逆流性食道炎の原因、所見、症状、現代医学の治療、東洋医学の治療(漢方など)をまとめてみました。
逆流性食道炎とは?
逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流することによって引き起こされる慢性的な炎症性疾患です。胃の中の酸が食道に逆流することで、食道の内壁にダメージを与え、炎症を引き起こします。
逆流性食道炎が起こる原因は?
酸、アルカリ、熱、放射線など物理的、化学的刺激に加え、細菌、ウイルス、真菌などにより食道粘膜に炎症を起こして、さらに悪化すると潰瘍が形成されることもある。
免疫力が低下した際に起こりやすいと言われています。また高齢者では噴門部括約筋が弛緩しているため、食道に逆流しやすくなり、胃酸による食道炎を起こすことが多い。
逆流性食道炎の所見、症状は?
軽い時は無症状か胸焼け、飲み込むときに痛みが出ることがある。しかし夜間での胸焼けは狭心症との鑑別が必要です。
逆流性食道炎の診断方法は?
基本的には内視鏡で検査を行う。逆流性食道炎は粘膜障害の広がりから6段階に分類されている。また食道癌との鑑別が必要な場合もある。高度に悪化したものは潰瘍を起こして吐血、下血、嚥下障害をおこしたり穿孔して縦隔炎を起こすこともある。
逆流性食道炎の一般的な治療法は?
強酸、強アルカリの場合は、それぞれを中和する。粘膜保護剤なども使われる。またヘルペスの場合は抗ウイルス薬、カンジダによるものは抗真菌薬を投与する。
その他ではプロトンポンプ阻害剤、H2受容体拮抗薬などで胃酸の分泌を抑制して状態の悪化を防ぐことも行う。抗コリン薬は噴門部括約筋の弛緩を助長するので、使わないことが大切です。
食後、すぐに寝ない。寝る時は少し体を起こして寝る。痩せることによる腹圧を下げることも大切です。
逆流性食道炎の予後は?
基本的には予後は良好と言われていますが、適切な治療を行わず逆流性食道炎が長期間続くと、食道の内壁に変化が生じ、バレット食道や食道がんのリスクが上がる可能性が上がると言われています。
逆流性食道炎の東洋医学的な考えは?
東洋医学では、体の健康は体内のエネルギー(気、気血、陰陽など)のバランスに依存していると考えられています。逆流性食道炎の東洋医学におけるアプローチは、西洋医学のアプローチと異なりますが、一部の患者にとっては補完的な治療法として利用されることがあります。東洋医学は、体のエネルギーの流れやバランスを調整し、体の自然な治癒力を活性化することに焦点を当てています。
東洋医学を取り入れるメリットは?
東洋医学、特に伝統的な中国医学や日本の漢方医学などは、現代医学とは異なる視点から疾患を理解し、治療法が考えられます。逆流性食道炎に関しても、東洋医学の観点では以下のような要素が考えられることがあります
気と血のバランス: 東洋医学では、「気」と「血」が体内を流れ、バランスを保つことが重要とされています。逆流性食道炎は、体内のエネルギーの不均衡や流れの滞りに関連している可能性があります。
脾胃の役割: 東洋医学では、脾胃が食物を分解し、エネルギーを生成する役割があると考えられています。逆流性食道炎は、脾胃の不足や機能の低下に起因すると捉えられることがあります。
陰陽の調和: 東洋医学では、陰陽のバランスが健康を維持する上で重要です。逆流性食道炎が生じる場合、胃の過剰な「陽」が食道に影響を及ぼしている可能性が考えられます。
食事療法と生活習慣: 東洋医学では、食事療法や生活習慣の調整が治療の一環として重要視されます。食べ物の性質や五行理論(木、火、土、金、水)に基づいてバランスの取れた食事を摂ることが推奨されることがあります。
以上のような様々な視点から治療が出来ることから東洋医学を取りれるメリットがあります。
東洋医学で考える逆流性食道炎にアプローチできるポイント
逆流性食道炎に対する東洋医学のアプローチ方法は、患者の症状や体質に合わせて個別に調整されることが一般的です。以下は、一般的な東洋医学のアプローチポイントになります。
体質診断: 東洋医学では、体質が個人の健康に大きな影響を与えると考えられています。まず、東洋医学の専門家は患者の体質を評価し、病状を理解するために個別の診断を行います。これは脈診、舌診、症状の詳細な質問などを含むことがあります。
食事療法: 患者に対する食事療法は、個別の体質と症状に合わせてカスタマイズされます。特定の食材や調理法、漢方などが推奨され、栄養摂取とエネルギーのバランスを最適化するために使用されることがあります。
ストレス管理と精神的なサポート: 東洋医学は、精神的な健康を重視し、ストレス管理技術、瞑想、呼吸法、および運動などの方法を提供することがあります。これにより、患者の心身のバランスをサポートし、治療へのモチベーションのアップや忍耐力を高めます。
予防と健康の維持: 東洋医学は健康の維持と疾患の予防に焦点を当てます。患者には健康な生活習慣の促進、バランスのとれた食事、適切な運動、ストレス管理などがアドバイスされることがあります。
その他の逆流性食道炎の治療法
鍼灸療法
気や血液の流れを調整: 鍼灸治療では、体内のエネルギーである「気」や血液の流れを調整することが目的とされます。逆流性食道炎の場合、気や血液の滞りが問題となり、これを改善することで全身の調和を取り戻す助けになると考えられます。
陰陽のバランスを整える: 中医学では、陰陽のバランスが重要視されますが逆流性食道炎は陰や陽の不均衡によるものと考えられる場合、鍼灸を通じて陰陽のバランスを調整し、体内の調和を促進することが試みられます。
脾胃の弱り、胃気上逆を沈める
逆流性食道炎の場合は脾胃が弱っていたり、胃気が上に行くことで発症すると考えられています。そのため適切な経絡、経穴を使い、それらのバランスを整えながら、治療を行います。
漢方
漢方医学は、中国の伝統的な医学であり、植物、動物、ミネラルなどの自然界の物質を組み合わせて製剤したものを用いてバランスを取る治療法です。逆流性食道炎に対する漢方治療も、患者の体質や症状に基づいて行われます。
健脾益気: 脾胃の機能を補強することを目的とする漢方薬が使用されることがあります。これには、胃の働きを脾胃が担っていることから、まず脾と胃を強化していくことを考えます。
胃の気を下げる: 飲食物を納めて上から下の方向に降下させるはずの「胃気」が、逆に上方に向かってしまう胃気上逆の症状を抑える必要があります。そのためには溜まっているストレスを発散させることも大切です。
気血の循環の促進: 漢方医学では気や血の循環が重要視されます。逆流性食道炎が気や血の不足によって引き起こされると考えられ、漢方薬がそれらの不足を補うことで尿のコントロールが改善されると期待されます。
漢方治療では逆流性食道炎の治療関連の文献も出ているようです。
https://www.philkampo.com/pdf/phil24/phil24-06.pdf
逆流性食道炎に関連する漢方の値段・価格の相場は?
逆流性食道炎に関連する漢方の価格は、およそ1万~5万円/月程度と、値段に幅があります。
なぜ漢方の値段に開きがあるのか?
漢方は、患者さんの体質や病歴、置かれている状況等を考慮して組み合わせるもので、状態によっては漢方の種類が増えるため、どうしても皆同じというわけにはいかず価格に差があります。
予算に合せることもある程度は可能ですが、最初から予算を聞いてきたり、とくに問診もせずに上記のような体質や状況を考えず、一般的な古来の漢方薬を選んで出してくる漢方薬局もあるので、その点は注意した方がよいでしょう。
値段が気になっても、逆流性食道炎に関する漢方を相談する際は、まずはベストな提案をしてもらい、後から予算の調整をしたほうが賢明です。
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