文系の知なくして、学問は成り立たないと僕は思います。それはこれまで書いてきたことを見てもらえれば分かるかと思います。最後まで付き合ってくださりありがとうございました。そして多くの方に日々の学びをより有意義なものにしていってほしいと願っております。

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