行きつけの町:Salerno(サレルノ/イタリア)
不思議なことにロンドン遊学中に縁ができ、何度も何度も訪れたことで、行きつけというよりも第二のホームタウンとなっているのがサレルノ。イタリア南部、ナポリと同じカンパーニャ州にあり、ティレニア海に面した湾岸都市ですが、残念ながら未だに日本での知名度はかなり低い!日本に限らず、国外からの観光客へのアピールはまだまだ伸びしろがたっぷりある!ローカル度濃いめ、南イタリアらしいゆっくりとした時間の流れる町です。
とは言え、サレルノはずっと鄙びた町だった訳ではないのですよ!イタリアと言う国は、統一国家となってからまだ160年ちょっと。それ以前は、各地で独立した都市国家が存在していた訳です。サレルノにも輝かしい時代がありました。かなり遡りますが中世の頃は、ピサ、ヴェネツィア、ジェノヴァなどと並ぶ大海洋王国のひとつで、サレルノ公国として繁栄を極めていたのです!が、哀しいことに歴史的にはここがピーク!その後はスペイン王国やナポリ王国など、様々な支配者の下で控え目に存続してきた感じ。
私が初めて訪れた30年前当時、日本人というより東洋人ということでかなり珍しがられました。街を歩けばジロジロ見られ、ヤジを飛ばされたものです。それだけ、海外からの観光客(特にアジア圏)がいなかった町。ただ、イタリア政府の『来るもの拒まず』という政策の結果、次第に路上販売で生計を立てるアフリカ系の人々が増え(多くは‟海から入国した”と思われる非正規移民)、次に中国系の人々が増え(今では驚くほど中華料理店が増えました)、寂れた港町だったサレルノも、今ではかなりカラフルになって来ています。
カンパーニャ州ではナポリに次ぐNo.2の町であり、ティレニア海沿いでは重要な貿易港につき、イタリア人にとってはもちろん良く知られた場所。サレルノ大学は、世界で2番目に古い大学ですし(医学学校の礎とも言われる)、『カノッサの屈辱』で知られるローマ教皇:グレゴリウス7世が眠る地としても有名(サレルノ大聖堂)。水道橋や城の遺跡からは、サレルノ公国時代の栄華を垣間見ることが出来ます。細い路地が迷路のように続く旧市街は、中世の面影を残しています。1日あれば、自分の足でぐるっと回れるコンパクトな町。
ローマやナポリからは、サレルノまで直行の高速鉄道FrecciaRossaでアクセスも◎、南イタリアを周るなら知っていて損はない町。『世界一美しい海岸』と名高いアマルフィ海岸への起点なのです。日帰りで行ける先には、ポンペイも!このエリアの主要観光地へは、バスまたはジェット船で30分~1時間で行けます。カプリ島へもフェリーで行けます(日帰り可)。特にナポリへは高速列車で38分、普通列車でも1時間ちょっとということで、通勤している人も沢山います。まだまだ観光地化され過ぎていないため、ローマやヴェネツィアなど大観光地と比べたら、治安も良いし物価も安い。
また、2005年からはクリスマス・シーズンに町を挙げての大イベントが開催されています。Luci d'Artista(ルーチ・ダルティスタ)は町全体を会場として使う超大規模なイルミネーションイベントで、ここまで凄いイルミネーションは、他に見たことがない!街中の路地という路地に光のデコレーション!これは本当に現地で見る価値大。実際に、年々国内外からの訪問客が増えているんですよ。
ついでに、サレルノ人の不思議な日課についてもご紹介しましょう。海岸沿いにLungomare:ルンゴマーレと呼ばれる遊歩道(1.3km)があります。晴れた日には、午前中そして日が暮れた夕食後にも、何をする訳でもなくブラブラと歩き続けるのです。特に夜は、サレルノ市民の半分以上が出てきているんじゃないかと思うほど、なかなかの人出です。夫婦で、親子で、友達と、カップルで。遊歩道の端まで行ったら、またブラブラ戻ってくるという。途中で知り合いに会う度に、立ち止まってはちょっとお喋り。寒い冬にも、しっかり着込んでブラブラ。まぁ、食後の運動+近況報告の場ということですね。ただ、そもそも夕食時間が遅く、その後ブラブラしに行くため、帰宅は23時頃になったりします。サレルノ人に限らず、イタリア人は結構宵っ張りなんです。
観光客には見えにくい、イタリア人の普通の暮らしぶりを身近に体感できる町だと思います。
そうそう、地元のフットボールチーム:Salernitanaはその昔、万年セリエBの弱いチームだったのですが、なんと今、セリエAにいます!スター選手揃いのACミランと引き分けたり、頑張っているらしい!30年前は古くてボロボロだったスタジアムも、新しく立派なものになりました。セリエAの試合を観に行くにも、サレルノは意外と穴場かもしれませんよ。
おとな女子が本気で楽しめる旅:TravellinGorgeousのため、リサーチ&実体験を元にYouTube連動で活きた情報をお届けしていきます。2022年からはツアー催行します。ご支援頂けましたら嬉しいです。また、取材にご協力頂けるホテル/宿、観光業の皆様、ぜひご連絡ください!