![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157741179/rectangle_large_type_2_6877107c0f66bcfa8445f107bb3669a8.jpeg?width=1200)
SLANG Rest In Miseryレヴュー イスラエルのガザ侵攻「KOさんと僕は再び歩調を合わせ始めた」
■Rest In Miseryレヴュー
遂に満を持して10年振りのSLANGのニューアルバムがリリースされた。アルバムタイトルは「Rest In Misery」日本語にすると永遠に苦しめというニュアンスになる。このタイトルを見て僕はその意味を理解したと同時に良いタイトルだと思った。それについては後述する。
まずはアルバムジャケットから。SLANGはずっとアルバムジャケットや歌詞カードに徹底的に拘っている。CDの中の音楽だけではSLANGのアルバムは成立しない。音楽、ジャケット、歌詞カードすべてに一貫性のあるものが揃ってSLANGというバンドのアルバムが成り立つ。
![](https://assets.st-note.com/img/1728777327-v7f6dUAcVMlC2KYLoRegzw8X.png?width=1200)
僕はこのジャケットに描かれた鉄条網はイスラエルがガザを囲って設置した分離壁を表していると思う。そう10月7日ガザのハマスがイスラエルにより囲まれた分離壁を突破したあの鉄条網。
![](https://assets.st-note.com/img/1728777675-Hzn0JBt9odPR2WKsum3Qa7C6.png?width=1200)
アルバムはデジパック仕様になっていて、僕はその雰囲気がLife Made Me hardcoreに似ているなと思った。
![](https://assets.st-note.com/img/1728778405-mBtrHFLYIW0ZEjKuSOxf2cla.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1728778505-24ZYrRqt3HAnBSFDw7LpPsxd.png?width=1200)
そして見逃してはならないのがCDを取り出したときの盤の下に描かれたメッセージだ。
「STOP KILLING CHILDREN」子どもを殺すのを止めろ。KOさんが世界の紛争で犠牲になる罪のない子どもたちへの昔からの一貫したメッセージだ。この写真はイスラエルの爆撃により破壊されたガザの街であろう。
![](https://assets.st-note.com/img/1728779755-jZeHt6bSksW7frGqT24U5Xum.png?width=1200)
SLANGのCDはいつもデジパック仕様になっているのだが、今回違うところは歌詞カードだ。いつもならブックレット状になっていて、曲ごとに描写された写真や絵、歌詞の言葉に関する注釈が記載されているのだが、今回は1枚ペラで歌詞の言葉に関する注釈もなく至ってシンプルだ。ただし歌詞カードの裏だけには強力なメッセージは描かれている。
「CEASE FIRE NOW」今すぐ停戦という意味だ。もちろんこのメッセージはイスラエルによるガザ侵攻に対して今すぐ止めろという意味で間違いないだろう。
![](https://assets.st-note.com/img/1728779182-gzUR2ZdNW5bsvfQL8C6MOlFy.png?width=1200)
アルバムの内容の話に入ろう。驚いたのが今回は9曲入りでなんと13分59秒しかない。1曲約2分のファストな曲が一気に駆け抜けていく。ここ2作は速い曲、スローテンポで重い曲、抒情性のある曲と幅を広げたバラエティに富んだ曲調が収められていたが、今回はまるでディスチャージの様な正にストレートなこれぞハードコアの神髄だという部分に拘った作品だと思った。
今回の作品はSLANGと言えばこの人というサウンドエンジニアの桑田康志さんから須藤コウタさんという方に変わった。またギターがKIYOさんからKENTAさんに変わったので音がどの様に変化したのか興味ある部分でもあった。
まず聴いて思ったのがサウンドがとてもクリアで良い音だと思った。各楽器とKOさんの歌もハッキリと聴こえる。もちろん桑田さんの音も最高に好きだがそれとはまた違った感触の音だ。そしてKENTAさんのギター。KENTAさんはYUKIGUNIでの音を知っているから、あの様な重いサウンドかなと想像していたけど、適切な表現が見つからないけどこれはSLANGのギターに相応しいなというギターの音になっていた。TwitterでSLANGとYUKIGUNIでは機材を替えていると書いてあったからやはりそこは意識して各バンドの音楽性に合うように変えているのだろう。
KENTAさんはYUKIGUNIのギタリストで江別ギタースクール代表であり、2005年アメリカの音楽学校、Musicians Institute[G.I.T]に留学。
在学中にも関わらず"Outstanding Student-GIT Award"[最優秀生徒賞]を受賞した凄腕のギタリストだ。興味ある方は以下リンクを見てほしい
![](https://assets.st-note.com/img/1728781836-8J279wnvaWHR345jFAfePrso.png?width=1200)
ここからはRest In Miseryアルバム各曲のレヴューと自分なりの解釈を書いていく。あくまでも僕個人の解釈なのでKOさんの真意とは異なる部分もあるかもしれないことはご了承いただきたい。
1.どうしようもないクズばかり
糞の吹き溜まり第二弾とも言える曲だ。これは現政権に対する怒りの曲だ。国民には増税を課す政府だがその税金は社会保障に使われることなく、米国の奴隷に成り下がり多額の武器を買わされ税金は国民には使われないという事実。その結果日本では貧困化が進み、老人や子どもがその犠牲者になっていく、弱者に目を向けず国民のための政治をしない政府への怒りが込められている曲。
2.Stop Killing Children For Oil
日本語にすると「石油利権のために子ども達を殺すのを止めろ」。僕が昔KOさんから直接教えてもらったことの一つに戦争が起こる場所には必ず、石油や天然ガス等の資源があるということ。それを学んでから紛争が起こる場所で僕自身で調べていくと必ずその根源があることに気づかされた。イラク、シリアなど中東で特に。ガサでもガザ沖に天然ガスの資源がある。その石油利権を奪うために西側の大国が戦争を仕掛ける。それにより罪もない民間人が殺されていく。その国の未来を背負う子どもたちの命まで奪われる。そんな石油利権の為の戦争をやめろ、子どもを殺すなというメッセージの曲である。
![](https://assets.st-note.com/img/1728785072-eIHw5vMGTq6urtD8PpzaVBAS.png?width=1200)
3.Live or Die
この曲は終わらないハードコアを読んでその成り立ちを知った。この曲はSOW THREATというバンドの八幡さんと共作した曲らしい。このバンドは沖縄のハードコアバンドのようだ。ニライカナイという沖縄の死生観を表す言葉が出てくるので沖縄にまつわることかなとは思っていた。1945年という言葉から、第二次世界大戦末期の1945年、沖縄諸島に上陸した米軍と英軍を主体とする連合国軍と日本軍との沖縄戦、今も続く沖縄の米軍占領が描写された曲だ。
4.掃き溜め(Die,LDP Scum.)
この曲もどうしようもないクズばかりと同様に腐敗した日本政府に対しての詩である。ちなみにLDPとはLiberal Democratic Partyの頭文字を取った略語でつまり自民党だ。統一教会問題や裏金問題、昨今の衆院解散を審議抜きで、最速での断行の決断や日米地位協定見直しなどの持論を引っ込めるなどの最初に公言したことを翻す自民党の常套手段を痛烈に批判している曲だ。
KOさんはTwitterでも世界の権力者や弱者に対する最低の行為に対してScumという言葉を投げつける。この曲には霞が関という言葉も出てくるのでDevestation In The Void収録曲のScum第二弾という位置づけかなとも思った。
5.Racism Must Die(人権差別主義は死ね)
諸人種の間には優劣の差があり、優秀な人種が劣等な人種を支配するのは当然である、という思想ないしイデオロギーがレイシズム、人種差別主義だ。この曲に直接出てくる話ではないが、例として2020年にアメリカで黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に取り押さえられて死亡した事件があり、事件は人種的少数派に対する警官の差別的で過剰な暴力の象徴と見なされた。
ジョージ・フロイドさんの死を受けてアメリカで何が起きているのかを、日本の国営放送は日本の視聴者に説明するアニメを作成したらしい。若者向けの番組で放映されたそのアニメでは、抗議に参加する黒人を醜悪な固定観念の下、非常に人種差別的に表現し、誇張された筋肉と怒りに満ちた表情、後方には強盗を働く人の姿も描かれていたそうである。
この様なメディアによる人種差別主義の概念を埋め込ませることに対してもこの問題を助長させている要因でもあることをこの曲では描写しているのだろう。
6.人間狩り
この曲で歌われているのは正にイスラエルがパレスチナ人に対して行っていることだ。Ethnic Cleasingという言葉はパレスチナに注視している人なら度々目にする言葉だ。つまり民族浄化。武力を用いて他の民族集団を虐殺・迫害・追放して排除することだ。他民族の街を片っ端から爆撃して街を粉々に破壊して罪もない人々が殺されていく。そんなことを描写した曲。
イスラエルはガザ虐殺を続けガザをまっさらにしてパレスチナ人を追い出し、そこに入植し高層マンションやリゾート地を作る構想までしているというから全くもって狂ってる。
7.Why Is The World Silent?(なぜ世界は沈黙してるんだ?)
この曲はイスラエルのガザ侵攻に触発されて書いた曲なんじゃないかなと想像する。以前よりイスラエルは非人道的なやり方でガザを攻撃しているが、昨年から続く攻撃はさらにその非人道性が増している。歌詞に出てくるドローンとは一般的な撮影をするドローンなんかではない。いわゆる無人戦闘機。遠隔操作でドローンを操りそこから標的に向けて攻撃する。建物だけではなく直接人間にも向けてだ。バンカーバスターとは地中貫通爆弾のことであり、硬化目標や地下の目標を破壊するために用いられる。今回イスラエルはこのバンカーバスターを多用している。以下の写真で見られるようにこの兵器を使用すると地下深く穴が開くように激しく破壊される。その衝撃で標的物以外にも周りの建物も倒壊してしまうすざましい破壊力の兵器だ。そんな非人道的な兵器を毎日毎日ガザの街に投下して攻撃しているのがイスラエル。それに対して地下にあるハマスの拠点を攻撃しているからだというのがイスラエルの決まり文句の言い訳。
ガサ市民はイスラエルからの攻撃を避けるために国連の学校に避難していた。学校は、国際人道法によって保障されている教育の保護の対象として、戦争犯罪から守られるべき建物である。その学校をイスラエルは爆撃し、学校に避難しているガザ市民を虐殺している。遺体が横たわり血だらけになった教室や廊下。そんな場面を幾度となく自分は目にしてきている。この攻撃は国際法やジュネーブ諸条約に違反する重大な戦争犯罪行為で決して許されるものではない。
![](https://assets.st-note.com/img/1728795492-bZfScej3zLQkXVoJUayEgA0s.png)
この曲の歌詞でBoycott,Divestment,and Sanctionsという言葉が出てくるがよくBDSと略される。BDSとはボイコット、投資撤収、制裁運動 の意味でイスラエルに対し、国際法に違反するとみられる行為を中止させるための政治的・経済的圧力の形成と増強を目的としたグローバルなキャンペーンである。簡単にいうとイスラエルに資金提供したり、支援したりする企業の製品を買わないという不買運動である。その企業の前に立ってデモをしたりすることはよく行われる。それがニュースになったりすると企業イメージは悪くなるし、イスラエルを支援しているんだ、自分の買った製品がガザの人々を攻撃するミサイルの資金に変わるんだと分かり買わなくなるひとが増えて実際に業績が大幅に下がった企業もあるから効果はある。プーマは以前イスラエルのサッカーチームのスポンサーをしていたがこのBDS運動が激しくなり、プーマは来年からスポンサーを降りる決断をくだした。
![](https://assets.st-note.com/img/1728858256-pcA4F57SdZjyq2MbzxL8itaG.jpg?width=1200)
イスラエルのガザ侵略は離れた世界で起きていることで、ガザ市民とガザに入り、支援している海外の人道支援者、医師、ジャーナリスト以外直接我々が攻撃されるようなことはない。だから自分には関係ないと関心を持たない、この虐殺をやめろと言わない人もたくさんいる。離れた世界とはいえ、無実の市民が殺されていく不条理に対して同じ人間としてなんで沈黙しているんだという憤りをこの曲では訴えていると思う。
8.Dirty Rotten LDP(汚れて腐った自民党)
安倍政権、岸田政権、そして今度の石破政権と自民党は私利私欲のための政治を続けており、米国のいいなりで詳細が分からないのに、5年で43兆円買うという取り交わしをして要らない武器まで買わされて、まさに売国奴である。自民党政権下で国民の税金は上がるが賃金は上がらず、物価が上がっていくスタグフレーションが起きて本当に明日どうやって生きていこうかという貧困者も急増している。日本は今や先進国ではなく貧困者があふれる後進国に成り下がってしまった。方や自民党議員は公約を破ったり、裏金問題など、自分たちに都合が悪いことはもみ消して既成事実にしてしまう悪どさ。そんな自民党を痛烈批判した曲だ。
この曲にはちょっとしたエピソードがあってある日のTwitterでKOさんが「Scum LDP!」って言葉投げてて、それに対して僕が「今度はそんなタイトルの曲出てきそうですね」ってコメントしたら「もうあるよ。ライヴではやってるよ」というリプと共に以下の画像を貼って僕宛に返してくれた。
これは終わらないハードコアに書いてあったけど、2018年にシングルで3曲出そうというプランがあったらしい。そのシングルに収録するうちの1曲がおそらくこのDirty Rotten LDPでジャケットにしようと思って創作したものだと思う。このシングルを作っている途中でポリープ様声帯という病気になり、全く声を出せなくなりシングルのリリースが白紙になってしまったそうである。そして、その時の曲が今ようやくこのアルバムで日の目を見ることになったのである。
![](https://assets.st-note.com/img/1728798835-KSEslxAjyhWZH8IkQoYgBUCz.png?width=1200)
そのシングルに収録しようと思っていた3曲は僕が想像するには、
・War Is Business
・Dirty Rotten LDP
・Racsim Must Die
の3曲だっただろうと思う。なぜならコロナ禍の2020年にピザオブデスレーベル所属全バンドがスタジオライヴを収録した音源をリリースするというBECASUE IT'S 2020というプロジェクトが立ち上がってSLANGのその音源には今まで音源化されていないこの3曲が収録されていたからである。このライヴ音源で聴けたけど僕は早くスタジオ録音した完成版を音源で聴きたいなと思っていたから、今回アルバムにすべて収録されたから嬉しい。
![](https://assets.st-note.com/img/1728799503-6SJNDETMd7PzLWXAY1rQsxHq.png?width=1200)
9.War Is Business
戦争は石油利権の資源を奪う目的もあるが、軍需産業を中心とした私企業と軍隊、および政府機関が形成する政治的・経済的・軍事的な勢力の連合体であるいわゆる軍産複合体に利益をもたらすからである。こんな表現方法するのは嫌だが戦争をすると儲かるのである。
特に戦闘機、戦車、ミサイルその他軍事に関わる精密機械などの製品を開発製造販売している企業は潤うのである。米国がイスラエルのガザへの攻撃は自粛するべきだと言いながら裏ではイスラエルにどんどん武器を送り続けているダブルスタンダードもその例に漏れない。だからイスラエルの攻撃も止まらないのである。
![](https://assets.st-note.com/img/1728800936-lnzNm2BRciAPUjedH8xIhbWQ.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1728801514-VAOg8uPkBJbGioc9E50mqDCp.png?width=1200)
以上9曲を自分なりにレヴューしてみた。音楽自体の感想レヴューとして、今回のアルバムは13分59秒で1曲2分ほどだが、曲によってはリズムチェンジして展開があったり、KENTAさんのギターソロが間に入ったりして、短い曲の中にも凝縮されているので単調ということは決してない。聴き始めるとアルバム一気に駆け抜けていくけど、迫力ある音の洪水と共に緊張感が全体を包んでいるから聴き終えた後の充実感はかなりある。そして繰り返しまた聴きたくなる。10年経過してこのスタイルを突き付けたSLANGはある意味斬新だ。新たなSLANGの章の幕開けを表明する名作だと思う。
■イスラエルのガザ侵攻「KOさんと僕は再び歩調を合わせ始めた」
2023年10月7から始まったイスラエルによるガザ侵攻と大量虐殺。その経緯や経過を書くとものすごく長くなってしまうから、そこは割愛してこの戦争により自分の周りで体験したこと感じてきたことをローカルレベルで綴っていきたいと思う。KOさんとのことも密接に関係あるので是非この章も読んでほしい。
その前にKOさんについて自分が感じていたことを書きたい。僕がTwitterに再び戻ってきたのは2017年。真っ先にKOさんをフォローしてツイートを辿ってみたが僕が心の中で思ったのは「あれ?KOさんどうしちゃったの?」である。ツイートを見ても一切政治や世界情勢など社会的なことが全く呟かれていない。Twitterは方向性変えたのかなと思って、インスタやフェイスブックを見に行っても同じように社会的な投稿は一切なかった。その当時のKOさんはライヴの告知やカウンターアクションのこと、ヴィーガン食についてが中心で、「KOさんもう社会的なこと発信するのやめちゃったのかなあ」と正直ショックだった。自分も一時期国家権力に抵抗し続けたけど。無力さを味わって政治的なことから一切離れたから偉そうなことは言えないし、人は変化していくものだし、その時の生活環境が左右するからなんらかの背景や心情があってのことだろうとは思っていた。KOさんの芯にある部分はずっと揺るがないと信じているから。
終わらないハードコアを読んでこの時期あたりはポリープ様声帯、咳喘息、慢性気管支炎と病が酷かった時期みたいだったようだから、まず何より自分の身体を大事にすることを中心に考えていたのかなと思う。
ただ2022年くらいになってもKOさんの投稿はあまり変化がなかった。2022年に勃発したウクライナ、ロシア戦争に関してKOさんはどう思っているのかなと知りたいところではあった。
終わらないハードコアを時系列で辿ると2017~2023年までは自身の喉の病気、コロナ禍でのカウンターアクションの経営継続、閉店とバーへの移転計画、新たなカウンターアクションの開店、そしてKOさん自身の生活環境の変化と様々な事象が立て続けにあって、自分事以外に目を向ける心の余裕も時間もなかったのだろうと分かった。
僕はTwitterに戻ってきて、最初は音楽中心で政治的なことはあまり呟かないでおこうと思っていたんだけど、やはり自分の使命なのか、パレスチナの事が気になり、いくつかのパレスチナのアカウントをフォローしてみたら、今の様な大虐殺は無いけど相変わらずガザでは爆撃されたり、ヨルダン川西岸地区ではパレスチナ人への暴力、迫害が続いていたから、また発信しなくちゃなと思ってパレスチナ情勢を翻訳して発信し始めた。
そうやってガザの地元の市民とTwitterでどんどん繋がっていった。その頃は2023年10月7日のずっと前だから、その交流は平和的な日常の内容のものだった。以前のイスラエルの侵攻によって家が破壊されたけど、だんだん復興してきたとか、でもガザには仕事がなく失業者が多いから収入減がなく生活苦だとか、電力供給も限られた時間しかなくてとか、相変わらずガザでの生活は苦しいなと痛感した。
Twitterを再開してから一番最初に繋がって仲良くなったのは、ガザで障害のある子どもたちの学校で働く女性だった。とても心優しい慈悲深い女性で、この人からリアルなガザの状況を聞いたり、結婚して旦那さんもいるんだけど、失職して収入減が少なくて困ってるのなんて悩みも聞いたり。この女性からある日とても喜ばしい知らせが飛び込んできた。この夫婦に第一子となる子どもを授かったとのこと。僕はこの知らせを聞いて自分事のように嬉しかった。日々のツイッターでおなかの赤ちゃんが成長していくことが綴られて僕もとても嬉しく暖かい気持ちになっていった。
他にはガザの若い人々とも多く繋がった。高校を卒業して大学で学問を学び、学友との大学生活がとても楽しくて充実しているという話を聞くと我が子の様に嬉しい気持ちになりこの子たちの未来を応援したい気持ちが沸きでた。
僕は相変わらずガザ、パレスチナ翻訳投稿を続けていたんだけど、ある日フォローしているガザの現地の財団法人の人からDMが入った。その内容はガザ、パレスチナの情報をTwitterで発信しているんだけど、多言語で発信したい、あなたに日本語の発信をやってくれないかという依頼だった。僕は公式的にパレスチナに関する情報を発信することに関わりたいと常々思っていたので、すぐに快諾して仲間に加わった。結果この財団のアカウントは英語、日本語、スペイン語、フランス語で発信するアカウントが出来た。
![](https://assets.st-note.com/img/1728805694-Ia6tUWZRpOrxDCn8lKo9eNBF.png?width=1200)
僕のこの日本語のアカウントでの発信はガザ本部から送られてくる原稿を元に和訳して発信したり、英語のアカウントの内容をそのまま和訳して発信するという行動である。ボランティアでやっているから勿論対価など一切発生せずただパレスチナの現状を日本の人により多く知ってほしい。その一心だけでやってる。普段僕は普通の会社員だから、昼休みにやったり、仕事終わってからやったりしてる。それなりに大変だけどやりがいはある。
KOさんにこのことをDMで伝えたら、返信はなかったけど、グッドボタン押してくれてすぐにフォローもしてくれた。
すべてが変わってしまったのが2023年10月7日のイスラエルによるガザ侵攻だった。ACT4PALESTINEのメンバーともガザの友人たちとも最初は連絡が取れてリアルな危機的な状況を伝えてくれたけど、やがてその連絡も次々に途絶えていった。理由はイスラエルの攻撃によりインターネットのインフラが破壊されたり、発電機の供給源の石油が枯渇してスマホを充電する電源が亡くなったりしたからだ。もうガザの友人たちの安否さえ分からない状況になってしまった。
インターネットが一時的に復活したり、彼らの知恵で車で使う12Vバッテリーを電源の供給源にしてスマホを充電して、不定期だがガザの人々から発信やDMがきてそれを見て、ああ無事でいてくれるよかったと安堵の気持ちになる状況である。
![](https://assets.st-note.com/img/1728887611-ONJS9LwuapyvibzR3tWsEeKT.png?width=1200)
僕のACT 4 PALESTINEの日本語アカウントはガザの本部から「もう定期的に連絡は取れない、我々と連絡が取れなくなっても、Take、君は投稿を続けてくれ」というメッセージが来るという危機的な状況になってしまったが、今も僕はずっと約束を守って投稿を続けている。
今回のイスラエルのガザ侵攻は過去に例を見ないほど酷い。ジュネーブ条約違反の戦争犯罪である病院、学校までも爆撃破壊している。あるジャーナリストが呟いていたが「私は朝起きたら血まみれのガザの人々の画像を目にして、寝る前に血まみれのガザの人々の画像を目にする」正にそんな虐殺の日々だ。今回変わったなと思ったのはこのイスラエルの虐殺行為に対して世界中の人からイスラエルへの非難の言葉と、ガザ、パレスチナへの連帯の声が上がったことだ。日本でもデモが行われたり、僕がやっていたガザ、パレスチナ翻訳というムーブメントが起きて、ガザの状況を和訳して伝えるアカウントが次々に立ち上がったのである。
![](https://assets.st-note.com/img/1728859731-jMGt8S1bAhFxXJZ2mnyliLEB.png)
KOさんもガザを見続けてきた人である。2023年10月7日のイスラエルのガザ侵攻を境にKOさんも火がついたのだろうか、このガザ翻訳投稿にすぐに加わって発信を始めてくれた。
KOさんはIGNORANCEというブランドを立ち上げていてそのTシャツとかには、反戦、差別反対、選挙の投票に行こうというメッセージを入れた衣類を販売していてそのTwitterアカウントがあった。そのアカウントはIGNORANCEの商品を紹介するアカウントだったが、KOさんはこの日を境にTwitterの名前をReality of Warと変えて、ガザ投稿翻訳を休むことなく発信するようになった。今は更に名前が変わってStop Genocide Nowになっていて、ガザ、パレスチナの情報をリツイートしたり、投稿している。
アカウントは元の@ignoranceShopのまま変わっていない。関心のある人はこのアカウントをフォローして見てみてほしい。
![](https://assets.st-note.com/img/1728879703-3RwFcMhGKoACpLX5I84NDyal.jpg?width=1200)
パレスチナはガザ地区とヨルダン川西岸地区に分かれていて、ガザの虐殺が本当に酷くてそちらに注視するのは当然だが、西岸地区でのパレスチナ人の迫害も酷い。ジェニンという街があるんだけど、イスラエル占領軍がブルドーザーで街の通りをズタズタに掘り起こしてインフラを破壊したり、パレスチナ人の若者が無罪なのに逮捕されたり、夜中に家に入り込んで家中を荒らしまわったり、パレスチナ人の家を勝手に破壊して入植したりと本当に非人道的なことがずっと何十年も続いている。僕が「ガザは今とても大変な状況だけど西岸地区にも目を向けて!」と呟いたら、その後KOさんがそれを目にしてくれたのか、すぐに西岸地区の状況も併せて発信してくれて嬉しかった。ガザのことだけでなく、今の日本の政治についても以前のようにガンガン自分の意見を発信してくれるようになって、ああ以前のKOさんに戻ってくれたと嬉しい気持ちになった。
![](https://assets.st-note.com/img/1728886962-OPdLYyXA4neWca16pt9KVbDF.png?width=1200)
今はガザの友人たちとは殆ど連絡が取れずツイートも無いので安否が全く分からない人が殆どだ。子どもを授かったガザの女性は無事女の子の赤ちゃんを産むことができた報告は受けてとても安心したけど、イスラエルの侵攻によりガザのあちこちを移住避難する状況をほとんどのガザの人々が強いられているから、今みんなが何処にいて無事かどうかも分からない状況だ。
若いパレスチナ人の友人もいると記述したが、そのうちの一人の大学生から連絡が取れたときに、私の大学はイスラエル占領軍によって破壊されてしまった。もうここで学問を学ぶことはできない。私の描いていた夢が一気に壊されてしまった。もう私はこの先のことなんて考えられないと言葉が返ってきたときにはやるせなさしかなかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1728860173-k9JDbOyCXfa6QUq2R0NYisI3.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1728860253-vqkUCg96s4FGfVn7W2yZ8bwO.png)
イスラエルのガザ侵攻が始まって1年も経過してしまった。今も世界中の良心ある人が行動や発信を続けているけど、この虐殺の終焉と停戦は未だもって見えてこない。我々が直接できることは殆どないけど、やはり関心を持ち続けること、声を上げ続けることが大事だと思う。
![](https://assets.st-note.com/img/1728810679-T2v7aIJQXGc34x6FN8PCdtDi.png?width=1200)
SLANGの今回のアルバム Rest In Misery - 永遠に苦しめ。ガザの罪の無い子ども達を虐殺したイスラエルのネタニヤフ首相、イスラエル占領軍、そのイスラエルの虐殺を止めようとしない、武器を送り続ける米国を中心とした西側諸国の権力者たちに自分もこの言葉を送る。
![](https://assets.st-note.com/img/1728857572-GFeLUq40W7nZjBzVvdTYNPxu.jpg)
KOさんと直接話したことは東京にライヴに来てくれた時に数回しか話したことはなく、その時も世間話じゃなくてパレスチナや政治の話をした位で深く語り合ったことはない。DMでも中東情勢の話を意見交換したりということしかない。
KOさんは今や札幌のバンドマンに留まらず日本中のバンドマンに知れ渡り、それこそ今の日本のロック界を牽引するTOSHI-LOWさんや細美さんとも深く交流がある位の大物バンドマンになった。僕はただのSLANGのいちファンに過ぎないから普段思いだされることも、気にかけられることもないけど、必要なタイミングでは僕のアクションを見てくれていたり、特にお互いに共通点であるガザ、パレスチナに関しては必要な時に言葉はなくとも互いに意思疎通して行動に移せている関係ではあるかなと思っている。
これは僕の勘違いで自惚れに過ぎないけど、KOさんが元の様に社会的な発信をガンガンするようになったのは僕がTwitterに戻ってきて、そういう発信をまたし始めたのもほんの少しでも影響があったのかなと思う。KOさんとはこれからも言葉はなくともお互いに世の中の不条理に対して声を上げることをやめないで進んでいきたいなと思っている。
今の自分があるのもSLANGの音楽に出会い、KOさんとの出会いがあり、学校や社会で教えてくれない大切なことをたくさん学んだからだ。僕にとってはSLANGの存在はずっとHardcore Is More Than Musicなんだ。
僕が英訳したDystopiaのMV。SLANGの作品にこうやって僕が関われたことは本当に嬉しかったし誇りに思う。