肺癌の原因、所見、症状、現代医学の治療、東洋医学の治療(漢方など)をまとめてみました。
肺癌とは?
肺癌は、肺組織で発生するガンの一種です。肺ガンは、通常、呼吸器の一部である肺の細胞で異常な成長が始まることから発症します。肺ガンは、しばしば喫煙と強い関連があり、喫煙者の中で発症するリスクが高まりますが、非喫煙者にも発症することもあります。主な種類として、小細胞肺ガンと非小細胞肺ガンがあり、それぞれ異なる特性と治療アプローチを持っています。
肺癌が起こる原因は?
肺癌の死亡率は、成人男性で1位、女性でも第2位と言われています。肺ガンは気管支上皮から発生するガンで、大細胞ガン、小細胞癌、扁平上皮癌、腺癌の4つに分類されます。
喫煙によるリスクとしては扁平上皮癌と小細胞癌が高く、腺癌と大細胞癌では低いと言われています。
病気の進行度はTMN分類が使われる。TNM分類とは?
T(Tumor): 腫瘍の拡がり
Tx: 腫瘍の拡がりが評価できない場合
T0: 腫瘍が存在しない場合
Tis: 原位がん(がん細胞がまだ侵入していない)
T1、T2、T3、T4: 腫瘍の拡がりの度合いや局所的な浸潤の深さを示す数字。T1は小さな腫瘍で、T4は大きな腫瘍で周辺組織に浸潤している場合を指します。
N(Node): リンパ節の侵襲
Nx: リンパ節の侵襲が評価できない場合
N0: がん細胞が近隣のリンパ節に侵入していない場合
N1、N2、N3: 侵襲されたリンパ節の数や位置を示す数字。N1は近隣のリンパ節に侵入している場合を指し、N3は遠隔のリンパ節にまでがん細胞が広がっていることを指します。
M(Metastasis): 転移
Mx: 転移の有無が評価できない場合
M0: 遠隔部位へのがんの転移がない場合
M1: がんが遠隔部位に転移している場合
これらの要素を組み合わせてがんのステージを定義します。たとえば、T2N1M0は、中程度の大きさの腫瘍(T2)、近隣のリンパ節にがん細胞が侵入している(N1)、遠隔部位への転移がない(M0)場合のステージを示します。TNM分類は、さまざまながんの種類に対して使用され、がんの進行度合いを正確に評価するのに役立ちます。
肺癌の所見、症状は?
肺ガンでは様々な症状が出ると言われています。以下にまとめました。
咳
持続的で慢性的な咳が一般的です。特に朝や夜に悪化することがあります。咳から痰が出ることもあります。
喀血(血を吐く)
咳をする際に血が混じることがあり、これは重要な症状です。喀血の程度は軽度から重度まで変化することがあります。
呼吸困難
呼吸が困難であることがあり、これは肺がんが進行すると一般的になります。
胸痛
胸部の痛みや圧迫感があることがあります。これは腫瘍が周囲の組織に圧迫をかけるために生じることがあります。
高熱や体重減少
がん患者はしばしば体重を急激に減少させることがあり、一般的な体調の悪さや高熱も感じることがあります。
疲労感
持続的な疲労感や体力の低下があることがあります。
声の変化
茶色の声や声がかすれることがあり、声帯に影響を及ぼすことがあります。
また、これ以外にも上大静脈症候群やバチ指などの症状がでたり、交感神経部まで侵されるとホルネル症候群(眼裂狭小、眼球陥凹、縮瞳など)が現れることもあります。
肺癌の症状が進行するにつれて、これらの症状はより顕著になることがあります。一部の肺癌は初期には症状が現れず、進行してから診断されることがあるため、定期的な健康チェックとがん検診が重要です。
肺癌の診断方法は?
画像検査
X線:胸部X線は、肺に異常があるかどうかを初期段階でスクリーニングするのに使用されます。
CTスキャン(コンピュータ断層撮影): CTスキャンは、肺内の腫瘍やその他の異常をより詳細に評価するために使用されます。高分解能CT(HRCT)は特に肺がんの検出に効果的です。
組織検査
生検:がんの確定診断には、肺組織から標本を採取してその組織を詳細に調査する生検が必要です。生検は針生検、気管支内視鏡生検、手術による組織採取などで行われます。
痰細胞検査:一部の肺がんは、痰にがん細胞を含むことがあり、痰細胞検査を通じて診断できることがあります。
PET-CT
PET-CTは、がんの進行や転移を評価するために使用されます。患者に放射性の物質を投与し、がん細胞が集まる箇所を明確に示す画像を提供します。
症状と身体検査
医師は患者の症状や身体検査の結果を評価し、肺がんの可能性を検討します。喀血、呼吸困難、咳、胸痛などがんの兆候になることがあります。
血液検査
特定の血液検査(例: 腫瘍マーカー)はがんの存在を示す兆候を提供することがあります。ただし、肺がんの診断の主要手段ではありません。
肺癌の一般的な治療法は?
治療は小細胞癌、非小細胞癌の2つに大きく分けられる。
小細胞癌では進行が早いと言われており、手術可能な例は少ない。早期肺ガンのみ手術が適応される。化学療法の効果は非小細胞癌に比べて良好で、小細胞癌では化学療法が中心となり、予後の延長も期待できる。しかし進行型や全身の状態が良くない方は予後は不良と言われています。
非小細胞癌の中で限局性肺ガンでは手術が主体。進行肺ガンでは遺伝子検査で分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が有効かどうかを推測が可能になっている。
非小細胞癌では手術の前後で、化学療法を実施する場合もあり、併用の効果が期待されています。
肺癌の予後は?
化学療法によって予後の延長はどの組織型でも証明されているが、平均生存期間は、小細胞癌の限局型で約2年、進展型で約1年とされている。近年新たな治療薬が作られ予後は以前より良くなっていると推測されます。
肺癌の東洋医学的な考えは?
東洋医学において、肺は体内の重要な臓器の一つで、気と体液の循環、呼吸、免疫機能、皮膚などと密接に関連しています。
東洋医学を取り入れるメリットは?
肺の気は生命力やエネルギーの流れと関連しており、体全体のバランスを維持する役割を果たします。肺がんのような問題が肺の気に影響を与える可能性があります。
症状: 肺がんに関連する一般的な症状、例えば咳、喀血、呼吸困難、体重減少、などは、肺の気や他の要素の不均衡を示す兆候として解釈されることがあります。
温度と湿度のバランス: 東洋医学では、気象条件、特に温度と湿度の変化が健康に影響を与えると信じられています。湿度や寒さが体内のバランスを崩す可能性があるため、肺がん患者はこれらの要因に注意を払うことが勧められることがあります。
食事療法: 東洋医学では、食事は健康をサポートするための重要な要素であり、特定の食材や調理法が肺の健康に対して有益であるとされています。例えば、一部の食材は「肺に良い」とされており、肺の健康を促進するために取り入れられることがあります。
以上のような点から、東洋医学を取りれるメリットがあります。
東洋医学で考える肺癌にアプローチできるポイント
肺がんに対する東洋医学のアプローチは、がんの症状の緩和、免疫システムの強化、体のバランスの調整、ストレス管理などに焦点を当てます。
以下は、東洋医学に基づく肺がんへのアプローチの一般的なものです。
食事療法:
食事は東洋医学において健康の基本であり、がん予防や治療においても重要視されます。食材の性質や五行説に基づいて、がん患者の体質や症状に合わせた食事プランが提案されることがあります。一部の食材は「清熱解毒」や「潤燥化痰」の効果があるとされ、がんの症状緩和に役立つと考えられています。
ストレス管理:
ストレスは免疫システムに悪影響を及ぼす可能性があるため、東洋医学ではストレス管理が重要視されます。瞑想、深呼吸、ヨガ、タイ・チーなどのリラクセーション技法ががん患者に勧められることがあります。
全身治療:
東洋医学では、全身のバランスが重要視されるため、肺がん治療は体全体の状態を考慮して行われます。がんの局所的な治療だけでなく、全身の調整とバランスを取り戻すことが目指されます。
東洋医学のアプローチは、西洋医学による標準的な治療法と併用されることが多く、主要ながん治療法の代替として提供されることがあります。
その他の肺癌の治療法
鍼灸療法
鍼灸療法は、体内のエネルギーの流れを調整し、体のバランスを取り戻すために使用されます。がん患者に対しては、痛みの軽減、不快な副作用の軽減、免疫システムの強化などの目的で鍼灸セッションが行われることがあります。
漢方
漢方薬は東洋医学の伝統的な治療法で、がんの症状や体質に合わせて処方されます。漢方薬は患者の状態に応じてカスタマイズされ、がん治療の副作用の軽減、免疫システムの強化、疼痛管理などに使用されます。
癌と漢方に関連する書籍
救いたい!肺癌漢方治療のすべて。癌と闘う先端医療の臨床事例集 / 横内正典
癌に関連する漢方の値段・価格の相場は?
ガンに関連する漢方の価格は、およそ1万~5万円/月程度と、値段に幅があります。
なぜ漢方の値段に開きがあるのか?
漢方は、患者さんの体質や病歴、置かれている状況等を考慮して組み合わせるもので、状態によっては漢方の種類が増えるため、どうしても皆同じというわけにはいかず価格に差があります。
予算に合せることもある程度は可能ですが、最初から予算を聞いてきたり、とくに問診もせずに上記のような体質や状況を考えず、一般的な古来の漢方薬を選んで出してくる漢方薬局もあるので、その点は注意した方がよいでしょう。
値段が気になっても、ガンに関する漢方を相談する際は、まずはベストな提案をしてもらい、後から予算の調整をしたほうが賢明です。
東洋医学的に肺癌の治療を始める場合は?
東洋医学的治療は、体質の調査から始まり、陰陽のバランスを整える食事療法や漢方などを用いて体全体の機能を改善します。健康管理と生活指導も重要であり、個々の症状や体質に合わせたアプローチが必要です。そのため専門家への相談が重要になってきます。