料理はレシピではなく、”味付け”のレパートリーを増やせばいい
結婚し夫と同居する直前まで、お世辞抜きで料理ド素人であった。
しかも同居する家がなんと夫の職場から徒歩0分の距離にあったため、昼食を家で一緒に食べることになった。
できれば包丁を持たずに一生を終えたいと思っていた怠惰の塊は、かくして結婚して突然1日3食作るという、黄金伝説に挑戦するような生活に身を置くこととなった。
毎日3食こなすためには、とにかく自分の中にできるだけ多くレシピをストックしていかなければならない。
レシピを文字媒体で理解できない料理ド素人は、料理と料理の間、日々何時間もアプリでレシピ動画を見漁り、レパートリーを増やしていった。
……ように思えた。実のところアプリのレシピ保存機能にただひたすら溜め込まれていくだけで、身にはなっていない。頭に入ってないから何度も同じレシピを開かなければならない。時間のロスにもなり、もやもやしていた。
ある日、書店でレシピ本を買おうと何冊か手に取り、目次を確認していた。
料理の名前が列挙されている。大体は食材でカテゴライズされていた。
肉料理、魚料理、野菜中心の副菜、等々。
ふと気づく。
味付け被ってるな。
たとえば「照り焼き」。鶏、鮭、鰤、大根。食材からみればレシピが4種類あるように見えるが、結局は「照り焼き」だ。
それなら、味付けの種類を覚えていけばいいのであり、闇雲にレシピを覚えようとする必要はないのでは?
それからは、味付けからレシピを調べるようになった。
照り焼きなのか、煮物なのか、バター炒めなのか、その他いろいろ。
味付けそれぞれに組み合わせる調味料は大体決まっている。上に挙げた照り焼きでいえば、「酒、砂糖、みりん、醤油」だ。
つまりその組み合わせさえいったん覚えてしまえば、あとはどんな食材が使われているのかを確認すればいい。それ以上レシピを読む必要がない。
もちろん味付けは本当に多種多様にある。作り手の好みがあるのでレシピごとに調味料の配合もそれぞれだし、ある調味料を使ったり使わなかったりと、ド素人としては混乱させられることも多かった。
しかし作り続けることによって、好きな味付けに気づける。AのレシピよりBのレシピのほうが好みだと思えば、Bを覚えて作っていけばいい。
そうして味付けの種類を増やせばそれだけでレパートリーが増えるし、その味付けにどんな食材を使うかで枝分かれ的にまた増えていく。
味付けに着目してから、レシピを読むのが簡単になり、頭に入りやすくなった。レパートリーを着実に増やしていけるようになった。
私と同じように料理に苦手意識を持っている、レシピのレパートリーを増やすのがキツいと思っている人は是非実践してみて欲しい。
無限にあるレシピを片っ端から調べて覚えていくような途方もない作業は全く必要ない。
ちなみに私のオススメの味付けは「ごまポン」。
ごま油とポン酢の組み合わせ。最強。
副菜に困ったとき、冷蔵庫にありがちな野菜と和えれば一品できてしまう。
私はキャベツ、ニンジン、もやし、春菊、ピーマンに使う。ここに列挙しただけで5種類、5種類のレシピをストックできたことになる。
おろしショウガや梅も合わせるとまた味が奥深い。
料理駆け出し時代の私、よくやった。