端数処理ってややこしい
昨日は休業補償について色々と調べており、一旦は諸々の疑問は解決できました。ご協力いただきましたみなさま、ありがとうございました。
端数出たんですけど、どうすればいい?
労務に関わるお金の計算をしていると、ほぼほぼ必ずといっていいほど出くわす端数処理。
いや、適当に四捨五入すればいいんちゃうの?
としたいところなのですが、やっぱりお金に関わるところなので正確に処理をしたいところです。
端数処理で気をつけなければいけないのは、
どの単位で端数処理するか?
端数処理の方法は?
の2種類。
細かいこと言い出すと、特例的に認められる端数処理もあるのですが、よく使う以下の端数処理を覚えておけば、実務的には大丈夫なんじゃないかなぁと思ったりしています。
【ケース1】割増賃金の時間単価
1時間あたりの割増賃金(いわゆる割増単価)を計算することは良くあります。
1時間あたりの割増賃金は「1円未満を四捨五入」です。
50銭未満を切り捨て、50銭以上を切り上げましょう。
【ケース2】1ヶ月間の割増賃金の総額
ケース1の割増単価に残業時間を掛けると、割増賃金が求められますね。これも残業時間によっては端数が生じます。
1ヶ月間の割増賃金の総額は「1円未満を四捨五入」です。
割増賃金は「円未満を四捨五入」で統一するのが良さそうです。
でも注意してほしいことがあります。
「1ヶ月間」の割増賃金の総額です。「1日」の割増賃金に対して端数処理してはいけません。1日ごとに端数処理してしまうと、労働者の取り分が少なくなってしまうからですね。やりがちなミスなので気をつけましょう。
【ケース3】1ヶ月間の賃金の総額
1ヶ月の給料総額は「100円未満を四捨五入」です。
これは必ず実施しないといけないわけではなく、事務手続きの負担軽減のために認められるやり方です。ですので、1円単位で給与支払いを行っても問題ありません。
実際の給与明細を見るとイメージしやすいかもですね。
多くの人の給与支給額(※保険料とか控除される前の金額)は、100円単位になってることが多いと思います。
【ケース4】平均賃金
休業手当・休業補償・解雇予告手当・有給休暇中の賃金・減給の制裁で使われる平均賃金。いわゆる月額賃金の60%相当的なやつ。
平均賃金は「1銭未満を切り捨て」です。
円で考えた場合は、小数第2位まで求める、ですね。
ちょっとややこしい。
【ケース5】平均賃金を使って求めた手当などの金額
実際に平均賃金を使って、休業手当などを求めた金額についての端数処理。
これは「1円未満を四捨五入」です。
割増賃金を残業手当と考えると、いわゆる「手当」については同様の端数処理ですね。
【番外編】給付基礎日額
労災保険で出てくる給付基礎日額。
労災保険上の給付の単価のようなものですね。
給付基礎日額の金額は、原則として平均賃金とするのですが、端数が生じた場合の端数処理が特徴です。
給付基礎日額は「1円未満を切り上げ」です。
労災はいわゆる災害補償的な位置づけなので、四捨五入や切り捨てをしてしまった場合、本来補償しなければいけない金額を下回ってしまう可能性があるからですね。
これは社労士試験でも良く問われそうな論点なので、受験生はちゃんと押さえておきましょうね。
端数処理はややこしいですが、ちゃ~んと処理しないと未払い賃金とみなされる可能性があります。
最近だとシステムでやってくれますが、端数処理自体を自分で設定するようなシステムだと、そもそも設定が間違っていた場合は、中々その誤りに気づくこともできないかもしれません。
困ったらちゃんと調べる、もしくは専門家に聞く、が大事ですね。