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雪の妖精

凍てつく空から舞い降りる白い吐息
それは彼女のため息
薄いベールをまといそっと触れるだけで消える存在。

毎年やってくる彼女は
触れれば溶け追えば遠ざかる。

「また来年」と彼女は言うのだろうか。
けれどその声さえ儚く消えてしまう
虚無だけを残して雪の妖精は消え立ち去る。

彼女は毎年現れるけれど決して同じではない。
新しい雪 違う冷たさなのに
彼女の胸の中の虚無感だけは
毎年同じため息で凍りつく。

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