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あれか、これか?それとも、あれも、これも?

(Photo by Hayes Potter on Unsplash

二者択一。AかBかを選ばなければならない。そんな選択に直面することがあります。

あれか?これか?」の選択です。

哲学者キルケゴールは1848年に「あれかこれか:ある人生の断片」と題した哲学書を発表しました。「あれか?これか?」は人生にはつきものなのかも知れません。

キルケゴールでなくとも、様々な場面で「あれか?これか?」を選択しなければならないことが度々あるのではないでしょうか。

北京冬季オリンピックでスピードスケートの高木美帆さんが個人スピードスケート競技で500m・1000m・1,500m・3,000mの4種目(団体もあわせると5種目)に出場し、まだ全種目の結果が出ていませんが、500mと1,500mで二つの銀メダルを取る快挙を成し遂げました。

短距離か?長距離か?この選択肢のどちらかをほとんど全てのスピードスケーターが選ぶ中、「あれも、これも」の「オールラウンダー」として活躍しています。

今回は「あれか?これか?」の決断と「あれも、これも?」の決断について考えてみます。

あれか?これか?

米国の政治家が演説で用いたことから近年よく引用され、日本の現総理大臣も引用した出処のわからない「アフリカの諺」と言われる諺があります。

「はやく行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければみんなで進め。」

アフリカの諺?(アフリカのある国の主導者の方が「アフリカの諺ではない」と言ったとか)

この言葉も「あれか?これか?」を突きつけるものです。

速さ vs 距離
一人 vs みんな

このような言いかえもできるわけです。

みんなで行けば、遅くなる。
しかし、遠くまで進むことができる。

一人で行けば、はやく行ける。
しかし、遠くまで進むことはできない。

「一人」と「みんな」は「A」であれば「B」ではないわけですから、「あれか?これか?」なわけです。

この諺にケチをつけるのではありませんが、ちょっと斜めにこの諺を見てみましょう。

  • 「速さ」と「距離」は相反するものでしょうか?

  • 進む手段によるのではないでしょうか?

  • 一人で行くと本当に速いのでしょうか?

  • みんなって3人以上?

  • みんなで行くと一人で行くより遠くまで行けるのでしょうか?

陸と海のように、陸であれば海でなく、海であれば陸でないという「二項対立」が成立する時には、「あれか?これか?」による二者択一が成立します。

しかし、上の諺のように「二項対立」が成り立っていないことも多いように思います。

「値段と品質」なども「二項対立」ではありませんね。

でも、高品質=高価格で、低品質=低価格であるとの先入観がありますから、値段を優先するのか、品質を優先するのかと「あれか?これか?」で考えてしまうことがあります。

あれもこれも

今から12年前、中学三年生だった高木美帆さんは、元祖「オールラウンダー」の橋本聖子さんに「どの種目が好きか?」と聞かれ「1,500m」と答えたそうです。

すると、橋本聖子さんが「1500メートルを極めるには500メートルのスピードと長距離の持久力、両方を兼ね備えて1500メートルは確立するんだよ」とアドバイスしたということです。

スピード(瞬発力) vs 持久力

競技種目を絞るように高木美帆さんも、コーチや周囲に最初は反対されたそうです。それでも他種目に挑戦する理由は、「速く滑るため」だそうです。

「あれもこれも」で世界のトップレベルで競技しているわけです。

同じような選択を迫られたが、「あれもこれも」で世界のトップに躍り出た人に大谷翔平さんがいます。

高校野球までは、「ピッチャー・打順四番・キャプテン」というのは珍しくないのですが、プロ野球になると「ピッチャー」は打者としての活躍を求められなくなります。打者として活躍する選手は、投手をやめて他のポジションを選びます。

しかし、彼はプロの世界、それも米国大リーグで「投手」と「打者」の「二刀流」で活躍し様々な記録を残し、昨シーズンのMVPを獲得しました。

大谷翔平さんは「野球を頑張っている」という意識で、「二刀流」という表現も使わず、「二項対立」では考えていないようです。

二人とも多くの人が前提として「常識」のように受け入れている「二項対立」とは全く考えていないのです

「スケートを速く滑りたい」
「野球を頑張りたい」

高位の目標に夢中に取り組んでいるようです。

「自分軸」で決断するために

たしかに「あれか?これか?」の決断をしなければならない事があると思います。

しかし、アスリートたちの決断を見たように、「あれか?これか?」の「常識」に捕らわれず、「あれもこれも」で考えることのできることもあるのではないでしょうか。

「あれか?これか?」の決断を迫られたときに、前提条件について「本当にそうなのだろうか?」と疑ってみることも時には必要です。

そして、決断をする時には「自分軸」でブレない決断をしたいものですね。

「自分軸」を意識する時に、その決断によってどんな「成果」をもたらしたいのかを意識することが大切です。

「成果」に注目することによって、手段が目的化することを避けることができます。

また、得たい「成果」に加えてどのような「リスク」が伴うのかについても考えることで、「あれか?これか?」の決断においても「あれもこれも」の決断においても必要でしょう。

皆さんの決断がより良い結果をもたらしますように。

最後までお付き合いくださりありがとうございます。



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