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カルガ キゾンバ フェスティバス【夜のパーティー編2:時間別】

※1「カルガキゾンバフェスティバル」は、スペイン・バルセロナ近郊で行われる、国際的なキゾンバフェスティバル。キゾンバとはアンゴラ発祥のペアダンスで、ヨーロッパを中心に様々な世代に人気を博している。これは、完全な趣味でこのダンスを細々と楽しんでいる、フォロワー女性視点で書かれている。

※2 リーダー=踊りをリードする人。主に男性が多い。
※3 フォロワー=リーダーの踊りについて行く(フォローする)人。主に女性が多い。

時間によって、かかる音楽や雰囲気は違っていた。
フェスティバルは3日間あるから、私の場合、色々な裏技を使って全ての時間を体験してみた。

どの時間が特に魅力的に感じるかは、その人自身、そこにいるダンサーやインストラクター、DJによっても変わるだろう。

カルガフェスティバルの場合を、残しておこう。

開始時間の0時〜2時位までー華やかな開演

曲は、パーティーの始まりを告げるに相応しい、ハイテンポのアーバンが多かった。

「イェ〜イっパーティーが始まったぞ〜!」
というウキウキ感が、序盤は溢れている。

参加者は、『夜のパーティー編1』で書いた数人の困ったタイプ(捕まらないコツを、仲間と模索中……)以外、大抵の技はリード、フォロー出来る粒揃いだ!

タラーショーやアーバンの効果音の合わせ方、トリック、アドリブのお洒落さ……どの世代もとにかくキレキレだったり、優雅だったり、それぞれの個性を活かしたリードをしてくれる。
趣味レベルの私のようなフォロワーでも、リーダーの個性や音楽によって自分のキャラクターを変えて踊ることが楽しく、眠気がいきなり襲って来るまでは、とにかく踊り明かせる。

始まりだから、フロアの手前で飲み物を飲んだり、ダンスファッションの買い物(臨時の売り場がフロアの前に誕生する。上手いこと考えてある)をしながらメンバーと仲良くなるのも、この時間かと思う。
踊り始めて以降は、帰るまでフロアの手前に戻って来ていないから、何とも言えないけれど……。

そして1時を過ぎて来ると、豪華インストラクター達もダンスフロアで実際に踊り出す!

問題点は仮眠がほとんど取れていないから、身体が丈夫でない人は2時半を過ぎたら意識がなくなりそうになる。
私もあまり身体が頑丈ではなく、2時半や3時辺りでガクッと眠気が襲って来る。

会場前のソファで、一緒に踊ったキレのいいドイツ人ダンサーと
「せっかくだしもっと踊りたいけど、眠いね。どうしよう?」
「もう一回踊ろっか!(立ち上がるも)いや、もう無理……ここで音楽を聞いておこう」
とちょっぴりうたた寝したのも、いい思い出だ。

2〜4時位までーメインデュッシュ・タイム

この真ん中が、一番フロアが盛り上がる時間だろう!

曲は、やはりハイテンポのアーバンから、少し気だるい感じのトラディショナルやアラビアン風な曲調が続く時もあり、そして眠気がやって来る人々を叩き起こすかのような、効果音満載のタラショがやって来たり、音楽の幅もこの辺りの時間が、一番広く楽しい。

色々な自分に気付け、色々な相手を発見し、元気にこの時間を過ごせたら、それはとても充実した時間になると思う。

なんと言っても、1時位から姿を現す豪華なインストラクター達と踊るチャンスが一番高いのが、この時間。

なぜか、男性は女性インストラクターの争奪戦をしていないのに、女性はどんどん男性インストラクターの争奪戦をしている所は、万国共通かもしれない。

インストラクター争奪戦は、日本よりも激しくドラマティックだ。
それについての記事を書いているだけで、体温が2度位上がった気がした。

豪華なタクシーダンサー陣も各所で素晴らしいダンスを繰り広げているから、インストラクターの争奪戦にのみにこだわらず、気に入ったタクシーダンサーが嬉しくも寄って来たら、どんどん踊って行こう。

4〜5時(終了一時間前)会場は段々と……

だんだんと人数が減って行き、4時代は時に華やかなリードも受けられる、ある意味豪華な時間だ。
フロアが広くなる分、リフトやスライドなどが好きなリーダーは、ここで思う存分発揮してくれているようだった。

インストラクターやタクシーダンサーは、任務?!を終えていつの間にか消えている場合もあるから、フロアはほとんど参加者達で、夜を締めくくることになる。

本気で夜を明かそうと思っている人は、なかなか粒が揃っている参加者の中でも特に上手な人ばかりで、4時以降、
「そろそろ終わりにしようかな」
と思うリーダーは一人もいなかった。

ここは太陽の国、スペイン。
曲調は朝に向かってより早く、盛り上がって行くものとばかり思っていたら、なんとその反対だった。

曲はスローなフュージョンタイプが増え、メロディーが美しいキゾンバに身体を委ね、優雅に踊りたくなる。
そしてもはやビートはなくなり、それは動きがゆっくりで少ない「ドゥサー」に以降して行くのだ。

ドゥサーに完全に以降する前に、華やかなトリックを受けるのが好きなフォロワーは、それらを満載にしてくれるリーダーと思う存分楽しんでおいた方がいい。
そしたら最後にやって来るドゥサーがより、心地よくリラックスできるはず。

上手なリーダーは、メロディーが美しい曲調に寄り添い、スライド、リフトもすごく優雅に、かつ華麗にこなす。
「こんなに高く舞い上がれるの?」
という程、リストは高くふわりと上がり、そしてスライドはびっくりする程、身体や足が綺麗に開き、滑らかに動き滑る。
そのダイナミックスさには、自分自身もびっくりする程だった。

メロディックなタイプの曲に合わせて、優雅かつダイナミックにリードをされると、自分は翼が映えた鳥のような気分すら味わえる。

最後の一時間(5時前〜6時)ードゥサーの楽園

「仲間達と、キゾンバの夜明けを見てみたい……」
一日目は序盤から参加し、まぶたが閉じてしまい、断念……。

フランスの仲間達は、こう助言してくれた。
「一晩中が難しかったら一回仮眠を取って、夜中2時位から参上したらいいよ。ベストな相手と踊れたら、キゾンバの終盤と夜明けは本当に素晴らしいよ……!」

そういう訳で、2日目と3日目はキゾンバの終盤、そして夜明けまでを体験することが出来た。

起こした行動の分だけ、天は喜びを返してくれるのだろうか。
彼らが教えてくれた通り、それは予想以上に素晴らしい経験になった。

終わりまでの一時間位は、例え音楽は昔からかかっているスローキゾンバであっても、人々はほぼ、ドゥサーの踊り方をする。
コネクションの組み方は完全なハグに変わり、呼吸やかすかな動きで、互いの魂を与え合い、受け取る。

「夜明け」をより効果的に表現したいからか、最後の一時間位、フロアは照明が消え、真っ暗になる。

ピアノのメロディー、サーッと流れる水の音や波の音、時々聞こえる、癒しの歌声や囁き……
それらは全て、表現したり、受け取ることが出来ることを、この暗闇で感覚が増した空間により、より魂で感じられるのだ。
暗闇の中、Cafe der Marなどのラウンジ音楽、ヒーリング音楽も上手くミックスされたキゾンバ音楽で、素晴らしい相手と踊れていたら、まるで自分は音楽と目の前の相手と、近くの楽園、イビサ島で夜を過ごしているかのような感覚にもなる。
遠くで誰かの声や拍手が聞こえたとしても、イビサ島まで旅をしていたら、それらすら効果音として表現される。


反対に、その一時間を万が一相応しくない相手と踊っていたら、動きがなく相手そのものだけを感じる分、苦痛そのものらしい。
なんとこの一時間が苦痛なら、リーダーの方からもフォロワーの方からも、暗闇の途中に踊りを終わることが出来るという。
良い雰囲気の中踊りを終わらせることはとても勇気がいりそうだし、終わりにされるのもなんともショッキングだろうから、この一時間に向けての相手選びは、他の時間よりも慎重にした方がいいそうだ。

このように暗闇のドゥサーはある意味、自身の素直な感情を知る機会にもなるだろう。

終焉(6時)ー効果的な夜明け

音が完全になくなったと同時に、会場がいきなりパッと明るくなる。
なんとも効果的な、夜明けの瞬間だ。
どことなく静かな拍手が徐々に沸き起こり、そしてそれは夜を明かしたという歓声へと膨らんで行く。
静かな達成感を感じ、一時間ほど暗闇を共に過ごした目の相手と、感謝のハグをする。
その相手とのダンスがどれだけ深かったかにより、ハグの深さも長さも増していることだろう。

夜を明かしたメンバーでワイワイ写真を撮る者もいたら、まだ自分達だけのドゥサーを踊り続けたく、プールサイドなどに歩いて行く者もいる。

この最後の一時間と効果的な夜明けは全ての人にとって、楽園を五感で感じられる可能性が開かれている。
こういう楽園の機会をたくさん設けているヨーロッパのキゾンバフェスティバルは、素晴らしいと思う。

たくさんの忘れられないダンスやドラマを経て、こうして真夜中のパーティーは様々な色彩を見せ、終わりを告げる。

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