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ポップコーンは買わない派です。vol.88
隔たる世界の2人
【 第93回 アカデミー 短編映画賞 受賞 】
あらすじ
一夜をともにした女性の部屋で目覚めたグラフィックデザイナーのカーターは、愛犬の世話をするため自宅へ帰ろうとする。しかし路上で遭遇した警官メルクに所持品検査を強要され、抵抗すると地面に押さえつけられ窒息死に追いやられてしまう。意識を失った瞬間、カーターは再び女性の部屋で目を覚ますが、帰ろうとするとやはりメルクに遭遇し、今度は射殺されてしまう。自分がタイムループにはまり込んだことに気づいたカーターは、メルクに殺される運命からどうにか抜け出そうとするが……。
Black Lives Matter運動とは
アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為をきっかけにアメリカで始まった人種差別抗議運動のこと。(以下BLMとする。)
現在では黒人のみに留まらずアジア人に関する人種差別にも解釈が広がりつつあるらしい。
アメリカの差別の現状を表しているタイムリープ
差別の歴史は根の深い問題であり、一筋縄では解決できない問題である。
そんな差別の現状をタイムリープという技法で歴史は繰り返すということを皮肉に表現している。
本作ではなんとも不当な理由で主人公の黒人が何度も何度も白人警官に殺されてしまうという内容で、まさにジョージ・フロイドさんの事件に重なるのだ。
主人公は殺されると、夢オチという形で起床し同じ現象が繰り返される。
主人公は殺されたという記憶は強く残っているために、次は殺されないように、いろんな手立てで白人警官をすり抜けようとするのだが、必ず殺されてしまう。
ついには、家から出なきゃいいんだってことで家に留まることにして過ごしているのだが、ある勘違いで突入されて最終的には殺されてしまうというオチに。
これは実際にあった出来事らしく、黒人にとっては家にいても安心できない状況にあるというのはどういうことだというのと、勘違いで殺されていいのかよって恐ろしくなったよね。
これを受けてアメリカという土地に対しての恐怖感も強く植え付けられた。
映像作品技法としてのタイムリープが黒人の置かれている状況と皮肉にもマッチしていて、作品に深みを与えている。
黒人をはじめとした不当な差別を受ける人々の抜けることのできない差別のループが描き出されているように感じる。
ズームバック×オチアイという番組で、大衆論というテーマで落合陽一が語っていた。
特に印象に残っている言葉があって、それが
「みんな違って、みんなどうでもいい」
過度に自分ごととして捉えてしまうと、生きにくくなるから
どうでもいいやって思えるくらいの方が、本当の意味で多様性は保たれるという考え方。
そもそも多様性を認めるということ自体がファッション的な要素が強く、違和感を覚えるんだよね。
意識させることで逆に変な偏見を生んでしまうのではないかと考えてしまう。
声をあげることはもちろん大切なことである。
でもそれによって生まれる互いの憎悪も少なからず生まれている気がして、一概にBLMを支持することが全ての正しい道とは限らないなとは思うね。
つい最近、ジョージ・フロイドさんを殺害した警官が有罪判決を受け、BLM側の皆さんは歓喜の様子で、祭りのように盛大に祝っていた。
そりゃそうだよね。警官がちゃんと裁かれてよかったと思う。思うけれども、BLM側のあの歓喜の様子は正直気持ちが悪かった。
同じ人間なのに人の有罪判決に対してあんなに喜ぶのはちょっとおかしいのではないかとは思う。
甘い考えかな?アメリカ人にしかわからない世界なのかな?
確かに側からみてる人間からしたら他人事に思えるかもしれない。
でもさ、日本人はさそもそもいじめとか差別とか、震災とか被災地とか原発を忘れよう忘れようとする国民性でさ、声をあげるという段階にまで行き届いてない人が大勢いるというサイレントマジョリティーの者たちでさ。
でも多分心のどこかでは社会に対して思ってる部分てみんなあるんじゃねぇかなって、
それを浮き彫りにさせてくれるのがSNSって存在。
SNSの存在と社会課題と私たち
人間の持つ共感という利を生かした国民の声の汲み上げは国をも動かす力になっている。
ちょっと前にあった
#検察庁法改正案に抗議します
なんてのはいい例だよね。
でも気をつけなくちゃいけないのはファッショになり続けちゃいけないということ。
ボタンひとつでできる意思表示としてリツイートがあるが、
リツイートのみでその気になってはいけない。
はじめはこういうことを考えている風の自分に酔いしれていいとは思うけど、そこから入り込んでいけるかどうかだよね。
最近ではリツイートなら前に、「一旦記事を読んでみませんか?」というバナーが出てくるようになって、炎上防止に役立っている?ようだ。
アメリカの議会襲撃事件がありましたが、あれもトランプによる支持者をSNS上で扇動が原因であるとされている。使う人が悪い人だと大衆をとんでもない方向へ導いてしまいかねない。
金森さんも言ってました。
「SNSは遊びじゃねぇんだ!」
使い方によってはより良い社会の構築に役立てることができると思う。
軽い気持ちでで始められるからこそ気をつけたいところだ。
それは映画、ひいては芸術にも言えることで、政治、経済等と同等の存在価値があると思う。
作品がきっかけで課題への関心、解決に向けた動きをつくることができるものとして大衆が自分ごととして捉えることができるのでないかと思っている。
人種差別に関する話は今後もあがってくるとは思うし、作品も多く作られていると思うのでそれらの項目から考えるきっかけを駆使して考察を深めていけたらと思っている。
本作もそういった社会に訴えかけるという意味で大きな意義を感じられる映画であると思う。
Netflixで割とサクッと観られるのでおすすめしたい。
アニメの「映像研には手を出すな!」も観られるようになったよ。